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二章 無意味の象徴
48話 『遠慮』
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「ただい──ま……? あんなに慌てたレイくん初めて見た……。何かあったのかな……? まさか、女の子絡み……!? ……この冗談はやめとこ。なんかムカムカするし。あ、出て来た。レイくーん!」
「な、何……? ちょっと、後にしてくれないかな……? ごめんなさい」
「…………マジか」
……気持ち悪い……。部屋に戻っても気持ち悪い……。久しぶりに走った。疲れた。気持ち悪い。……いつもは気持ち良く感じるベッドも気持ち悪い。だから、部屋から出て部屋の前に居る。これも冷たくてぞわぞわして気持ち悪い。立ち上がって一階に下りる。カーペットの上。気持ち悪い。トイレ。吐いた。気持ち悪い。まだ痛む……ズキズキ、ズキズキ、ドックン、ドックン、何かが膨れ上がるような痛みが、する……。
「レイくーん、私もトイレ行きたい」
驚いた……。レイカちゃんか……。
「あ、ああ……ごめんなさい。今、出るから」
「レイくん、また吐いてたの? 何かあった?」と口の端を指さしながら……っ。付いてた。
「あ、あはは……何かって程の事じゃ無いよ」
「いやいや、絶対に何かあるでしょ。ふつー」
「あ、あれ? そう言えばネネさんは?」
「ネネさん? コンビニ。漫画買いに行ったよ」
「へ、へぇー。じゃ、じゃあ僕もコンビニでお菓子でも買おうかな。レイカちゃんも何か欲しい物ある?」
「うーん…………最近お腹の周りにお肉が……いやいや、でもこの誘いを断るわけには…………あ、お菓子食べた後にいっぱい運動すれば解決! のはず! 決めた! ポテチとバニラアイス!」
「うん。それじゃあ着替えて買って来るね」
「うんっ! ふんふふん………………」便座に座る直前、ハッと思う「騙された……!?」
買って貰った黒い服装に着替えて外に出る。
部屋にはあまりいたくなかった。気持ち悪いから。
すぐに財布をカバンから取って部屋を出た。
何かがよぎった気がした。
頭の中をじゃなくて、視界の端で黒い何かが。すぐにそこを見たけど誰かがいた訳じゃなくて、壁があった。
それもあってすぐに家を出た。走っていたかもしれない。だって、コンビニの前で息が切れているから。
少し息を整えてコンビニに入る。
……どうしよう。……少しは楽になったけど、まだ痛い。
「よっ! レイ!」
「えっ? あ、えっと……」
「オレオレ! てオレオレ詐欺かっつーの! ワハハハハハ!」
「えっと……君は……その……どうして、ここに……?」
「あぁ? そりゃあ……あれだ。おう。アネキの好きなラノベの発売日でよ。買って来ねーと今日の晩飯が無し! カーッ! キッツいねーッ! んま! と・に・か・く・だ! レイ! オメーは何しに来た。まさか……アレか。禁断の書物か! うっひょー! 勇気あんなオメー! 俺ならぜってームリ! ムリムリムリ! そもそも買えねーし! 買えたとしてもアネキにビリビリのグッチャグチャのバッラバラにされてゴミ箱にポイだろうしなー」
「えっと……僕は、お菓子を買いに……」
「つまんなっ! つまんねっ! レイ? オメーはな、どきょー? が足りねーんだよ。どきょーがな? 合ってるよな? いや、この際どーでもいーか。とにかく! オメーはもちっとどきょー付けろ! そしてこのオレを愉しませろ! わかったな! わかったらゴー! だ! あと! 俺にも買ってくれ!」
「えっと……百円以内なら……」
「マジか! ぅおっしゃー! んじゃあオレはだなー……」
「あ、あはは……」
棒付きアメ……。レイカちゃんの分を買って……そうだなぁ……。グミ、にしようかな。
けっこうギリギリだった。九七七円。残り二十三円……中々に……。
