ゴッドクエスト

紅蓮の焔

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14章 終わりの序章

193話男

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【最終決戦だ!】
メルは目の前の透明な膜が消えたと同時にメル達が立っている地面が切り離された様に神殿から離れて崩れだした
「っ!早く行くわよ!」
メルはリュート達に目で合図をすると動けない者や戦闘向けではない者を担いでは崩れた地面を蹴ってなんとか無事に登れた
「あ、あぶねぇ…」
「ねえ、メイトは?」
メルの言葉にハッとしたリュートは周りを見渡したがメイトの姿はどこにもない
「まさか!」
リュートが下を覗くと突然サツキとカオリが飛んできた
「メイト!」
リュートが手を伸ばすがメイトには届かなかった
そしてメイトは雲を突き抜けて落ちていく寸前で木から生えてきた手がメイトに向かって伸びていった
「な、なんだあれは…」
そしてそれがメイトを掴むと同時にメイトの悲鳴が聞こえてきた
「どうしたんだ!」
そしてメイトの悲鳴が聞こえなくなると同時にメイトが真っ二つに割れた
「嘘…だろ?」
「行きましょ…」
メルが唇を噛みながらリーナとマニエルを抱えると木に穴が空いている場所に入っていった





「がはははは!よく来た!人間共!」
目の前のゴリラの様に大きな白い髪の男がそう言うとメル達が入った穴が突然塞がり二手に別れてしまった
メルと穴の中に入った者達はリーナ、マニエル、アモ、アリウス、サツキ、アリスで、外に取り残された者達はリュート、クル、キル、チル、カオリ、ナタ、キラと、丁度7人と7人に別れた
「くっ」
メルは唇を強く噛むと血が滲み出てきた
「がはは!5人の女と2人の男か!…ヘドが出る」
突然変わった口調に驚くのも束の間でメルは突然吹っ飛ばされた
「がっ!」
「弱い…弱い、弱い弱い弱い弱い!弱い者が戦場に現れるな!邪魔だ!邪魔邪魔邪魔!」
アモが男を見ると手が巨大な金槌になっていた
そしてすぐに手が元に戻ると男はアモを見た
「男は楽しませてくれるよなぁ?」
男は狂喜の笑みを浮かべるとアモはヒヤリと汗を流した
「弱い!」
アモが気が付くと頭を掴まれていた
「離せ!離せ!」
アモは足掻いて男の手から逃れようとするが男の手に込める力が強くなると同時に悲鳴を上げた
「ぐあぁぁぁあ!い!いってぇぇぇえぇぇぇぇぇえぇえぇぇぇぇぇぇぇえぇええぇぇぇ!」
「はあ、弱い」
男は更に手に力を込めた
「ぎ!ぎやぁあぁぁあぁぁぁぁあぁあぁぁぁぁぁあぁぁぁぁあぁぁあぁぁぁぁぁああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

ブシュッ!

そしてアモは動かなくなった
「嘘…」
アリスは目に涙を浮かべて男を見て尻餅を着いた
「弱い者は死ね」
男はアモを投げるとアリスへ近付いて行く
「はあ…」
嘆息すると手を金槌に変化させてアリスに殴り掛かった

ガギンッ!

「ん?」
男がニヤリと笑ってアリスから離れると2本の剣を抜いたアリウスが立っていた
「ふぅぅ、嬢ちゃん1つ貸しだ、帰ったら飯でも作ってくれ」
アリウスはアリスにニカッと微笑むと男を睨んだ
「がはは!やっぱり男は強くなくてはな!お前!名前は!」
「知るか…本気を出した俺は…強いぞ?」

シュッ

「ん?」
気が付くと男の腹が何かに斬られていた
「俺は弱い者を憎んでいる…」
「は?うるせえよ」
アリウスが男の首に斬りかかると剣を掴まれた
「それを掴んでも!」

バキッ

掴んだ剣を壊され、もう1つの剣は男の太い手に刺さり取れない
「くっ」
アリウスは男を蹴るとアリス達を守るようにメル達をアリスと同じ所に連れてきた
「弱い者は戦場に出ても無駄死するだけだ
俺の友の様に…」
勝手に語り出した男を無視してアリウスは男のず太い足を蹴った
「話は最後まで聞け」
男がアリウスを掴むと力を込めた

ボキッバキッゴキッ

アリウスは声にならない悲鳴を上げて糸の切れた人形の様に動かなくなった
「お前も弱い…さて最後はお前達だ」
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