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12章 放浪
154話 親バカ
しおりを挟むバタンッ!
「ここに居たか! ちょっと来い!」
突然入って来た中年の男に引き摺られて先程の部屋に戻って来た
「一体どういう事だ? お前なんかに俺の娘はやらんぞ!」
「そ、それが「口答えするな!」」
怒鳴られ、ビクッと体を震わせて無意識に正座していた
その後は説教と言うよりも半ば、娘に最近嫌われているのか等、愚痴になっていた
(大人って皆、最後には愚痴になるのかぁ…?)
しかし口を開こうとするならばすぐに怒声が飛んでくるのでそのまま待つ事しか出来なかった
「お父さん! リゼちゃんに何してるの! わたしのお友達だよ!」
ムミが止めに入って来たと同時に男はギラッとレンゼを睨み付けた
「お友達…お前! 女だからってムミに手を出すつもりなら許さないぞ!」
「出しませ「口答えするなぁ!」…はい…」
(て言うか…この人過保護過ぎる…遠回しに友達作るなって言ってるのと同じだろ…)
「それで…? 親はどうした? お父さんは? お母さんは?」
「お父さんは…知りません…お母さんは…殺されました…」
俯いて答えると頭の上で子猫がナ~…と寂しげに鳴いた
「今…猫の声がした様な…?」
「き、気のせいですよ! とにかくコートを貰えれば私は出て行きますから!」
男はギラッと再びレンゼを睨み付け、レンゼは蛇に睨まれた蛙の状態になった
「ったく…お前の名前は?」
「…リゼ…です…」
「よし。リゼ、俺はお前を養子として引き取る。だから無茶はするな」
「ダメ! …です。そんな事をすれば…!」
どう伝えようか迷ったレンゼは黙り込んだ
「そんな事をすれば…なんだ? お前のお母さんが殺される様な事をしたのは分かる。だがお前が命をね「母さんはそんな人じゃ無い!」」
今度はレンゼが怒鳴り付け男は驚いた顔をした
「母さんは元気で…面白くて…美味しいご飯を作ってくれる優しい母さんだ! お前みたいな男に母さんの悪口を言われる筋合いは無い!」
肩を上下させて言い終わると辺りに静寂が降りた
「フシャ~!」
するとヒールゥが威嚇する様な声を出すと男とムミはジッとレンゼの頭を見詰めた
「「猫!?」」
この時、ヒールゥの正体がバレてしまった瞬間だった
数分後…
ヒールゥを間近で見ようとレンゼの頭からヒールゥを取ろうとする2人に事情を説明する羽目になってしまった
「…つまり成長しない子猫を拾って育てて見るも全く育たなかった訳か?」
「…まあ、そう言う事です」
(ゴーレムって言っても説明難しいし)
「うわぁぁあ…! 可愛い! 触っていい!?」
目をキラキラさせてヒールゥを見詰めるムミに横に首を振った
「ごめん。これだけはダメ」
ガーン! と落ち込むムミを見て男はレンゼを睨んだ
「それ位良いだろ! 何がいけない! なんだ!? 家の娘が汚いとでも言うのか!?」
「違います。この子、心臓が弱くて私以外の人が触ると心臓発作起こしてしまうんですよ」
「しんぞーほっさ?」
「心臓発作って言うのは驚いて息が出来なくなる事だよ」
それを聞いてムミは更にガーンと落ち込んだ
「だからダメなんです。ごめんなさい。後、ここに居ればあなた達にも被害が出てしまう。それは避けたいでしょう?」
「しかしお前を1人で外に出せ「大丈夫ですよ。母さんが殺されたのは随分と前です。今回は少し手傷を負ってしまいましたが今まで大丈夫だったんです。これからも大丈夫ですよ」」
男は大きく叫んで頭を掻いた
「ちょっと待ってろ!」
立ち上がって男は部屋を出て行ってしまった
「どうしてリゼちゃんのお母さんが殺されちゃったの?」
「それは…分からない…でもね。今まで襲われても何度も倒して来た。それはこれからも変わらない」
「…大人の人を倒したの?」
ムミの言葉にコクッと頷いた
「凄い! まるで英雄さんだね!」
「…英雄?」
「うん! リゼちゃんより髪の毛は短いんだけど小さくて髪の毛と目が金色の女の子みたいな男の子がお店を襲った軍人さんを倒して連れて行ってくれたの! その時偶々見逃しちゃったけど…リゼちゃんもその英雄さんに助けて貰えると良いね!」
満面の笑顔で説明するムミを見て感情の篭っていない笑みで返した
「…うん。そうだね」
「わたしも結婚するならそんな男の子と結婚したいなぁ! 私達よりも年上だけど、優しそうでしょ?」
「…優しくないと思うよ。女の子を悲しませて、自意識過剰で、すぐに逃げ出す臆病者だよ…きっと…」
「ううん! その人、女の「戻って来たぞ!」」
言葉を遮られたムミは男にポカポカと殴り付けた
「ほら、コートと金! 少ないが持って行け! 金ならすぐに手に入るからな!」
「…ありがとうございます」
そのコートは赤い色をしていて若干センスが疑われた
「血が付くならその方が良いだろ! 後その服! もうちょっと動きやすい服も買って来たからこれに着替えろ!」
「そこまでして貰わなくても大丈夫ですよ」
首を横に振って遠慮すると男はレンゼを掴まえて無理矢理服を着替えさせた
その時にヒールゥの爪がレンゼの頭に食い込み、着替えさせられるよりもそっちの方に意識が向かっていた
「これは?」
レンゼは黒い、少しスベっとしたとても軽い服とズボンを着せられていた
「それなら柔軟性良し、少し固い素材で出来てるから怪我もしづらい。更に汚れにくい。後、金だ。世の中辛いかもしれないが…頑張れよ…」
「ありがとうございます」
お金を受け取って出て行こうとすると肩を掴まれた
「まあなんだ。今日は飯でも食って行け」
「いえいえ気になさらず」
腹が鳴りそうになったので自分の腹を殴って止めるとその手を払ってペコリとお辞儀をするとその家を出て行った
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