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最初に酒を豪快に飲み過ぎたせいか、体が熱くなってきた。
「宗助ー、顔が赤いぞ?」と言い、浅黄さんは俺の顔を覗き込んできた。
「久々に呑んだからな…」と答えると、浅黄さんはそうかそうか。と笑いながら返事を返した。
「なぁ、浅黄さん…」
「んー?どうした?」と浅黄さんはまだ酔っていない状態なのか普通に返事を返してきた。
「相手と一緒にいる時、胸が高鳴ったり、もっと一緒にいたいと思うのは可笑しい事か?」とくだらない質問をした。
浅黄さんは豪快に酒を飲みながら、「可笑しくはないぞ!!」と言った。
俺は心の奥底でホッと胸をなでおろした。
「なんだ?喜介の事か?」と図星をつかれ、俺は慌てた。
「な、な、なんで喜介が出てくるんだよ!」
「……なんだ。違うのか?」
「ち…違くは…なぃ…」と顔を真っ赤にさせて俺は否定した。
浅黄さんは俺の反応にクスリと笑って、頭を撫でた。
「嬉しくない……。」
「宗助ももう大人だもんな。」と言い、俺の頭に乗せていた手を下ろした。
「………あぁ…。」と返事をすると、俺は胡座あぐらをかき俯いた。
「……。」
「…宗助の今の気持ちを喜介に伝えればいいんじゃないか?」と突然浅黄さんから言われ、俺は少し微笑み「…あぁ。そうだな」と返事をした。
「実はな…少し思ったんだ。」
「……?」
「俺がもし喜介の返事を断ったら、この今の関係が壊れるんじゃないかって…思って…少し不安だった。」
「……。」浅黄さんは真剣に俺の話を聞いている。
「でも、浅黄さんの言葉に決心がついた。」
「…。」
「浅黄さん。」
「ん?」今まで真剣に聞いていた浅黄さんは俺の顔を見て首を傾げた。
「ありがとう」と微笑んで感謝をした。
「宗助…。」
「ん?」
「誰かを好きなる事は悪いことじゃないだろ?」と浅黄さんに言われ、俺は「あぁ。」と返事をした。
「んで…喜介にはなんて返事を返すんだ?」と浅黄さんに聞かれ俺は、「……言わねーよ…」と口に人差し指を置いた。
「つまらんなー…。」と浅黄さんは言いつつもどこか嬉しそうに見える。
俺は、話を変える為、浅黄さんの酌に酒を注ぎ込む。
「俺の話はもうこれでいいだろ…。」
「いや、まだ足りなーい」と言う浅黄さんに俺は酒を無理やり飲ませる。
「もう充分だろー!」と言いつつも、まだ浅黄さんに話したい事は沢山あった。だが、そこは我慢して俺は話を変えた。
「そーいう浅黄さんはどうなんだよ?」
「んー?俺か?…」酌に入った酒を飲みながら言う。
「浅黄さんの話も聞いてみたい!!」と俺は少し我儘を言った。
「んー、何がいいんだー?」と浅黄さんは、俺が聞きたい事知りたい事をなんでも教えてくれる。
「浅黄さんの幼い頃の話を聞きたい!」と言うと、浅黄さんは笑いだした。
「どうしたんだ?」と俺は首を傾げる。
「いやっ…ふつーは宗助の恋話の後は俺の恋の話じゃないか?」と聞いてきた。
「浅黄さんの恋の話は興味なくはないけど、今度聞く!」と言うと、浅黄さんは笑いながらも「はいはい。」と返事をして、浅黄さんの幼い頃の話をしだした。
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