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一章 泡沫の夢に
24話 『覚悟』
しおりを挟む少女の身体に触れ、膝をつき、涙を零す
もう力の無くなった彼女の身体はまだぬるくて、その手をギュッと、両手で握り締めた
やっぱり……あの時、止めれてたら……。
「ミっ、ミミっ、ミズキ……さん…………?」
なんで……? おかしいよ……なんで……?
「どうかな? どんな気持ち? 彼女が死んだのって、彼女が殺されたのって、どんな気分? 嬉しいの? 復讐したいの? 悲しいだけ? 恨めしい? あ、それとも──」
この人が……ミズキさんを……? なんで……なんで、ミズキさんを……?
ゆっくりと近付きながら「怖がるだけかな?」と微笑む
「な、なんで──」
怖い、怖いよ……。
ミズキさん……怖いよ……。
どうしてミズキさんが、殺されなきゃ、いけないのかな……?
怖くて、顔が上がらないよ……。
ごめんなさい……ミズキさん……。
僕には、勇気が無い……。
僕のせいで殺されて……僕のせいで、僕の、せいで……。
「ミ、ミミミ、ミズキ、さんっ、を……」
「……? 経験だけど?」
「けい、けん……?」
「うんっ、一度人を殺した時、どんな気持ちか知りたかったんだぁー!
それでね、少し前まで死にたそうな顔してた君を見付けて殺そうと思ったわけ。
でもさ、酷くない? 私が経験したいと思った事をこの子が邪魔するんだよ。
その上さ、じゃあ知識としてだけで良いから教えて? って頼んでるのに教えてくれないの。
しかも私が選ばれた存在じゃないなんて言うから怒っちゃってさー」
それが言い終わった頃にはレイの隣に立っていた
「こ、こここ、この……! う、ううう、ぅ、ぁぁぁぁぁあああああ!!」
「……っ。君も、選ばれたのね?」
金属音が辺りに響いた
「っ……。つ、つよっ……!」
鍔迫り合いになった
レイの腕だった物と少女の金槌との
「結構迫力あるのね……。へぇー。うん。いいよ。潰してあげる。徹底的に……!」
少女がレイの瞳を見詰める
カクッと、突然後ろに倒れ込むレイから距離を取って体勢を整え、「ああ……。まだまだ使い慣れてないでしょ? ま、君も運が良かったね。それにしても……『変質型』か……厄介だなぁ……。私、苦手なんだよなぁ……『変質型』は。まあ、『干渉型』や『気配型』よりはマシだね。あと、『特殊型』。アレは一番厄介。でも、変質だし。そもそも戦闘全般苦手なんだけど」
ミっ……ミズキさんの、言ってた事、ほほ、本当だったんだ……。
でも、物凄く疲れる……。
本当に、早く決着を着けないと……殺される……!
「まあまあ、落ち着いて落ち着いて。君さ、成り立てでしょ? 聞きたくない? どう? どう? どう?」
右腕が、脈を打っている……。
この中に僕の腕がある……。
なんて言えば……そう。
まるで、肩から引っ張られて、無理矢理出て来たみたいな感じ……。
「いやぁ……まさかタマゴの子を見れるとは思わなかったよー。実際、私達の情報網にも引っかかってない。本当に最近なったばっかりだね」
落ち着け……落ち着いて……。
ミズキさんの仇を取って……。
ミズキさんが殺される理由なんてなかった。
「漫画家の、『石崎もか』って知ってる?」
僕のせいでレイカちゃんを危険に晒して、
僕のせいでミズキさんを死なせて……、
あんなに優しかった二人を……!
僕が……僕のせいで……。
「それね、私なの。いっつも気になってたんだぁ。人を殺す時って骨を断ったりした感触が気持ち悪い。とか、殴り殺した時の感触が気持ち悪いとか、そんなの言われてたけど。後者は嘘だよ? 私、確かめたもん。君の彼女で」
っ……!
ぇ……? ただの、興味、で……?
「あーあ。刺し殺してみたいなぁ……」
ただの……興味……。
ただの……? ただの、ただの……。ただのただのただのただのただのただのただのただのただのただのただのただのただのただの
っ……。頭が、割れそうに痛い……! 『ただの』が反芻してる……!
「じゃあ、試してみよっか。人を刺し殺した時、どんな感触なのか」
ダメだ……。
早く、立たないと……!
っ……真っ直ぐに、立てない……。
立とうとしても、倒れてしまう。
なんで……なんで……?
体は動くのに……。
「……やっぱりやめるね」
「ぇ……?」
「だって、このまま動けない状態で、目の前で知り合いが殺されるのって、どんな気持ち? 気になるじゃない。それに、近付けば殺されるもん。どう? ぬか喜びした? ねえ? どうなの?」
ぬか、喜び……?
ダメだ……ダメだダメだダメだ! レイカちゃんが! 届け! 届け届け! ダメだ、振っても届かない……!
ダメだ、諦めちゃ……!
なんとか、しなくちゃならないんだっ……!
ミズキさんが助けようとしたレイカちゃんを……!
また、人を殺そうとしてるあの子を……!
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