ゴッドクエスト

紅蓮の焔

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9章 レインの治療

sidestoryⅡメイト4~脱出して再会~

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「まず、あのドアは鍵が閉められてるからダメだな。だとすれば後は風呂、トイレ、ベッドのどれか……うん、脱出できる気がしない!」
メイトは開始数秒で脱出を諦めかけていた
「…そうだ!鍵が無いなら…」
メイトは早速行動に移した
「おーい、腹が減ったんだけど…飯くれ!」
メイトが叫ぶとどこからか声が聞こえてきた
「あ?今こっちは楽しんでんだ!話はまた後だ!」
その声が聞こえた後、大きな嬌声が聞こえてきた
「…何してんだよ」
メイトは不思議に思いながらもさっきの手段での脱出は不可能と決めた
「じゃあ次は…」
メイトはベッドを横目で見た
ベッドからシーツを剥ぎ取り壁に向かって歩き出した
壁の前に来ると考え始める
(そうだ、窓が無かったんだ!…でも諦めたらダメだろ、レインを殴るんだ)
メイトはギュッと拳を握り締め頭の中で試行錯誤する
(壁を蹴り飛ばすか?いや、俺にそんな力は無いし、壁を破壊する事は出来ない…だけど破壊しないと…リバーキャノンを撃つか?いや、まだ魔力が足りない。もう少し待とう)
メイトはリバーキャノンが撃てる様になるまでその場で待機した
「よし、そろそろ溜まったかな…リバーキャノン!」
メイトがドアを標的に撃つとドアは粉々に砕けた
「よし、これで出られる」
メイトはドアの周辺を確認し静かに、そして慎重に進んでいった
(あの声は小さかった、けど俺の部屋は密室で窓もない、て事はここからそう遠くはない筈だ)
メイトはまず下に降りる事にした
これでシルフを見つけて、あわよくば逃げ出そうという考えだ
(まずは階段…)
メイトが階段を探していると通路の曲がった先から人の足音が聞こえてきた
(まずい!どこかに隠れないと!)
メイトは隠れそうな場所を探すが、ここは1本通路なので隠れる事が出来る場所が無かった
(くっ、なら声を出させずに気絶させる!)
メイトは曲がり角に隠れ相手が来るのを待った

カツカツカツカツ…

メイトの近くで突然足音が止まった
(あれ?どういう事だ?)
メイトが確認しようとそ~っと曲がり角の先を見た
メイトが見ると、目の前に女の顔面が現れた
「っ!」
「きんい…」
メイトは直ぐ様女の肩に乗り、足を首に絡ますとゴキッと首を折った
「危なかったな…でも今金色だっけ?言いかけたよな、そうだとしたら連絡手段がある筈だ」
メイトは女の口の中や頭等を探していた
「おっ、これか?」
メイトは耳の後ろに付けられた機械を取り外し1度着けてみた
「な、何だ!?」
メイトの目の前に色々な情報が書かれた板が沢山現れた
「…ここの地図でもあれば良いのに」
メイトが呟くと板は1つになりそこに地図とその中に赤い・と白い・と黄色の・が表示され、赤い・は1つしか無かった
「これが俺か?」
板に触れようとすると指はブウ…ンと音を立てて板を通り抜けた
「触れないのか…不便だな。どうやって閉じるんだ?」
メイトが疑問に思っていると取り扱い説明書と書かれた板がメイトの前に現れた
「取り扱い説明書?」
メイトがそう書かれた板に触れるとやはりブウ…ンと音を立ててすり抜けた
「どうやって読むんだ?」
メイトは少しの間指で開くような動作をしたがブウ…ンと鳴ってすり抜けるだけだった
「ちょっと待てよ…これまで何かを考えたら出てきたんだから…」
メイトが取り扱い説明書を開きたいと思うと1枚ペラリと本の様にめくれ、字が書かれていた
「これが取り扱い説明書か」

