復讐の慰術師

紅蓮の焔

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13章 前哨戦

203話 大人達

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「……ッ!? なんであいつがこんな所に!?」
人混みに隠れて少し先に集まっている大人達の中にヴァニティーが居たのだ
「もしかして俺を狙ってここまで……? いや、髪の色を変えてたから分からなかった筈だ……だとしたらどうやって嗅ぎ付けた? ……それにあの大人達……ヴァニティーの事を知らないのか? もし知ってたとすれば奴らの仲間……」
自らの予測にゾッとして不意に後退った

トンっ

「あ、ごめんなさい!」
慌てて振り返ってペコリとお辞儀する
「良いよ良いよ。……あ、君、女の子?」
「え?」
顔を上げると微笑んでレンゼを見ている金髪碧眼の青年、ジョン大佐がそこに居た
「あ! あの時の人!?」
「ん? 俺の事を知ってるのかい? はははッ。でも俺の心はある人のモノだからあげられないよッ!」
ウィンクしてくるジョンを見て頬を引き攣らせた
「凄腕の魔術師なんですよね?」
「そうだけど……よく知ってるね~。君、名前は?」
「レンゼです」
「うんうん。レンゼちゃんか。その事を何処で知ったのかな?」
その時、ジョン大佐が嵌めている手袋が淡く青く光り、パチパチと小さく聞こえてくる
「実は……お、お義母さんから!」
「お母さん? ……ハッ! もしかしてリズさんかい!?」
首を縦に振るとジョンは馴れ馴れしくレンゼの頭を撫でた
「まさか君がリズさんの子供だとは知らなかったな~! こんな所で何してるの?」
「もう一度聞きます。凄腕の魔術師なんですよね?」
「あぁ。そうだけど?」
「何かあった際には……この国の人達を守ってくれませんか?」
「? 言われなくても軍人だから皆の事は守るよ?」
「……そう……ですか。それなら良いんです。ありがとうございました」
ペコリとお辞儀をするとジョンから離れた。しかし、ヴァニティーを含めた六人の大人達からは距離を保ちつつ監視を始めた
「奴らを逃がせばアリサが危険に……それに商会の根城であるここに来るって事はやっぱり……」

トンっ

「ッ!」
肩を叩かれ、振り返ると金髪の中年の大人が立っていた
「やあ。初めまして。少し「お前はあの時の……!」」
指を指して山中で出会った倒れていたまるでゾンビの様な男を指差して震えていた
「もしかして君の名「聞くんだったら自分から名乗るのが定石だろ!」」
「ハハハ、ごめんね。俺の名はイラ。君の名は……レンゼ……かな?」
「ッ!?」
「当たってたみたいだね」
目の前で微笑む男を見詰め、口をポカンと開ける
「な、なんで俺の名前を……? それに俺の性別も……」
「何故か……って? アリシアの娘さんに聞いたんだよ」
「……ッ!」
それが誰だか分かった途端、レンゼの目尻に青筋が浮かんだ
「おいてめぇ……! アリサに何しやがった……! 返答次第では生きて帰さねぇぞ……!」
「そう怒るなよ。俺はその子に何もしてないからさ」
「ならなんで「だから、さっきから言ってるだろ? 怒らせるのも大概にしなさい……! レンゼ」」
厳かな雰囲気を漂わせる男の言葉にビクッとした
「さあ。だから、少しお話ししようか。あの人たちと一緒に……」
そう言って指を指した先に居た人物。ヴァニティーがレンゼを見て笑みを浮かべ、その瞬間レンゼの顔から血の気が引いていき顔が青くなった
「まさか……お前も奴らの「何処まで知ってるのかは知らないけど……もう彼女は逝ってしまったんだ。俺はもうこの世界に未練は無い。今日この日、全てを、終わらせる。ロゼに宜しく」」
「二人で何を話しているんですか?」
「「ッ!」」
イラとレンゼが振り返るとレンゼよりも少し小さい幼児、シンの姿があった
「お久し振りです。レンゼさん。イラさん」
ニコッと微笑むシンの顔を見て、レンゼはダラダラと冷や汗を掻いている
「少し、あちらでお話しましょう? 皆さんが待っていますよ?」
六人の大人達を指差してそう言うとイラは、あぁ。と答えてレンゼと手を繋いでそこへ歩いて行った
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