ゴッドクエスト

紅蓮の焔

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13章 逃走!逃げた先は…?

177話賭け

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「それじゃあね~」
カオスは振り返って地面に押さえ付けられたレインを見下ろすと手を振った
「待てにゃ!」
唐突として聞こえた声に驚いてレインとカオスは声が聞こえてきた方向を向くとふわふわのフリルの付いたドレスを着た白い毛並みの猫の獣人の少女が走ってきていた
「ん~?君は誰かな~?」
「私はマニエルだにゃ!」
「あっそ、でも邪魔するんだったら死んで」
「嫌にゃ!でも何をするのにゃ!」
「う~ん…この体を乗っ取って世界征服?かな?」
マニエルはカオスの前まで来てキキーッと止まった
「なんなんにゃ?世界征服って?」
「要するに世界の支配だよ」
レインは手に押さえ付けられながらも2人の話を聞いていた
「っ!マニエルには手を出さないで!」
「う~ん…それじゃあ1つ賭け事をしよう。君がそれに勝てたら君も君の知り合い全員見逃すよ」
カオスは黒い球を自分の手の上に寄せるとそれを握った
「その代わり君が負けたら…」
言い終わると黒い球を握る力を強めた

パリンッ!

黒い球は砕け散りレインを拘束していた手が霧となり消えていった
「その時は君と君の知り合いを全員…殺す!」
と、濃厚な殺気を放ち出した
「…受けなかったら?」
「今この場で君もその子も殺すし君の体を乗っ取ったら君の仲間も殺すよ」
「お父さん?」
マニエルはカオスの殺気に付いて震えてレインの顔を伺った
「…分かった…その賭け…受けるよ」
「決まりだ!それじゃあ賭けの内容を説明するよ
君にも勝ち目が無いとつまらないから…それに僕は勝ちたいし…う~ん…そうだ!じゃあこれで!
君に僕の体をあげるよ。その代わり君の体を僕が乗っ取る
そして君1人だけだと可哀想だから君の精神世界に存在する君の仲間を現実世界にも存在できる様にしてあげるよ。これで僕の勝ちは殆ど決まったけど…君にも勝つ好機チャンスが物凄く…少しだけ巡ってきたね!
それじゃあ頑張って~!」
カオスはレインの髪を掴むと鳩尾に膝蹴りをした
「ごふっ!」
「ははは…!」
カオスはレインの鳩尾を蹴り、顔を殴り、そして…
「まだ気絶しないの~?」

バキッ!

「んっ!」
レインの肘をカオスが踏み潰した
「いって~…」
「これでも~?だったら」
カオスは次に左肘、そして左膝、右太股を踏み潰した
「ぐっ!ぎっ!いっ!」
「これでもまだか~?」
そしてカオスはレインの体をまたぐと右足を振り上げた
「これで終わるかな?」

ドンッ!

「ぐふっ!」

ぐちゃあ

レインの腹から臓物が飛び出して口から血を吐き出した
「はあ…はあ…」
「チッ、しぶとい奴が!」

ぐちゅぅ!ぐちゃっ!ぐちょっ!…

「はあ、はあ、ぐはっ!…はあ…はあ……カクッ」
「やっと終わったか」
血塗ちまみれになり、潰れた臓物を腹から飛び出ているレインを見下すと未だに震えているマニエルを見てニコッと笑った
「良かったね、生きてて」
カオスはマニエルの頭を撫でると通り過ぎる時に鳩尾に拳を入れて気絶させた
「さて、まずはここから頭まで行かないとな…」
カオスはキョロキョロと周りを確認して近くに四角い家があった
「あそこから行けるかな?」
特に何も考えずにそこへ行き、ドアに手を触れるとドアが急に開いた
「誰…?」
「これはこれは…少し中に入れてくれないかな~?神様?」
「だから…誰?」
「これはこれは!僕は皆が魔王と崇める者だよ」
「レインくんは?」
震える声で聞くとカオスは後ろを指差した
「レイン…くん…?」
リーナが膝から崩れ落ちるとカオスはリーナを押し退けて部屋の中へ入っていった
「うん、やっぱりだ。ここから直接頭に入り込める。ここをこうして…よし!それじゃあ良い最後を…」
カオスがバタンッとドアを閉めると同時に暗い空間に光が満ち溢れた
「これで復讐が…!」





カオスが目を覚ますと目の前でメルとメイトが泣きじゃくっていた
(え~と…)
「どうしたの?皆」
カオスが起き上がると自分の手を確認した
(成功だ!)
「お、お兄…ちゃん!…お兄ちゃん!」
メルが泣きじゃくりながら抱き付き、メイトも涙を拭いて笑顔でカオスの頭をくしゃくしゃと掻きむしった
「心配させやがって!」
「う、う~ん…」
3人はハッとしてすぐ隣にあった死体に目を向けた
それは再び黒いオーラが溢れだし、自らの体を再生していった
「…嘘だろ?殺しても死なない…どう殺れば良いんだよ!」
「大丈夫…あれを殺す方法は分かってるから…僕に任せて」
カオスは立ち上がると起き上がろうとしているレインを見下した
「(じゃあな)…」
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