復讐の慰術師

紅蓮の焔

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4章 資格取得試験

42話 何もない1日

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「おい」
少年に突然話し掛けられ驚いてつい身構えた
「なんだ?」
「少し聞きたいんだが軍に入りたいんだが採用試験をどこで行っているのか分からなくてな…知ってるか?」
「それなら…そこを右に曲がって突き当たりを左、そして青い屋根の民家の隣にある小道を進むと見えてくる」
「ありがとな」
少年はレンゼに手を振って歩いていった
「はあ…」
溜め息を吐いて噴水を見詰めた
(噴水は良いよなぁ…身長なんか気にしなくても良いんだから…)
そんな事を考えていると噴水の水が一瞬途絶えた
「あ?」
目を擦ると再び水は出ていた
(気のせいか…)
「ふあ~あ…」
欠伸を掻いて伸びをする
(明日まで何もする事が無い…)
暇で空を見上げると雲行きが怪しく、灰色と化していた
(雨が降りそうだな…)
ベンチから立ち上がり、少し準備運動をした
(久し振りに走り込むか)
レンゼは脇をしっかりとくっ付けてランニングをし始めた
(あ、さっきの奴だ)
辺りをキョロキョロ見回して頭を掻いている黒髪の少年を見て、その後ろで止まった
「どうしたんだ?」
「あ…さっきの奴…実は道に迷ってな…」
「だったら連れていってやるよ。暇だし」
「ありがとな…名前は?」
「俺はレンゼ」
「ありがとなレンゼ。俺はアベルだ」
「それじゃあ行こうぜアベル」
レンゼはアベルの手を引っ張り歩いて行った





「ここだ」
「なあ、聞いて良いか?」
「なんだ?」
「なんで隠れてんだよ…」
現在レンゼとアベルは近くの茂みに隠れている
「実は俺、喧嘩売って帰ったから…しかもついさっき…」
「うわぁ…」
同情の目で見られたレンゼは少しイラッと来た
「あそこだけど中に入ればすぐに分かると思う」
「それじゃあありがとな。行ってくる」
「じゃあな~」
レンゼは手を振ってアベルを見送るとそそくさとその場を後にした
(あ…そう言えば俺、この服って充分目立つよな?)
自分の服を見直した
汚れがあちこちに付いていて肩の所や太股の辺りに穴が空いており、更に言えば元々白かった服が穴の付近には赤いシミが染み付いていて、少し黄ばみ始めている
ハッとして辺りをキョロキョロ見ると道行く人がレンゼを一目見て去っていく
(金貰ったらまず服屋に行って服を買おう…働かざる者食うべからずって言った人は凄いな…)
等と考えながら暇すぎて少し眠たくなって来たレンゼは欠伸を掻いて目を擦った
(ヤバい…疲れてきた…最近は色々あったからな~…例えば男を殺したり、拘束したり、体を変化させる事が出来る女を殺したと思えば生かされたりグリフォンに喰われたりガキ扱いされたり…疲れるわ…そろ…そろ…やす…み…た……い…)
歩いていると眠気に勝てなくなり近くの建物の裏手に回り壁に凭れようとすると倒れた
「くぅ…くぅ…」

……

…………

……………………

『ねえ、貴方の名前は?』

な…まえ…? そんな物は無い

『それなら僕が付けてあげるよ。そうだな~…チビくん!』

やめろ、そんな名前は嫌だ

『う~ん…それじゃあ……』


「はっ!」
目が覚めて辺りをキョロキョロ見回した
(またあの夢か…あれ男だったのか。あのぼさぼさ頭にそばかす…どこか懐かしい感じもしたがなんだったんだ?)
立ち上がって伸びをした
「もう夜か…春だったよな?」
冷たい風に頬をなぜられ、目を瞑った
(そう言えば…もう夜か…そろそろライズリックさんの所に行かないと…何か言われそうだし…)
濡れている地面を踏み締めてライズリックの元に向かった
「つめてっ!」
レンゼは今、体中が濡れている事に気が付いた
「うわぁ…シミが薄れたのは良いんだけど…こんなに濡れてちゃ風邪引くわ…」
少し嫌そうな顔をしてライズリックの元に向かった





「すいません…ライズリックさ~ん?」
レンゼは呼んでも返事が無かったので勝手に入っていきライズリックがいつもいる部屋に向かった

コンコン

「誰だ?」
「俺です。レンゼです」

ドゴッ!

