当たり前の幸せを

紅蓮の焔

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三章 炎は時に激しく、時に儚く、時に普遍して燃える

148話 『信頼性スタンディングアウト』

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 ──ミズキはジッとレイカを見詰めていた。

 浮遊し、手持ち無沙汰で膝を抱え、くるくるとシャボン玉のように部屋の中をあっちへこっちへ移動する。くるくる、ぷかぷか。しかし、どこに流れようともその視線はくっきりレイカを捉えて放さなかった。

 ふわっ、と髪が踊り出てレイカが視界から消える。が、すぐに髪の隙間からレイカが見え、また見つめる。しかしレイカは気が付かない様子でレイとの会話に夢中になっていた。

「ねーねー、二弥ちゃんさ」

「うん」

「──きっと、怖いんだよね。女の人って言うか、大人の人が」

「……そうかもね」

「私さ、お父さんもお母さんも、あんまり帰って来ないし、どっちかって言うとネネさんがお母さんで、レイくんがお兄ちゃんって言う、そんな家族みたいに思ってる。……コウくんは、もっと大っきなお兄ちゃんって感じだった」

 だからさ、とレイカはベッドの上に座り込み、後ろに倒れるようにして伸びをして、その体勢のまま手をベッドに下ろして壁を見つめる。足をぷらぷら揺らす。

「家族ってきっと、あんまり意味は無いんだと思う。私はお父さんもお母さんも好きだけど、ほとんど帰って来ないし、ネネさん達の方が家族みたいとも思うし。だから、その……何が言いたいのかって言うと──」

 足を揺らすのを止めて、レイに顔を向けて言う。

「本当の事を言えないとさ、ちゃんとできないんだと思う。こう──以心伝心? とか。……とにかく、仲良くなれないんだと思う」

「……そう、だよね」

「ちゃんと伝えて欲しい。それで仲良くなれば良い。私はそう思ってるんだ」

 レイカを見つめ、ぷかぷかぷか。ミズキは中空を漂いながらひたすら、レイカに悔恨の念の篭った瞳をぶつけていた。切り傷に塩を塗られた顔をして、ミズキは目を伏せた。
 その思考はゆっくりと過去へ遡っていき、やがてある人影の前に立ち尽くす。

 その人影は湯煙のように揺らめき、男女の区別がつけづらい、抽象的な人の形をしていた。その人影へと近づいて行くがその不明瞭さは相変わらず、距離も方向もありとあらゆるものが曖昧に感じる場所だと既に知らされているミズキはある程度歩くと立ち止まって、その人影へと問いかける。

 あなたは誰だ、と。

 人影は揺らめきながら音を発した。

 ──私は何者でもあって、何者でもないモノ。どこにでもいて、どこにもいないモノ。偏在していゆようでしていないモノ。そして君達人間が、神と呼び、悪魔と呼ぶモノだ。

 人影から、そう聞こえ──たのではなく、その音が頭を震わせた感覚に近い。ミズキはその場で蹲ろうとするが、妙な違和感を覚えて体を見る。

 無い。そこには確かに何もなく、あるのは深く飲み込まれそうな暗澹とした虚空のみで。顔を上げ、前後左右上下。どこを見てもあるのは体を見た時と同じ、暗澹とした虚空のみだった。触ることができないので確かめられないが、もしかしたら顔もそこには無いのかもしれない。

 ただ、確かめる方法が無いと言う事が、その時のミズキには苦ではなかった。

 何故か。簡単だ。気にするような事ではないと即座に思考を切り捨て、目の前の存在に刮目していたからだ。

 ──さて、本題に入ろう『岩倉瑞希』。試練を通過した、貴方に聞く。貴方は何を望む。通常、貴方の魂はこのまま魂の奔流に流されていくはずだった。全くその通りにしても良い。しかし、精霊となる権利を得た事で選択肢は二つ道になった。

 ここが、人生の──もしかしたら、もう人生では無いかもしれない一生の岐路で、どちらにも幸せが待っているかもしれなくて、その逆も有り得る。しかしその道はもう既に決めてある。そのためにここまで来て、そのためだけに──その時のためだけに地獄を巡り巡ってここへ辿り着いたのだから。

