ゴッドクエスト

紅蓮の焔

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7章 再会の嵐と修羅場

sidestoryⅠレイン4~突然の嫁~

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レインが目を開けるとどこかの部屋の天井が目に映った
「ゴホッゴホッゴホッうぅ~、ここは?」
レインが目をパチパチさせた後、首を動かし辺りを見渡す
部屋にはレインが寝かされているベッドしかない木造の部屋だった
「うぅ、頭が痛い」
レインが頭を押さえてベッドから降りようとする
「うお!」
レインはベッドから降り立とうとすると左に転けてしまった
「またか」
レインは左脚に魔力を供給し脚の形に留め使えるか確認した後右目にも魔力を供給した
「レインくんって可笑しな事をするんだね~」
レインは後方から聞こえてきた声に驚きビクッと肩を上がらせた
「誰だ!」
「ふふ~ん♪」
レインが振り返るとベッドで横になって、布団に入っている金髪の少女がレインを見て微笑んでいた
「誰だ!」
「どうしたの?レインくん」
「何で名前を知っているんだ?」
「え~!もしかしてキラの事を覚えてないの!?昨日あんな事をしたのに?」
少女が口に指を当てて艶かしく言うとレインは驚きの声を上げた
「は?」
「も~、昨日の続きしよ?」
少女が布団から全身を現した
少女がレインの腕を掴もうとする。目はトロンとしていて段々と近寄っていく
「ねぇ、早く~」
レインは何故か知らない恐怖に駆られすぐに逃げようとドアに近付くが少女に後ろから抱き付かれ身動きが取れなかった
「ねぇ、早く昨日の続きしようよ~!」
少女が艶かしく言葉を放つとレインの顔に顔を近づけていく
「ちょ!止めろ!てかお前誰だよ!」
レインが押し返すと少女は目を見開いてレインを見る
「え?レインくん、もしかしてキラの事忘れたの?」
「…は?」
「も~キラの事を忘れる何て酷いよ~、キラはね~キラ、レインくんのお嫁さんだよ!」
「…は?もう一度言ってくれ嫁とか聞こえたんだ」
「もう、だ・か・ら!レインくんのお嫁さんだって!」
「へ?」
レインはいきなり自分の嫁と言われ間抜けな声を出した
「だから、ね?そ、その~あの続きしようよ」
レインはあの続きと言われても何の事か分からずその場でキラを見つめている
改めて見ると少女は可愛らしい顔立ちで瞳は黄色く胸は少しだけ出ていた
「…あのさ、起きていきなり嫁とか言われても信じられないって言うか」
「あぁ!なるほど!じゃあ一緒に外に行こう!」
キラは服を着てレインの腕を引っ張り外へ連れ出す
レインは抵抗しようとするがキラの引っ張る力が強く全然抵抗出来なかった
「つ、強!」
「じゃあこれから私とレインくんの結婚を証明するね!」
キラはそう言いまず最初に向かったのは教会だった
「失礼しまーす!」
キラが教会のドアを勢いよく開けて男に向かって歩いていく
「神父さ~ん!」
「ん?君は確かキラちゃんだね。ここまで若くして結婚した子だからよく覚えているよ」
神父と呼ばれる中年の男にキラがレインの事を言うと神父は
「分かった」
と言いキラとレインを奥の部屋へ連れていった
「ほら、これが証拠だよ」
神父が魔法を唱えた
再生リプレイ
神父が唱えるとレインの目の前に四角い板が現れた
「キラちゃん、それに触れて見せたい記憶を強く思い浮かべるんだ」
「はーい!」
キラは空中に浮いている板を手に取り目を閉じて何かを念じた





そこには花嫁姿のキラとその横に花婿姿のレインがいた2人は手を繋いで神父の所まで歩いていく
「汝キラ、そなたはこの男、レインを夫として迎え入れるか?」
キラは頬を赤らめて
「はい」
と答えた
「汝レイン、そなたはこの娘、キラを妻として迎え入れるか?」
「…はい」
とレインも答えていた
「それではここに愛の誓いを!」
神父がそう言うとレインとキラはお互いに向き合って頬を赤らめながらキスをした
「ここにこの2人を夫婦と宣言する!」

パチパチパチパチ
ヒューヒュー!

