復讐の慰術師

紅蓮の焔

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14章 帰郷

241話 防衛戦

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「よいしょっと」
キッチンから包丁を取って握り締めた
「この状況じゃ短期決戦が最良……」
玄関まで歩いて行き、音を立てないように鍵を開けてドアノブを回した

ダンッ!

「こ、こわぁ……」
ドアのレンゼの少し上辺りに穴が空いた
それと同時にゆっくりとドアが開いていき、それに沿って壁側に後退した
ドアから細身の男が顔を出して辺りを見回した
「誰も居ねぇな……」
息を殺してしゃがんでいるレンゼは視界には入ってなかった様でバレなかった
男がレンゼを通り過ぎたと同時に床を蹴って男の膝裏に思いっ切り包丁を突き刺した。すると血が飛び出しレンゼの手に掛かった
「ぎゃっ!」
突然の事に驚いて倒れると、男から包丁を抜いてすぐ様拳銃を蹴って離し、脊椎に両手で思いっ切り突き刺した

ゴリッ

「うプッ……」
男が絶叫すると同時に顔や腕が紅く塗りたくられ吐き気を催し、包丁を抜いた
「いでぇよぉ……うっうぅぅ……」
「うらあぁぁああああ! うらっ! うらっ!」
思いっ切り叫んで肩を何度も突き刺し、嘔吐した
「ハァ……ハァ……」
「いでぇ……いでぇよぉ……話が違うじゃねぇかぁ……女みてぇなガキって聞いたのにぃ……」
鼻水も垂らしながら涙を流す男から離れると拳銃を取った
「ハァ……ハァ……骨を断つって言うのがここまで気持ち悪いとは思わなかった……」
拳銃の残り弾数を確認して深呼吸した
「……残り二発。こいつの仲間にあの速い弾の奴が居るとして後最低一人は居る……でもそいつは見た限りだと動けそうにないからそいつの護衛に大体二~四人……両方撃てたとして最高二人は残る計算になる。……ヤバい勝てそうにねぇ……」
手に持った拳銃を見て溜め息を吐いた
「今更頼むのも気まずいし……本当にどうしよ」
一先ずドアを閉めて鍵を掛けると倒れて声を殺して泣いている男の顔をつついた
「なあ、話が違うって言ってたけど……誰から聞いた? 俺を殺しに来る奴でこの場所を知ってる奴と言えば一人しか思い浮かばねぇけどな」
「いでぇぇぇ……」
「そりゃ答えられねぇよな……何か知ってるかと思ったけど検討違いか。どうせ下っ端の雑魚だろうし」
立ち上がってアリサの部屋を見詰めた
「守ってやるからな……」
男を見て口元を押さえると、首の上から包丁を落とした
紅く、床に温かな絨毯が敷かれた
「……俺が死ねば奴らは目標が居ないって事でここを……いや、恐らく略奪の限りをし尽す。そうなればアリサ達は……」
小さく悲鳴を上げ、血の気が引いた
「やっぱり……いや、頼れば危険に晒す事になる」
「ニャ~」
「部屋に戻ればまた銃弾が飛んで来るんだぞ? しかも見えないと来た。無理だ無理」
「ニャ~ニャッ!」
「本当か~? でも今鞄はアリサの部屋にあるんだよな……この姿見られたら驚かれるし……どうしよ」
大きく溜め息を吐いて指に血を付け魔術式を画いた
「よし」
深呼吸をしながら両手を翳すと魔術式が青く光り、レンゼの顔色が悪くなりそれと同時に手が、髪がゆっくり黒く染まり始めた


数分後
「ハァ……ハァ……ハァ……」
尻餅を着いて息を整えると蹌踉めいて立ち上がり、深呼吸をした
「一応これで弾丸は防げる……筈。あの町には本当に感謝だ。炭素硬化。これ程役に立つとは思わなかった……成る時に多少息苦しくなるけど死ぬ訳じゃないからな」
再び呼吸を整え終わるとドアの鍵を開けた
「……よし。こっちから迂回して敵の背後を取り即座に片付ける。これ、防弾と同じだし多分出来る。無理ならこの銃で……」
携えた拳銃を撫でると辺りを警戒しながら歩き出した


「……居た」
小声で呟くと目の前でライフルを持って木に隠れている男を後ろから見詰め、木に隠れた
「これでアリサ達は……護衛が居なかったのは、不自然……だけ……ど……」
ハッとしたレンゼは直ぐ様、男の首に飛び付き首筋を引っ掻いた
プチッと音が鳴りそれと同時に血が噴き出した
「くそっ! やっぱり来なければ!」
そこから家に向かって一直線に駆け出した
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