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二章 無意味の象徴
47話 『嫌忌』
しおりを挟む六月一日。
月日はあっという間に流れると聞いた事があるけれど、本当にその通りだ。
ミズキさんが死去して既に一ヶ月以上が経っている。
クラスはもう前と同じような雰囲気に戻っていた。
「もうすぐ……か……」
もうすぐ。それは、レイカちゃん達を守る為に入った、よく分からない力を持つ人達の勢力争いと言うものだ。
それが、七日に開始されると聞いた。
是枝さんから。
「教科書三十七ページ開けー」
数学の時間。ペラペラと捲る。あった。
確率の問題。三年生の数学の授業の中では一番簡単な単元らしい。
「ん? もうチャイム鳴ったな。今日はここまでだ。続きは明日な。帰る準備ー」
「終わったー!」「んっしゃ!」「ああー……部活あるー……」「眠たーい」苦痛から開放された子どもたちは机の横に掛けているカバンを机の上に乗せて机の中に入れている教科書をカバンの中に放り込んで談笑したりふざけ合ったりしている
「あー、まあ、連絡する事は無い。部活のある奴は部活に。帰るやつは帰る。起立。礼。さよならー」
「「「さよならー」」」
足早に教室を出て学校から出る。
この頃何もかもソワソワしていて落ち着かない。
僕じゃレイカちゃん達を守れないと判断したせいでもうすぐ死んじゃうかもしれないから、全く落ち着かない。
「……おにい、ちゃん?」
「ッ……!」
足が止まった。
瞬間、鳥肌も立った。
何か背中を撫でられるような、気持ち悪い感覚が押し寄せてきて──、
「大丈夫、ですか……?」
「だ、大丈夫。大丈夫。それよりもアイカちゃんはどうしてここに?」
正門のそばで立っていたアイカちゃんが僕の方を見てくれた。「その、お兄ちゃんと同じ制服の人が見えて……その……最近、ずっと……来てくれない、から……」
あれから、ずっと気まずくて会っていない。
約束を破ってしまって、中々、違う。全く、会いに行けなかった。
「私の事、嫌いに、なったのかな……って……」
「そ、その……一回、怪我で行けなくて……気まずくて……」
「私は、気にしない、ので……その……会いに、来てくれたら、嬉しい……って」
「うん。分かった。でもまず……場所、移動しよう……?」
周りの人達が、ずっと僕の方を見ている。
流石に……気持ち悪い。
「どこ、行きますか……?」
「え、えっと……」
考えていなかった。どこで? どこだろう。どこが良い……!?
「ごめんなさい……。その……こんな事聞いちゃ、迷惑ですよね」
「大丈夫! ほ、ほら! そこの! 公園! ベンチに座って! ね……っ!」
たしかに、迷惑、と言うより、少し、困った。嘘をついてしまったけれど、ミズキさん、人を傷つけない嘘なら、ついていいですか……?
……ミズキさんが、笑って頷いてくれた気がした。
お茶を二つ買って、一つをアイカちゃんに渡してもう一つのキャップを開けて喉を潤す。
「それで、最近……どう……?」
「えっと……先週、先生に、絵が上手と褒められました……」
「凄いね。僕は絵がとても下手で……」
「い、いえ……! 私も、と、言うか……その……まだ、納得してなかったと、言うか……」
「先生に褒められたんだから、絵は上手なんだよ。きっと。もしかしたら、画家になれちゃうかもね。アイカちゃん」
「い、いえ……。そんな……」
「恥ずかしがらなくても良いんだよ。アイカちゃんは、絵が上手だと思うから」
「レ──」
れ……? れい……? 僕……? ッ! 誰かが、後にいる……! アイカちゃんの目に、影が二つ。よくは見えないけど、二つ……!
「アイカちゃん。先、帰っていてくれるかな。ごめんね」
「え……でも……」
アイカちゃんが後ろの方に目を向けた。やっぱり、居るんだ。
「大丈夫だよ。大丈夫。この人とお話するだけだから」
笑って見せたけれど、誤魔化せていないかもしれない。だって、怖い。息が髪にかかって気持ち悪い。早くアイカちゃんをどこかに行かせないと、アイカちゃんまで巻き込むかもしれない。
「分かっ、た……」
「ありがとう」
アイカちゃんをベンチから立たせて少し背中を、赤いランドセルを押した。
「本当に、大丈夫だからね」
アイカちゃんが頷いて走って行く。これで、大丈夫。深呼吸……。大丈夫。落ち着いて。男の人にも、勝てるから。落ち着いて。よし……。
「あ、あの……どちら様……ですか……?」
やっぱり、そうそう変わることはできない。ものすごく怖い……。知らない人。……男の人。
「レミ……? レミ、だよね?」
「……すみません……。人違い、です。僕は、レイで、レミさんじゃ、ありません……」
「お、憶えてない? ほら!」
「その……指を指されても、分かりません……」
「こ、声とか、変わってるけど。それに、最後に一緒だったのは小学校の頃だったね」
「小学校……?」
……四年生より、前にあった事のある人……? 今、分かってるのはミズキさんだけで……あとの人は、分からない。親しい人……? お父さんや、叔父さん、みたいな……。どんな人か、分からないけれど。
「な、何年生の頃ですか……?」
「えっと……うん。三年生だね。三年生」
「その……すみません……四年生より前の事、憶えていないので……」
「あっ、そうなの!? ごめんね! 知らなくて! でも親子揃ってまた一緒に暮らせるんだね! そう思うとなんだか嬉しいよ!」
「お、お父さん、なんですか……?」
「そう、お父さん!」
お父さん。この人が……。っ……。頭が、痛くなってきた……。
「すみません。やっぱり、思い出せません……その……ごめんなさい」
痛い、痛い……。物凄く痛い。気持ち悪い。吐きそう。頭が揺れる。吐きそう。気持ち悪い。痛い。気持ち悪い。痛い痛い痛い気持ち悪い痛い気持ち悪い吐きそう気持ち悪い痛い気持ち悪い痛い痛い吐きそう気持ち悪い吐きそう吐きそう吐きそう吐きそう吐きそう吐きそう吐きそう吐きそう……っ!
「なんで……」走って行くレイの背を見詰め、歯軋りしつつ肩を震わせた
【あとがき】
作者です。五月まで待ってもらったのになんか終わりそうで終わらない微妙な所まで持っていくのが精一杯でした。
まだ二章は書き終わってないので読み直ししてません。
特に最初の方は受験勉強以前にや勉強中に書いていたものもあるので辻褄が合わないものも出て来るかもしれません。
その時は教えて下さい。直すので。よろしくお願いします。非公開ご所望の方にはご所望通りに対処しますので。
それではよろしくお願いします。ぺこり。
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