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12章 放浪
194話 お泊りの夜
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お風呂に入れられたレンゼはシルビアの部屋で濡れた髪を梳かれていた
「それにしても不思議ねぇ……硬いのにサラサラ……凄い不思議な物を見てる気がするわよ……」
「そ、そうですか……? よく言われるんです」
小声で、一回だけだけど……と呟くと深呼吸をして黙って梳かれ続けた
因みにヒールゥはレンゼの手の上で丸くなっていた
「ゴムか何かある?」
「あ、鞄に」
シルビアはベッドの上に置いている鞄の中を探るとゴムを見付けてレンゼの髪を括った
「よし! これで終わり!」
項の辺りで括るとシルビアは首を傾げてレンゼの髪を触って見詰めた
「何か……あったんですか?」
「う~ん……まあいっか! 忘れるくらいだし大した事じゃないよね~!」
大きく笑うシルビアを見て釣られて笑うとドアが開いた
「お嬢。湯には入られましたか?」
「えぇ。入ったわよ~。ナクリも入って来たら?」
「はい。今からそうするつもりです」
ナクリはペコリと軽くお辞儀をすると部屋を出て行った
「それじゃ、私達はおねんねしましょ~ね~」
「……はい」
鞄をベッドから降ろして端の方で横になって目を瞑るとすぐに意識を手放した
……
…………
……………………
よお。俺
「んん~?」
目を擦って上体を起こすと金髪が腰まで伸びた金眼の途轍もない程女顔の全裸少年がレンゼを見下ろしていた
「またお前かよ……」
そうそう。それでさ~ちょ~っと片割れがマズいんだよ……
「片割れ? ……ッ! もしかしてロゼの事か!?」
? あ、あぁ。そうか。今生では俺の魂は二つに別れてんだよ。多分そのロゼだ。名前までは知らん
「ロゼがどうマズいんだよ!」
レンゼは『俺』の肩を掴んで前後に思いっきり揺らした
落ち着け落ち着け~……
少し経って落ち着くとレンゼは『俺』の話を座って聞き始めた
ん~……なんて説明すれば良いのか……
「分かりやすくなくてもいいから」
そうレンゼが言うと『俺』は頷いた
……少し嫌な予感がする……って言うかゾクゾクするって言うか……ん? あれだ! 人で言う恐怖!
『俺』がピシッとレンゼに指を指す
「へぇ~。つまり何かに怖がってると?」
あぁ。それにあっちは出来てるけど……まあ良い。とにかくだ。早くお前も行ってこい!
「いやいや、場所も分からんしラストがいるだろ」
そんな奴は知らねぇ。早く行け。もしかしたら能力開放出来るかもよ? そうすれば俺も都合が……と、とにかく早く助けてやれ!
「今絶対に都合が良いとか言おうとしてたよな?」
さ、さあな……と言う訳でまた今度。用があれば呼び出す
突然レンゼを影が覆う
「ハァ……とにかくロゼが危険かもって事だろ?」
『俺』がコクンと頷くと重々しく閉じていく扉に向かって歩き出した
「分かった。場所が分かり次第すぐ向かう」
ガコンッ!
扉が閉まると同時にレンゼは目を覚ました
「……ロゼ……一体何を?」
ベッドから降り、窓から空を見上げる
少し青みが掛かった夜空に左側が青白い半月を見て若干、目を細めた
「危険……あのロゼが……」
俯いて前回ロゼと交戦した際の事を思い出すと、ブルッと体を震わせて顔を顰めた
「何処に居るんだよ……ロゼ……」
再び夜空を仰ぎ唇を噛んだ
「ナ~」
ヒールゥは肩から腕へコロコロと滑り落ち、レンゼの掌に乗るとレンゼの顔を見上げた
「なあ……ロゼが危険ってどんな状況なんだろうな……」
「ニャ~?」
「分からねぇよなぁ……」
項垂れて溜め息を吐くとヒールゥを再び肩に乗せた
「明日……乗り込むか……もしかしたら何か掴んでる可能性もあるしロゼの目撃情報とかも……」
窓から離れてベッドに戻ろうとするとシルビアとナクリが互いに背を向けて眠っていた
「床で寝よ……」
鞄の中から寝袋を取り出し、中に潜り込むと眠りに着いた
「ハァ……ハァ……」
ロゼは血が流れている頭を押さえ、暗い部屋の壁に凭れて舌打ちした
「まさかこんな事になるとはね……」
傷口が赤い光で覆われ、光が消えると傷口も塞がっていた
「くっ……あいつ……一体見付けるのにどれだけ掛かってるのよ……!」
右の目尻に青筋を浮かせると深呼吸した
「やるしか……」
壁から伝わる声を聴く
ドタドタドタ……
「探し出せぇ! 奴はガキだ!」
「おい! 女の方は!?」
「絶対に逃がすな! 「はい!」様に殺られるぞ!」
「全く……何様よ……」
頂けませんねぇ……
突然どこからか聞こえてきた声に驚いて身構えた
ギロっ!
後ろから視線を感じ、振り返ると……
「やれやれ……面倒事を増やさないで頂きたい。ただでさえ娘の計画も崩されこちらも対処に困っていると言うのに……」
少年が壁から出て来てロゼは慌てて魔術式を展開する
ザシュッ!