 ふと、これまでの道のりを振り返るように、背後と言うか、後ろに視線を傾けた。
 そこには暗澹とした闇だけが存在し、しかしやはり、確かにくっきりと足跡が残っているように、ミズキには見えた。──血と、友人になった一人の男の姿もまた、遠くに見えた気がした。

 これまでの事を忘れないように、しっかりと心に刻みつけ、人影へと向き直る。
 そして、声高々に騙ってきた未来の話を現実にするため、ミズキは舞い戻る。だから、もう決めたその道に向けての一歩を踏み出すのだ。出会いと別れと、再会と再開の一歩を。

 私は、戻ります。

 そう、答えた。

 ※※※

「ミズキさん」

 目を覚まし、寝ていた事に気が付いたミズキはまだ重くのしかかってくる瞼を辛うじて開けながら、声のした方を見ようとゆっくり瞬きをした。

「──」

「だっ、大丈夫、ですか?」

 不安げに見詰めてくる瞳が、酷く懐かしいもののように思えて、ミズキは目を閉じる。
 レイはそれをこわごわと見詰め、見上げ、息を呑む。

「──。────。────ばぁ」

 唐突に開かれた双眸。その黒瞳に、レイはぎょっと尻もちをつきそうになって腰を折って喉に詰まった唾を吐き出すように口を押さえて咳き込んだ。

「大丈夫です!?」

 今度はミズキが慌て、しかしレイは手で制するように挙手して咳き込み終わると少し顔色の悪い顔を上げて目を閉じながらの微笑みを見せる。その表情には、遠慮と謙遜が同居したような笑みが浮かべられ、ミズキは訝しげに目を細め、形の良い眉をくしゃりと歪めた。

「大丈夫。大丈夫だよ。びっくりした、本当に」

 ニコッと微笑みを浮かべてその歪みを抑え込んだミズキは目を細めて、ふと、今の体勢に気が付きシャボンのように丸くなった姿勢からふわりと床に下りて言う。

「良かったです。あと、びっくりしたなら大成功です」

「良かったぁ。どうしたんだろうって、ずっと心配してたんです。何事も無くて良かったです」

「レイくん。……あれ? レイカちゃんはどうしたです?」

 レイの後ろを背伸びして覗くように見るミズキを見て、レイはえーと、と背後に視線を向けるように顔を傾けて、「レイカちゃんは今、二弥ちゃんを呼びに下に行ってます。何か、遅くて。……もうすぐ十五分経つので、心配で見に行きました」と痛々しげに少し目を細めて言った。

「そうですか。分かったです」

 頷き、背伸びを止めたミズキはジッと、レイの顔を確かめるように見詰める。それは酷く儚げで、何か一つの要素でも取り零したらもう涙が溢れてしまうのではないかと思うほど、哀愁が漂っていて──、

「……ねえ、ミズキさん」

 そんな顔を見詰める事に恐怖したレイは瞼を半分ほど下ろして目を伏せ、ミズキに声をかける。
 レイカが帰って来た時に聞いた言葉が、恩人で恋人で、もしかしたら他にも関係を持っていたかもしれない彼女から聞いた言葉が、未だに信じられずにその耳を打つ。

 それを今、再確認する。

「どうかしたです?」

 しかし、哀愁が掻き消されたそのきょとんと目が開かれた顔に、レイは小さく、微かに音を立てて息を呑む。それから、絞り出すように、不安に揺れる右目の視線をミズキに言葉を乗せて投げかける。

「その、レイカちゃんの事……本当、なの?」

 その視線に目線を薄め、ミズキは一瞬、言葉に詰まったように短く息をし、吐く。
 しかしその視線を真正面から受け止め、ミズキは胸に取り憑いたわだかまりを払うように左胸に手を当てて頬を少しばかり上に上げる。