「レンゼくん!? どこに行ってたんだい?」
ライズリックがドアを開けて出てくるとレンゼは鼻を押さえてしゃがみ込んでいた
「はんははほやほ(あんたら親子)、ほへほははほほうふふふほひへふは(俺の鼻をどうするつもりですか)!」
「? それはそうとどこに?」
(絶対に聞いてないだろこの人…)
レンゼは鼻血を拭くと鼻の中の血を吹き出してライズリックを見た
「あのですね? まずライズリックさんもあいつも俺の鼻を壊したいんですか?」
「え、いや、それは偶々で…ごめんね」
ライズリックが方目を瞑って合掌して謝罪すると嘆息した
「今日は試験に行ってきました。勿論合格しましたよ? その後は暇でアベルって子に道を教えて後は眠たくて寝てました」
「寝てたって…どこで?」
「どこかの家の裏で…」
その瞬間静寂が辺りを支配した
「それはそうとお金をくださいよ?」
「わ、分かってるって…」
「それでは…また明日」
「また明日って…どこか行くのかい?」
「いやだって今までは気絶してたりしてていつの間にかあそこで寝てたんですから…」
レンゼが出ていこうとすると手首を掴まれた
「今日も泊まって行きなよ。君が来てからシルビアも嬉しそうなんだよ。初めてのシルビアの友達として宜しくね」
「…初めての友達?」
「おや? 知らなかったのかい? あの子は性格に少し難があってね…ここまで長くシルビアと接してくれている子は君だけだよ」
それを聞いて「あぁ…」と漏らしてしまった
「だから…これからも宜しくね」
「は、はあ…それでも明日はしっかりと貰いますからね」
「あ…あはは…分かってるよ…」
「それと今日もシルビアと寝るんですか?」
「? それ以外に何かあるのかい?」
「いえ、昨日の事があるので…」
レンゼが少し気不味そうにしているとライズリックは笑いだした
「大丈夫だよ! 私としては君達がそのままヤっちゃえば良いと思ってるけどね。それでも君は理性があるんだ。気にする事は無いよ。それにもうそろそろ夜も更けてきた。服を着替えてシルビアの部屋に行きなさい」
「服?」
「そうだよ。今日シルビアが男の子様の服を買ってきてたんだ。それがこれだよ」
ライズリックが部屋の端に置いてあった袋から黒い物体を出してきた
「これが…?」
「あぁ、『レンゼに渡しておいて』って言われたからね」
レンゼはそれを受け取り、広げてみた
それは黒い長袖のニットシャツに黒い長ズボン、そして黒い靴だった
(あいつ…これ絶対に動きにくいだろ…)
「まあ、感謝しておきます…」
「ほら~、早く着替えなよ」
ライズリックに急かされ早速その場でその服に着替えた
「おお…これは!」
「どうだい?」
「以外と動きやすいんですね」
意味ありげに驚いていたレンゼに対してライズリックは拍子抜けして苦笑した
「あ…たしかその靴は何か細工しているらしいよ」
「へぇ~…」
レンゼは履いている靴を見て何の細工をしているのか気になったが分からず、明日にでもシルビアに聞く事にした
「それじゃあ早く寝なさい。子供は寝る時間だ」
「あ? 今なんて?」
「私からしたら14も子供だよ。早く寝なさい」
「…分かりましたよ…今回は…」
そう言い釈然としない感じでレンゼは部屋を出た
「さて…これをどうしようか…」
ライズリックは机の上の1枚の紙を見詰めた。その紙には
『金髪の少年の出動を要請する
軍本部より』
「レンゼくん…一体何をしたんだか…」

その頃レンゼはシルビアが寝ている部屋に戻って、ベッドに凭れ掛かり眠りに着いた
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