「不完全とはいえその身体なら首を貫かれた程度では死にはしないでしょう?」
傷が癒えている途中、少年が指を鳴らすと部屋の灯りが付いた
「やはり子供の姿は生活に置いて不便です。しかしこれが油断を招く事が可能なのもまた事実……」
少年を中心に影が拡がりロゼを呑み込んだ
「後は彼女だけですが……厄介なモノですね……」
溜め息を吐くと少年は再び指を鳴らした
それと同時に部屋の灯りが消えた
「それにしても不思議ねぇ……硬いのにサラサラ……凄い不思議な物を見てる気がするわよ……」
「そ、そうですか……? よく言われるんです」
小声で、一回だけだけど……と呟くと深呼吸をして黙って梳かれ続けた
因みにヒールゥはレンゼの手の上で丸くなっていた
「ゴムか何かある?」
「あ、鞄に」
シルビアはベッドの上に置いている鞄の中を探るとゴムを見付けてレンゼの髪を括った
「よし! これで終わり!」
項の辺りで括るとシルビアは首を傾げてレンゼの髪を触って見詰めた
「何か……あったんですか?」
「う~ん……まあいっか! 忘れるくらいだし大した事じゃないよね~!」
大きく笑うシルビアを見て釣られて笑うとドアが開いた
「お嬢。湯には入られましたか?」
「えぇ。入ったわよ~。ナクリも入って来たら?」
「はい。今からそうするつもりです」
ナクリはペコリと軽くお辞儀をすると部屋を出て行った
「それじゃ、私達はおねんねしましょ~ね~」
「……はい」
鞄をベッドから降ろして端の方で横になって目を瞑るとすぐに意識を手放した
……
…………
……………………
よお。俺
「んん~?」
目を擦って上体を起こすと金髪が腰まで伸びた金眼の途轍もない程女顔の全裸少年がレンゼを見下ろしていた
「またお前かよ……」
そうそう。それでさ~ちょ~っと片割れがマズいんだよ……
「片割れ? ……ッ! もしかしてロゼの事か!?」
? あ、あぁ。そうか。今生では俺の魂は二つに別れてんだよ。多分そのロゼだ。名前までは知らん
「ロゼがどうマズいんだよ!」
レンゼは『俺』の肩を掴んで前後に思いっきり揺らした
落ち着け落ち着け~……
少し経って落ち着くとレンゼは『俺』の話を座って聞き始めた
ん~……なんて説明すれば良いのか……
「分かりやすくなくてもいいから」
そうレンゼが言うと『俺』は頷いた
……少し嫌な予感がする……って言うかゾクゾクするって言うか……ん? あれだ! 人で言う恐怖!
『俺』がピシッとレンゼに指を指す
「へぇ~。つまり何かに怖がってると?」
あぁ。それにあっちは出来てるけど……まあ良い。とにかくだ。早くお前も行ってこい!
「いやいや、場所も分からんしラストがいるだろ」
そんな奴は知らねぇ。早く行け。もしかしたら能力開放出来るかもよ? そうすれば俺も都合が……と、とにかく早く助けてやれ!
「今絶対に都合が良いとか言おうとしてたよな?」
さ、さあな……と言う訳でまた今度。用があれば呼び出す
突然レンゼを影が覆う
「ハァ……とにかくロゼが危険かもって事だろ?」
『俺』がコクンと頷くと重々しく閉じていく扉に向かって歩き出した
「分かった。場所が分かり次第すぐ向かう」
ガコンッ!
扉が閉まると同時にレンゼは目を覚ました
「……ロゼ……一体何を?」
ベッドから降り、窓から空を見上げる
少し青みが掛かった夜空に左側が青白い半月を見て若干、目を細めた
「危険……あのロゼが……」
俯いて前回ロゼと交戦した際の事を思い出すと、ブルッと体を震わせて顔を顰めた
「何処に居るんだよ……ロゼ……」
再び夜空を仰ぎ唇を噛んだ
「ナ~」
ヒールゥは肩から腕へコロコロと滑り落ち、レンゼの掌に乗るとレンゼの顔を見上げた
「なあ……ロゼが危険ってどんな状況なんだろうな……」
「ニャ~?」
「分からねぇよなぁ……」
項垂れて溜め息を吐くとヒールゥを再び肩に乗せた
「明日……乗り込むか……もしかしたら何か掴んでる可能性もあるしロゼの目撃情報とかも……」
窓から離れてベッドに戻ろうとするとシルビアとナクリが互いに背を向けて眠っていた
「床で寝よ……」
鞄の中から寝袋を取り出し、中に潜り込むと眠りに着いた
「ハァ……ハァ……」
ロゼは血が流れている頭を押さえ、暗い部屋の壁に凭れて舌打ちした
「まさかこんな事になるとはね……」
傷口が赤い光で覆われ、光が消えると傷口も塞がっていた
「くっ……あいつ……一体見付けるのにどれだけ掛かってるのよ……!」
右の目尻に青筋を浮かせると深呼吸した
「やるしか……」
壁から伝わる声を聴く
ドタドタドタ……
「探し出せぇ! 奴はガキだ!」
「おい! 女の方は!?」
「絶対に逃がすな! 「はい!」様に殺られるぞ!」
「全く……何様よ……」
頂けませんねぇ……
突然どこからか聞こえてきた声に驚いて身構えた
ギロっ!
後ろから視線を感じ、振り返ると……
「やれやれ……面倒事を増やさないで頂きたい。ただでさえ娘の計画も崩されこちらも対処に困っていると言うのに……」
少年が壁から出て来てロゼは慌てて魔術式を展開する
ザシュッ!
「不完全とはいえその身体なら首を貫かれた程度では死にはしないでしょう?」
傷が癒えている途中、少年が指を鳴らすと部屋の灯りが付いた
「やはり子供の姿は生活に置いて不便です。しかしこれが油断を招く事が可能なのもまた事実……」
少年を中心に影が拡がりロゼを呑み込んだ
「後は彼女だけですが……厄介なモノですね……」
溜め息を吐くと少年は再び指を鳴らした
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