ー数分後

「よし!大体覚えたぞ」
メイトは地図で現在地と階段までの距離とそれまでの人の数を確認した
「奴らはこの辺りにはいないみたいだな」
メイトは地図を視界の端に移して階段まで走って行った
「あ、奴らが来る!」
メイトは階段を降りる時音を立てず、気配を消してゆっくりと降りていった
そして、白衣の男が見えた途端に襲い掛かり頭を思いきり振った
すると男は白目を向いて泡を吹いて倒れた
メイトは男の耳の機械を破壊した
「よし、もうちょっとだな」
メイトは次から見つかる度に首の骨を折る、または頭を思いきり振り、走って地下へ行った
「…この下にも何かあるのに階段がない…」
メイトが2階下へ降りると階段が無く、壁があるだけだった
だが、地図にはちゃんとこの先に地下室があり、そこに黄色の・が1つある
「あれが多分シルフか」
メイトは周りを確認して誰もいない事を確認するとその壁に触れた
壁に触れると壁がブウ…ンと音を立てて一瞬青く透けた
「…ん?」
もう一度触れるとまたブウ…ンと音を立てて一瞬だけ透けた
「やっぱり、階段だ!」
メイトはその階段を降りていった
その階段を降りるとその先は1本通路で歩く度にツカツカと音が鳴る
そして、数分歩くと軈て枷に繋がれ、体をダラリとして両膝を床に着いている金髪の少女がいた
床には魔方陣が書かれていて両手両足の先からは血が流れていたのか指の先が真っ赤になっている
「シルフ!」
シルフはビクッと肩を震わせた
「シルフ?俺だって!メイト!何回かしか会った事無いけど…」
シルフがゆっくりと顔を上げ、メイトの顔を見た瞬間泣き出した
「うわあぁぁぁぁあぁぁぁぁぁあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁあぁぁぁぁぁあああぁぁぁぁぁぁあぁん!メイトさん~!」
シルフが泣いている所をメイトは頭を撫でてギュッと抱き締めた
「恐かったろ?俺は今日ここに来たが中々大変だった」
「うわぁぁぁぁぁあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁあぁぁぁぁぁああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!」
シルフはその後暫く泣いた後泣き止んだ
「シルフ、逃げるぞ」
「でもあたしは枷で繋がれてるんだよ?」
「任せろって」
メイトは枷の鎖を思いきり引き千切った
「よし、逃げるぞ」
「おやおや、逃げようとするなんて悪い子達ですね、悪い子にはお仕置きを…ですね」
突然現れた男に驚きながらもメイトはシルフの前に立ち塞がった
「は?勝手に連れてきたのはあんたらだろうが」
「貴方は見ない顔ですね…金色、でも通常ですか…」
「通常?」
「はい、一応説明しておきましょう。金色とは見て分かる通り髪の色です。この髪色には色々な伝承が残されていてですね。それが本当かどうかを確かめる為に貴方達を拐ったのですよ」
「なら何でシルフはこんな所に監禁してんだ」
メイトが睨みながら言うと男は答えた
「お~、怖いですね~、まあそれはその子が通常とは異なり風の魔法を覚えているからですよ、金色は普通水の魔法のみしか使えない筈なのです。なので少々荒っぽいですが大事な研究材料として監禁しているのですよ」
「そんな事なら髪を1本とかで充分だろ!何で爪まで剥いでいるんだ!」
メイトはシルフの手を男に見せつけた
「ああ、それは髪だけだと研究が進まないからですよ。後、なぜ金色の者が水の魔法のみしか使えないのかご存じで?」
「知るか」
メイトがまた睨むが男は気にせず話し続ける
「それは金色の祖先、1000年前の5界聖戦のかなめとなった獣人界レオハルトの金色の巨狼の生き残りの者が他種族と交配し子孫が出来たのは良いのですが、その子供は髪こそ金色ではあるが使えるのは巨狼の青白い炎の正反対、水の属性の魔法とスキルだったのです」
「要するに、お前らの、利己りこで、俺達は、苦しめられた、って、訳だろ?」
「おやおや、怖いですね~、ですがもう終わりです」
男がパチンと指を鳴らすと男の後ろから沢山の白衣を着た者達が隊列を組んで降りてきた
「さて、それに薬もそろそろ効いてきた頃でしょう」
「は?薬?な、に、言っ、て…」
メイトはいきなり倒れた
「何々!?メイトさん!」
メイトは白目を向いて痙攣していた
「ふう、金色共を捕らえろ」
「「「「はっ!」」」」
白衣達はメイトとシルフを捕らえてシルフは別の場所へ、メイトも別の場所へ連れて行かれた
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