「サンキュな! あ! いっしゅーかんご! オメーの家の近くの公園! あそこで待っててやるから来いよ! 午前中な!」
「あ、うん。分かった。じゃあね。……えっと……」
「じゃあな! レイ!」
結局、名前聞きそびれちゃった……。
アイスも溶けるからそろそろ戻ろう。ネネさんもきっと戻ってるだろうから。
帰りは少し足が重かった。それでも家には着いたけど。
「ただいま……」
「お帰りー! お菓子は!」
「はい。お菓子」
「やった!」
「喜んでもらえて嬉しいよ」
「そうだ! レイくん。ちょっと来て」
「……? どうしたの?」
「良いからっ! 早く来て!」
「えっ、ちょっと、靴を脱ぐから……!」
結局、レイカちゃんの部屋まで連れて来られて正座をさせられた。
「レイくん? 私はね、最近勉強してるんだよ?」
「はい……?」
「いくら私だからってお菓子で話を逸らそうだなんて、そんな手には引っかからないの!」一度は騙されたがそれは言わないお約束だ「いいっ!? もう話を逸らさないで! 私だってそりゃあミッちゃんみたいにレイくんに尽くせるわけじゃないよ? だけどさ、まあ、一応? 妹? だから。お兄ちゃんの体調が悪いと気になるの!」
「えっと……ただ……」
「ただ?」
「頭が痛い……だけ。だから。たぶん風邪じゃないかな……?」
「かぜ!? それじゃ早く布団被って寝ないと! いま薬無いし! えあー…………と、とにかく! 水を飲んでおしっこ沢山出す事!」
「だ、大丈夫だよ。部屋に戻って寝るから。あ、そのグミは食べても良いよ。要らなかったらネネさんにプレゼントしてあげて」
部屋に戻る。やっぱり気持ち悪い。だけど、これを克服しないと生きていけない。暮らしていけない。ミズキさんから貰ったこの幸せが続かない。この幸せを紡ぐ為に、克服する……!
深呼吸をして、胸を撫で下ろす。布団をかけて目を瞑る。……けれど、中々眠れない。少し、気持ち悪い。まずい、また泣きそうになっている。がまん。がまんだ。がまんするんだ。出来ればこの気持ち悪さが消えるまで。消えて、消えて……!
すぅぅぅ……はぁぁぁ……。
うん。
よし。
何も考えないように寝よう。寝る。布団を頭から被って。
寝る。寝る。寝る……!
「な、何……? ちょっと、後にしてくれないかな……? ごめんなさい」
「…………マジか」
……気持ち悪い……。部屋に戻っても気持ち悪い……。久しぶりに走った。疲れた。気持ち悪い。……いつもは気持ち良く感じるベッドも気持ち悪い。だから、部屋から出て部屋の前に居る。これも冷たくてぞわぞわして気持ち悪い。立ち上がって一階に下りる。カーペットの上。気持ち悪い。トイレ。吐いた。気持ち悪い。まだ痛む……ズキズキ、ズキズキ、ドックン、ドックン、何かが膨れ上がるような痛みが、する……。
「レイくーん、私もトイレ行きたい」
驚いた……。レイカちゃんか……。
「あ、ああ……ごめんなさい。今、出るから」
「レイくん、また吐いてたの? 何かあった?」と口の端を指さしながら……っ。付いてた。
「あ、あはは……何かって程の事じゃ無いよ」
「いやいや、絶対に何かあるでしょ。ふつー」
「あ、あれ? そう言えばネネさんは?」
「ネネさん? コンビニ。漫画買いに行ったよ」
「へ、へぇー。じゃ、じゃあ僕もコンビニでお菓子でも買おうかな。レイカちゃんも何か欲しい物ある?」
「うーん…………最近お腹の周りにお肉が……いやいや、でもこの誘いを断るわけには…………あ、お菓子食べた後にいっぱい運動すれば解決! のはず! 決めた! ポテチとバニラアイス!」
「うん。それじゃあ着替えて買って来るね」
「うんっ! ふんふふん………………」便座に座る直前、ハッと思う「騙された……!?」
買って貰った黒い服装に着替えて外に出る。
部屋にはあまりいたくなかった。気持ち悪いから。
すぐに財布をカバンから取って部屋を出た。
何かがよぎった気がした。
頭の中をじゃなくて、視界の端で黒い何かが。すぐにそこを見たけど誰かがいた訳じゃなくて、壁があった。
