ゴッドクエスト

紅蓮の焔

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14章 終わりの序章

200話再会

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リュートが登っていって数分後…下の方から人を2人担いだ男が登ってきた
「ああ!アリウス!」
「ああ?なんだ、クルか」
アリウスはクル達がいる所と同じ高さまで登っていくと息切れしながらアモとメルを窪みに向かって放り投げた
「後はゴホッゴホッ!」
アリウスは突然咳き込んで血を吐き出した
「大丈夫なの!?」
「あ、ああ大丈っ!…夫だ」
口元の血を拭うとクルに向かって親指を立てた
「俺は大丈夫だ…そいつらを治してくれ」
「え?でも本当にだ「そいつらを治してくれ」」
アリウスが睨んで言うとクルは嘆息してアモの所へ向かった
「うわ、これは酷い…治せるかなぁ?」
「それじゃあ俺は上に行くから…」
アリウスはフラッと足場から落ちそうになるがなんとか体勢を立て直した
「何かあったら呼んでくれ」
そう言い残しアリウスは上へ跳んで行った





その頃リュートは浮遊物を足場に一番上の神殿ではなくナタを目指して登っていた
「中々…追い付けないな…」
リュートはキョロキョロと辺りを見渡すが休憩出来そうな場所は無い
「くそ、目指すしか…無いか」
リュートは嘆息して次の足場となりそうな浮遊物を探し始めた
「お、あれが良さげだな」
リュートが見付けたのは虹の橋だった人が一人乗れそうな大きさの浮遊物だ
リュートは、それが近くに来ると両膝を曲げてそれに向かって跳躍した

ストッ

「あれ?」
1つ登っただけなのにリュートの隣に突然神殿が現れた
「は?どうなってるんだ!?」
リュートは少し下に漂っている浮遊物に着地した
そして上を見上げると神殿は遠い場所にあり、どう考えても1回の跳躍ではそこまで行けない事が分かる
「…何かの魔法…なのか?しかし…こんな魔法は聞いた事も見た事も無いし…ま!いっか!」
リュートはさっきの浮遊物に跳ぶとやはり神殿が目の前にあった
息を大きく吐く、そして大きく吸うと神殿に向かって跳躍した
(届けぇ!)
そしてリュートの目の前で突然下から何かが昇ってきた
「な、なんだ!?」
リュートの目の前には黒い鱗の様な巨大な棒が下から昇ってきていた。リュートはその何かに手を伸ばしてそれを掴んで、そのまま引き抜いた
「ん?龍の…鱗?」
それを確認して空を見上げるとそこにはリュートを、巨大な目で見ている黒龍がいた
「…まじですか」
【貴様か?我の鱗を剥いだ者は】
リュートは手に持っている鱗を見るとポイッと捨てて作り笑いをして見せた
【なら貴様には死んで貰おう】

ガチンッ!

黒龍が噛み付いたがリュートは落ちていたので黒龍の歯は空を切って助かった
【少々遊び足りんが…まあ良いだろう】
黒龍は再び上へ向かって飛んでいった
「た、助かった~…フライングウィング」
魔法を唱えるとリュートの体は風に纏わせて神殿に向かって飛んで行った





その下でひたすらに上を目指している男が一人
「はあ、はあ、そ、そろそろ、や、やべぇ…な」
震える足と疲れと肋の痛みで意識が朦朧としていた

フラッ

そして落ちた
「し、死にたく…」
浮遊物へ手を伸ばすが落ちる速度に負けて掴めない
「は、はは…」
涙を流して暗い空を見上げる
(なんでこんな事をしなくちゃいけないんだ?何のため?何のためにこんな所に来たんだっけ?)
自分がここに来た理由も何も無い事を悟った男はただ涙を流して落ちていく
(何のために生きてるんだ?)
そしてその疑問に達した時にはもう体は雲の真上だッた

ガシッガシッガシッ!

そして黒い手がアリウスを掴むと四肢を引っ張っていく
(痛いなぁ…だけど…これでやっと終われる…)
笑顔で目を瞑ると突然手の力が緩んだ
掴む力は緩んでいないのに引っ張る力だけが緩む
「大丈夫ですか?」
風を切る音と共に聞こえてきた音に驚いて目を開けるとそこには自分が殺そうとしていたあの少年の姿があった
「な、なんでお前がここに!?」
そんなアリウスの疑問に答える事もなく木の根っこへ来た

バチンッ!

その音と共に少年の腕にどす黒い何かが張り付いた
「それじゃあここで待っててね」
少年はニコッと微笑むとアリウスを根っこに置き去りにしてどこかへ行ってしまった
「アリウス?」
横から聞こえてきた声にアリウスは警戒して振り向いた
「ん?メイト?」
思いがけない再会に2人共驚いて本物なのか真偽を確かめる為に少し距離を開けてお互いを見詰めあっていた
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