「──本当です。しかし、元々予想はしていたので──つまり、その覚悟で来たので、あんまり悲しくはないですけれど」

「そう、なんだ」

「今の私は、言わば幽霊のようなモノで、普通の人には声も臭いも、触った所で何も感じられない。それほどまでに私は人との交流を絶たれているのです」

 その、まるで幽霊のような──と言うフレーズは、妙に真実味を帯びてレイの鼓膜を震わせた。一度死んで、舞い戻った事もその内に入るが、きっとそれは、その白いネグリジェのような、丈の短いワンピースのような、その服にも関係しているのだろう。
 痛ましげに不安の色を侵食されていくレイの目に気付き、ミズキはふっと微笑んでしかし、と続けた。

「中にはレイくんのようにちょっと変わった人もいるみたいなんです」

 そう、まるで自虐も含んだようなニュアンスの、しかし核心を突くようなその言葉に、レイは驚きを隠せずに目を見開き、数瞬だけ頭の中が白くなる。
 しかしその言葉の意味をレイ自身、自分なりに噛み砕き、呑み込んだ後はふふ、とかゆそうに、静かに口元に手を当てて笑う。

「──酷いよミズキさん。からかったりして」

「からかってないですよ。……あ、それはそうと、レイくん。学校ではどうですか? まだ、虐められていたりしていませんか?」

 ──笑顔が固まった。
 その言葉に、レイの何もかも──尽くが凍り付き、その喉を焼くような黒い感情が渦を巻き始める。青天の霹靂とも言えるその言葉が頭を叩き、叩くたびに思い出す日々。思い出すたび、彼らへの憎悪と嫌悪と拒絶感が酷く、酷く脳裏を掻きむしるから──。

「はははは、そんなの、あるわけないよ」

 その全ての感情を一切表に出さずに、レイは一人の力ではできない。できないから、これまでと同じように、蓋をする。現実逃避をする。現実から、目を背ける。

「……そうですか。良かったです」

 信じたのかどうか。レイは目元は柔らかく、しかし視線は鋭く眼光を光らせ、ミズキの隅々まで注視する。視界の隅から隅までミズキの映る範囲全てに注意を払い、レイは口を閉じた。

 ※※※

 苦しい。大丈夫だよ。
 助けて。頑張って。
 嫌だ。嫌でもやらなきゃ。
 どうして。前に進むため。
 怖いよ。怖くても伝えよう。

「うプッ」

 トイレで、吐く。便座に手を付き、身を屈めて透明な胃液が、喉を、口を焼きながら外へと流れるように出て行く。出た後も口から糸を引き、息を荒くする少女の喉を焼き暴れる。

「……お姉ちゃん」

 意図せず漏れ出たその声が自分の物では無い気がして、けれども確かにそれは、自分の物で、何故それが出て来たのか分からなかった。

「にやちゃん?」

 そう、声がして振り返るとトイレの扉が開いていて、レイカが立っていた。

「……その、大丈夫? なんか、ごめん。体調、悪かった?」

 心配げな目を向けられて、二弥は下唇を口の中に巻き込んで、目を伏せる。
 立つ瀬を無くした二弥は鼻から息を吸い込んで、吐き出す。粘着質の何かが頭の中をぐるぐる回るような、苦しいくらいに居心地の悪い雰囲気に二弥は固まってしまう。
 その視線がとても辛くて、二弥は顔を背けながらもなんとか声を絞り出す。

「ううん」

「嘘。苦しそうじゃん。……さっきも言ったよね? 頼ってよ。そんなに、頼りないかな?」

「ううん。──お姉ちゃんは、何も悪くない」

 余計に居心地が悪そうに喉を鳴らし、ゆっくりと上体を起こしていく。その流れるようなゆっくりとした動作が目につき、しかしレイカはそれよりも、その耳を打つ言葉に訝しげに口端を下げた。

「だったら──」

「私の、問題なの」

「……」

 その言葉に返す言葉が見つからず、レイカは耳を澄ませ、続けてと促すように押し黙る。レイカのそれを受け取って、二弥は心を落ち着かせるように途切れ途切れ、呼吸を整えながら話し始める。

「お父さんが、怖いの。……お母さんと同じようになっちゃうかもしれない、って思うと、怖くなっちゃうの。大人が怖くて学校に行けないって言ったらきっと、怒られちゃう」

 自分の父親。その最後の表情が、名前を言う度、名前を聞く度、脳裏を掠めて傷を作る。苦々しい表情。責めるような、少し困ったような、そんな顔が。
 それが怖くて、その顔に怒りが加わるのが怖くて、逃げた。
 だけれど、頼ってと言ってくれた。悩みを打ち明けて、私じゃどうにもできない事を、お姉ちゃんならきっと──、