それもあってすぐに家を出た。走っていたかもしれない。だって、コンビニの前で息が切れているから。
少し息を整えてコンビニに入る。
……どうしよう。……少しは楽になったけど、まだ痛い。
「よっ! レイ!」
「えっ? あ、えっと……」
「オレオレ! てオレオレ詐欺かっつーの! ワハハハハハ!」
「えっと……君は……その……どうして、ここに……?」
「あぁ? そりゃあ……あれだ。おう。アネキの好きなラノベの発売日でよ。買って来ねーと今日の晩飯が無し! カーッ! キッツいねーッ! んま! と・に・か・く・だ! レイ! オメーは何しに来た。まさか……アレか。禁断の書物か! うっひょー! 勇気あんなオメー! 俺ならぜってームリ! ムリムリムリ! そもそも買えねーし! 買えたとしてもアネキにビリビリのグッチャグチャのバッラバラにされてゴミ箱にポイだろうしなー」
「えっと……僕は、お菓子を買いに……」
「つまんなっ! つまんねっ! レイ? オメーはな、どきょー? が足りねーんだよ。どきょーがな? 合ってるよな? いや、この際どーでもいーか。とにかく! オメーはもちっとどきょー付けろ! そしてこのオレを愉しませろ! わかったな! わかったらゴー! だ! あと! 俺にも買ってくれ!」
「えっと……百円以内なら……」
「マジか! ぅおっしゃー! んじゃあオレはだなー……」
「あ、あはは……」
棒付きアメ……。レイカちゃんの分を買って……そうだなぁ……。グミ、にしようかな。
けっこうギリギリだった。九七七円。残り二十三円……中々に……。
「サンキュな! あ! いっしゅーかんご! オメーの家の近くの公園! あそこで待っててやるから来いよ! 午前中な!」
「あ、うん。分かった。じゃあね。……えっと……」
「じゃあな! レイ!」
結局、名前聞きそびれちゃった……。
アイスも溶けるからそろそろ戻ろう。ネネさんもきっと戻ってるだろうから。
帰りは少し足が重かった。それでも家には着いたけど。
「ただいま……」
「お帰りー! お菓子は!」
「はい。お菓子」
「やった!」
「喜んでもらえて嬉しいよ」
「そうだ! レイくん。ちょっと来て」
「……? どうしたの?」
「良いからっ! 早く来て!」
「えっ、ちょっと、靴を脱ぐから……!」
結局、レイカちゃんの部屋まで連れて来られて正座をさせられた。
「レイくん? 私はね、最近勉強してるんだよ?」
「はい……?」
「いくら私だからってお菓子で話を逸らそうだなんて、そんな手には引っかからないの!」一度は騙されたがそれは言わないお約束だ「いいっ!? もう話を逸らさないで! 私だってそりゃあミッちゃんみたいにレイくんに尽くせるわけじゃないよ? だけどさ、まあ、一応? 妹? だから。お兄ちゃんの体調が悪いと気になるの!」
「えっと……ただ……」
「ただ?」
「頭が痛い……だけ。だから。たぶん風邪じゃないかな……?」
「かぜ!? それじゃ早く布団被って寝ないと! いま薬無いし! えあー…………と、とにかく! 水を飲んでおしっこ沢山出す事!」
「だ、大丈夫だよ。部屋に戻って寝るから。あ、そのグミは食べても良いよ。要らなかったらネネさんにプレゼントしてあげて」
部屋に戻る。やっぱり気持ち悪い。だけど、これを克服しないと生きていけない。暮らしていけない。ミズキさんから貰ったこの幸せが続かない。この幸せを紡ぐ為に、克服する……!
深呼吸をして、胸を撫で下ろす。布団をかけて目を瞑る。……けれど、中々眠れない。少し、気持ち悪い。まずい、また泣きそうになっている。がまん。がまんだ。がまんするんだ。出来ればこの気持ち悪さが消えるまで。消えて、消えて……!
すぅぅぅ……はぁぁぁ……。
うん。
よし。
何も考えないように寝よう。寝る。布団を頭から被って。
寝る。寝る。寝る……!
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