ふかし

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 あなたのイベントに参加させて頂いた。
 会場はひとで溢れかえっていた。
 あなたが登壇すると、大きな歓声が上がった。前のほうにいらっしゃる方は、特に熱量が高かった。
 優越より、申し訳なさのようなものが勝った。この方々は、きっと私との情事を望まない、と十全に感じられた。
 私はDVDを三枚購入した。
 握手とツーショット撮影のためだ。
 イベントはスタートし、初めに作品に関してのコメントをあなたが発した。その後、列が並び、一時間ほどで私の番になった。
 まず、握手をした。来てくれてありがとう、というようなことを言われた。そこに思わせぶりな意図はなく、お客さんとしての扱われたのだった。次にDVDにサイン。それから、あなたは胸を強調させたポーズを取り、私とのツーショットを終えた。
 目配せも何もなく、他のファンの方々と変わらぬ対応に、好感が持てた。

 帰りに喫茶店へ寄った。
 店員さんが可愛かったので、こちらがふかしであると名乗れば、ナンパは成功するのだろうか、とゲスいことを考えた。
 お店を出て、あまり来ることがないI駅付近を散策していると風俗街へ出た。
 面積の狭い、水着の女性と少しばかりだが、接したばかりだいうことで、ヘルスにお世話になることにした。
 店舗型は珍しかった。最近ではデリヘル、ホテヘルが主流だ。
 写真指名をした。あなたの身体つきに似ていたかもしれない。
 待合室には先客が何人もいた。日曜日の昼間はいつも混んでいるのだろう。爪は常に短くしているので、手入れは必要なく、電子タバコをふかしつつ、テレビを眺めていた。
 それにも飽きて、スマートフォンで電子書籍を読んだ。物語に集中できなさそうだったので、話の筋というよりも、文体が好きな作家さんの作品を目で追っていった。
 メッセージが届いた。あなただった。
 「めっちゃ緊張した~。ありがとう。イベントどうだった?」と、書かれてあったので、とても楽しかったこと、これからたまにグラビアの方やセクシー女優さんのイベントに参加してみようかな、という気になったことを返信した。
 すぐさま返った。
 「だめ」と二文字だけあった。
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