「あだっ!」

「にやちゃん!」

 突如として襲来した額への衝撃が二弥の怖がっていた顔に疑惑を塗りつけていく。
 今にも泣き出しそうなその顔は、しかし涙を堪えるように歯を食いしばり、震える吐息をして吸い込みながら、聞く。

「……お姉、ちゃん?」

 ──嫌だ、嘘だと、そう言ってほしい。

 堪えていた涙が、意と反してポロポロ、溢れてしまう。
 頼ってと、お姉ちゃんは言っていた。それなのに──それなのに、なんで。もしかして、そういう事、なのかな。

「にやちゃんのお父さん、そんな事きっと──ううん。絶対に言わない。だって、にやちゃんがいなくなって、捜したんだと思う。それでも見つからなくて、ここに来て、私達に教えてくれたんだと思う。だから、もっと自信持って。にやちゃんはお父さんと仲良くできる。絶対に」

「本当……? 本当に、そう思う……?」

「うんっ! 私が──お姉ちゃんが保証してあげる! ドンと任せて! ──はちょっとおかしい気がするから──ドンと信じて!」

「──っ」

 音が出るほど、大きく息を呑んだ。
 疑っていた事が──本当は突き放されたんだって、そう疑った事が間違いだった。
 心配してくれていた。ただ、私が、ちゃんと見てなかっただけで──、

「信じて、いいの……?」

 二弥の縋るような濡れた瞳に映るレイカは、ニカッと楽しげ──満足げに笑ってゆっくりと手を伸ばして、その手は二弥の頭の上に置かれた。
 それに顔を上げて、その幼い瞳をキラリと白い歯を見せるレイカの瞳と交差させ、もう片手で親指を立てたレイカは自信満々にウィンクする。

「うん! 信じて!」

 そう、ドヤ顔を決めた。

「──信じて、良いんだよね……?」

「そう言ってるじゃん! 頼ってくれて良いし、信じてくれて良い! ──頼ってくれって言ったんだもん。こんなすぐに見捨てたりしないし、これからも見捨てたりしない。そんなに心配なら、約束しよう」

「やく、そく……?」

「うん。約束。私はにやちゃんを裏切らない。見捨てない。代わりに、にやちゃんは私をちゃんと信じて、頼ってって。はい、指切りしよう」

 親指を折り、代わりに小指を立てた手を出され、頭から手が流れるように離れていく。
 その差し出された小指に震える自分の小指を絡めると、しっかりと小指で握り返され二弥は息を呑んだ。溢れていた涙と強張っていた肩が跳ねて、顔の前に持ち上げられた自分の手を見詰める。

「ゆーびきーりげーんまん嘘ついたらハリセンボンのーま──違った。ハリセンボンじゃなくて針千本だった。えー、おほんっ! ゆーびきーりげーんまんうそついたら針千本のーます! 指切った!」

 優しく解かれた小指を見詰め、二弥は何度か瞬きをしていた。

「どう? 嬉し?」

「……うん。嬉しい」

「それは良かった」

 小指から視線を離してレイカを見上げると、これまでに無い優しい笑顔を浮かべて立っていた。

 ※※※

「えっ、にやちゃんのお父さん、外行っちゃったの!?」

「うん。え、てっきり知ってるものだとばっかり……」

「知らないよ!?」

 レイの部屋。三人は顔を合わせて立っていた。

 レイカは腕を組んで天を仰ぎ、うーん、と唸りながら唇を尖らせて立っている。
 それをレイカの隣で見上げ、二弥は幽霊のようにふわふわと浮かんでいる彼女を見詰めていた。彼女は今、レイカの頭の斜め上に浮かんでレイカを見詰めている。

 ──その黒瞳が、二弥へと向けられるのにそうは時間がかからなかった。





[あとがき]
 作者です!
 いつもよりちょっとテンション高いですがこのままいきます!
 次回は十二月突入して十二月三日!
 それではまた次回!
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