とレインとキラの周りから拍手や口笛、そして祝いの言葉わ掛けている





「…本当だったのか?」
レインが聞くとキラは赤らめてコクリと頷く
「多分町の人誰に聞いても結婚していると返ってくるよ」
神父がそう言うとレインはカクッと肩を落とした

この世界では結婚出来る人数以外は定められていないので、例え0歳が結婚しても良し、同性が結婚しても良し、そして他種族と結婚しても良し、家族と結婚しても良し、双方が了承していれば何でも良いと物凄く適当だが、結婚出来る相手は3人まで、貴族は5人、王族は10人までと定められている
言葉を話せない赤子や子供は親が了承すれば可能

キラは神父にお礼を言いレインと教会を出た
「なぁ俺とキラはどこで会ったんだ?」
「え?海岸だよ?」
レインはその言葉に気を失う前の事を思い出した
(確かあのとき誰かが泳いできたのは覚えてるが…あの後どうなったんだ?)
レインがキラをマジマジと見つめるとキラは余計に赤らめ、夕日に照らされながらキラの家へ戻っていった
そして、夜ご飯を食べた後レインはキラにその時の事を聞いた





キラが海岸へ暇潰しに行くとレインが倒れていた。そしてレインを起こすとここ最近の事を覚えていないみたいなので家へ連れ帰る事にしたそうだ
途中、モンスターの大軍に襲われた所をレインがモンスターを次々と倒していったが、最後にその大軍を率いていた奴にキラが人質に取られた





「動くな!この娘がどうなっても良いのか!」
「キラはどうでも良いから早く倒して!」
「…ちっ」
レインはその場に立ち止まった
「は、ははそれで良い。おい!残ってる奴はこいつを痛め付けろ!」
大軍を率いていたモンスターは生き残っているモンスター達を集めレインをボコボコにする
「おぉら!これが親友を殺された恨みだ!」
モンスターはレインの腹を思いきり蹴る
「ぐっ!」
レインは腹を押さえて踞った
この時のモンスター達は全員アモデウスで執事の格好をしていた率いていたのは他のよりも一際大きなアモデウスだ
「おらおらぁ!まだまだ終わらねぇぜ?」
生き残っているアモデウス達は仲間を殺された恨みと憎しみでレインを蹴り続ける
「ごっ、がっ、ぐほっ…」
それが続いて遂にはレインは体のあちこちが折れ血だらけになっていた
「どこにも馬鹿はいる物だな!がっはっはっはっ!」
「そいつを、ごはっ!放せぇ」
レインは言葉の途中で蹴られたが弱々しく声を発した
「は?許すわけねぇだろ!」
大きなアモデウスはレインを上から踏み何度も何度もレインを踏み続ける
「がっはっはっはっ!人間風情が俺達に逆らうからこんな痛い目を見るんだ!」
「止めて!止めてよ!キラ、どんな事でもするから!」
「や、めろよ」
レインは一際大きいアモデウスに手を伸ばすがその手を踏まれ蹴られ続ける
「てめぇは黙ってろ!」
「ごはっ!」
キラが泣きながら止める様に頼むがレインがアモデウスの足を掴み睨むとまた蹴られ続ける
「止めて!お願い!」
キラが頼むとアモデウスはキラの体を上から下へと眺めた後、提案する
「よし!お前、俺の嫁になれ。そうすればこいつは自由にしてやろう」
「!?」
キラは体中の骨が折れたレインを見た後ゆっくりと頷いた
「や、め、ろぉ!」
レインの堪忍袋の尾が切れ風操で今この場で吹いているそよ風を一点に集めて大きなアモデウスの腕を風が貫く
「ぎゃあ!」
大きなアモデウスは思わずキラを手放したレインは折れた体に鞭打って落とした刀を風操で腕に引き寄せ近くのアモデウスの足を切った
アモデウス達は氷の壁に覆われその中で跡形もなく消え去った
レインはアモデウスの腕から落ちた衝撃で気絶したキラの前に行くとアモデウスがレインを蹴飛ばしたキラはこの時にレインの声で目を覚ました
「ぎゃ!」
「よくも、よくも俺の体を!この女はもう俺の物だ!とっとと死ね!」
アモデウスはレインに向かって走り出し何度も拳を叩き込んだ
それが終わるとレインはピクピク痙攣していた
「人間の癖に生意気な」
アモデウスがキラの前に戻ると痙攣していた筈のレインが刀を投げてアモデウスの脳天に突き刺さった
「この程度で死ぬと思うたか!」
レインの方へ振り返り怒鳴った瞬間アモデウスは氷の壁に覆われその中で悲鳴を上げながら跡形もなく消え去った
ピクピクしていたレインは消え去り、そこには血だらけで寝転がってアモデウスのいた場所を見ながら嘲笑っているレインが気絶していた
「と、とにかくレインくんを連れていかないと」





この時にキラはレインに恋心を抱いた
キラが町に着くとすぐに病院へと運び込まれ緊急医療が始まった
そして、それから1日後レインの治療は終わりその治療に参加していた人が呟いていた
「後少しでも遅かったら死んでいた…」と
キラはレインを連れて帰りそれから1ヶ月した辺りで結婚したこれがつい先日だと言う





(本当かドルバギオ?)
(…はぁ、本当じゃ…お主、本当に覚えておらんのか?流石その娘に同情するわい)
なぜかドルバギオに同情された事にイラッと来たがドルバギオを殴る事が出来ないのでむしゃくしゃする気持ちを抑え込んだ
「どう?信じてくれた?」
「はぁ、分かったよ、よろしくなキラ」
「やった~!ありがとう!レインくん!」
こうして2人はベッドへ入り眠った
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