復讐の慰術師

紅蓮の焔

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12章 放浪

175話 ヴァニティー

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ガキンッ!

ナイフで斬り掛かったが簡単に弾かれ、金属音が手から全身に響き渡った
それと同時に少し後ろによろけ、再びヴァニティーに斬り掛かった
「うあぁぁアアア!」
「無駄です」
何度振っても躱され、弾かれ、息を切らし始めた
「おやおや、体力消耗が激しいようで」
「五月蠅え! ハァ…ハァ…」
頬を伝う汗を拭うと一旦距離を置こうと地面を蹴って後退した
「おわっ!」
尻餅を着き、慌ててヴァニティーを見るとナイフを片手にレンゼに迫っていた
ナイフで防御しつつ、ある程度まで近付くとヴァニティーの腕を蹴り上げながら後ろに倒れた
レンゼの腹を蹴って上へ上がるとナイフを逆手に取り、レンゼの脳天目掛けて刃を向けて落下する
「ッッ!」
横に転がって躱すとフード部分にナイフが突き刺さった
「それじゃあ武器は使えないだろ!」
「そうですね…このナイフは使えませんが…背後に良き立場の人物がおりますので武器の心配は要りません」
袖からナイフを取り出すとレンゼはギョッとして慌ててコートを脱ぎ始めた
「遅いですよ」
ナイフを振り下ろすヴァニティーの腕を叩くと、左肩が鈍い音を鳴らした
「があぅッ!」
そのお陰で肩を掠めるだけで終わり、腕をコートから出して走って距離を置いた
「…肩を…外したのですか…?」
「は、外した…よりも外れた…の方がしっくりくるな…」
ナイフをコートの側に置いてきてしまった事に気付いて苦い顔をした
(マズい…! 左肩は脱臼して使えないし…奴の武器の数は不明…酷いな…いつも通りご都合展開…来たら良いのに…誰か来い~…!)
「…使うのも、良いかもしれませんね…」
ヴァニティーはヒュッとナイフをレンゼに投げた
(投げた! つまりまだ余裕があるって事かよ…!)
右に重心を傾けるとナイフが目下を掠め、後ろの木に深々と突き刺さった
「チッ…!」
ゆっくりと下がっていくがヴァニティーは走ってレンゼを追う
「くそっ!」
レンゼも走って逃げると後ろから風切り音が聞こえ、転がると左肩に激痛が走った

ビュッ!

しかしナイフは躱せ、よしっ! と呟くと再び立ち上がって木の間を縫って走って行くとナイフを投げ付けて来なくなった
(やっぱり! 奴は真っ直ぐの的にしか当てれないみたいだな…後曲がるのは苦手なのか…そうかそうか…クックック…今使えるのは…この靴位か…何か打開出来る方法は……う~ん…)
考えながら右往左往していると後ろから声が聞こえてきた
「そろそろ体力が切れてきたんじゃありませんか?」
(言ってくれるぜ…こっちはムカムカしてるって言うの! ったく…奴が止まっ……よし。だったら止まらせてやろう…クックック…)
丁度良い高さに枝が生えている木を探して少し経つと漸く見付けて、それにタックルして折るとそれを持ってその木の周りを回り始めた
「遂に諦めましたか…」
「いいや! 諦めんのはてめぇだ! たっぷりと仕返ししてやるから覚悟しろよ…!」
一周するとヴァニティーが近付いてきて再び逃走を開始して同じ様に辺りの木にも同じ事をしていく
(後少しで勝てる…! 窒素は大気中に山程あるんだよ!)
逃走しつつ最初に枝を引き摺りながら一周した木の根本で魔術式を画く
(次で最後!)

ガガガッ!

木にナイフが数本突き刺さり、ゾッとした
「ハァ…ハァ…お遊びはここまでだと…言った…でしょう?」
「ハァ…ハァ……ハァ…そ、そう…だな…」
ニィ~~~イッと口角を上げて枝で地面を引っ掻いた
「もう…すぐ…! 俺の、勝ち…だな!」
地面に両手を置くと魔術式が青く光り輝いた
「? 一体何を?」
(こいつらの見た目から考えて俺らと同じ様な造りって言う事は分かってるから後はどうやれば人間を捕まえるかを考えれば良いだけだ)
ヴァニティーがある程度まで近付くと再び近くの木へ走り出し、同じ事をした
「何をしているのですか?」
「後15秒」
ニヤニヤ笑いながら魔術式を光らせるレンゼを見詰めて息を切らしながら考え込んだ
「残り7秒…」
更にヴァニティーは目を泳がせ、歯を小刻みに震わせてレンゼを睨み付けた
(この子は何を考えてるの…? 一体…一体…?)
「2秒」
ヴァニティーは頭を抱えて考え始めた
「終わりだ」
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