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第一部 ライアス編
初陣
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一斉に魔族が襲いかかってくる。
ゴブリンが手にこん棒を持ち駆け回る。オーガがその巨体に斧を振り回して突進してきた。魔獣達は牙を剥き出して村の入り口に向かってきた。
「弓隊!放てぇ~!」ダムザの合図と共に一斉に矢を放つ。
放たれた無数の矢が魔族の群れに降りそそぎ、倒れていく。しかし、数が多い。
倒れた魔族を踏み越えて、自分達のこれから刈り取ろうとする人間達に向かって襲い掛かろうとする。統率されていた…たとえ弓矢で仲間が殺られようとも命令通りに村に入り残虐の限りを尽くす………はずだった。
ズバァーン…閃光一線、踏み越えて突撃してくる魔族の群れを光の刃が切り裂いた!
一瞬の出来事だった…。悲鳴を上げる間もなく魔族は肉塊となり散っていった。
魔族の群れは動揺している。…無理も無い。村に乗り込んで八つ裂きにして、狂喜と人間の断末魔を聞き全てを壊し尽くすはずだった。それが一撃で先鋒隊が全滅させられたのだから…。
一方のエルローズの村人達も驚きを隠せない。この一撃を放ったのは元王国騎士団長のダムザでもなければ、攻撃魔法が優れているマリアでもなかった。攻撃を仕掛けたのはライアスだった。
マリアは驚きながら「今のは光の魔法?ライアス、貴方…魔法が使えたの?」
しかし、ライアスは「マリア、その話は後だ!敵は動揺している。僕が突撃する!ダムザさん援護をお願いします!」
そう言うとライアスは魔族の群れに切り込んだ!歴戦の猛将ダムザも後に続いた。ダムザはライアスの放った一撃に驚きはしたが、すぐに反撃のチャンスと判断して攻撃体勢に移った!
ライアスはロングソードに光を纏わせる。そして魔族を切り裂く。それはまるで紙を短刀でいとも簡単に切り裂くかのように次々と魔族を切り伏せて行く。ライアスの光の刃の前にはどんな強靭な肉体や盾等、無意味であった。
それに続くようにダムザが両手剣を振り回し猛然と魔族に襲い掛かる。村人達もそれに続く。彼らも只の畑を耕すだけの村人であれば、ここまで戦うことは出来なかっただろう。
日頃からダムザが鍛練を行い、武器の扱いを教えていたのだ。「俺達だってやれば出来るんだ!」「ライアスに、ダムザさんに続け~!」
刈る者と刈られる者…完全に立場は逆転している。
村でも武器の扱いに長けている者がゴブリンやオーガの群れに斬りかかり、後方から弓矢による援護射撃を行う。決して一人では攻撃をしないで三人一組で連携を図る。
魔族も体勢を立て直して村人に襲いかかる。
しかし、魔族の群れに無数の火炎球が村の入り口の上空から流れ星のように降り注いだ。
マリアの魔法だ!彼女は炎の精霊に祈りを捧げ力を借りる。彼女は無数の火炎球を瞬時に同時に作り出し、それを的確に狙い放つ!
「ギャャャャャャ~」「グェェェェェ~」…ゴブリンやオーガの群れが次々に燃えて黒焦げになって朽ちていく…
勝てる!村人達は確信した。このまま押せば魔族を撃破出来る!誰もが思った。
しかし、その時だった!「みんな来るな!伏せろ~!!」ライアスの叫び声が聞こえた…
次の瞬間!林の方が無数に光った。そして村人達の体が撃ち抜かれていく…。
瞬く間に生ある者から死者になっていく…。
魔族の魔法部隊による光の魔法(ライトニング)の一斉射撃だった。
「お父さーん!!」マリアの叫び声が戦場に響き渡った…
「ぐぅぅ…くそっ」ダムザはうめき声を上げその場でうずくまる…
致命傷は巨大な剣で防いだものの重傷を負ってしまった、これでは満足に剣を振るうことは出来ない…
「ダムザさん…」 「オ、オレたちはもう…」
残った村人達も今の攻撃で動揺と恐怖心が込み上げてくる…
ところが、魔族達にも動揺と恐怖心が込み上げてくる、戸惑い、驚きを隠せない様子だ…
ライトニングは前線にいる全ての村人達に狙って撃った…なのに目の前にいる若者には傷一つついていないのだ。
ライアスの左腕には青く光る電磁シールドの様な物で防がれている。
「お前らぁぁ~よくも!」ライアスは体の底から怒りを込み上げ叫んだ。そしてロングソードを突きを繰り出すように身構えた。
みるみる内に剣に光が集まる!まるで大気や大地や草木からエネルギーを集め収束させている。
「玄空剣!!」叫ぶと同時に右手に持ったロングソードを突き出す!
ドォォォォォーーーン!!
巨大な光のエネルギーが炸裂する!
……一瞬の出来事だった。
…遠くから見ていたマリアには理解が出来なかった。
ライアスの剣が光った瞬間、魔族の姿が見当たらなかった…先程のライトニングの魔法でお父さんを村の皆を攻撃した憎い奴らの姿が…。
「すごい…。」マリアは呆然と目の前の視界を見渡してポツリと呟いた。
しかし、ライアスはまだ戦闘態勢のままであった。
林の奥から不気味な笑い声が聞こえてくる。おぞましい、今まで聞いたこともない…冷たく背筋に悪寒が走りだす。
巨大な翼を持った赤い目をした魔族だ!
この部隊を指揮している奴が歩いてライアスのもとにゆっくりと近付く。
お互いににらみ合ったまま、言葉を発する事も無く身構える。
そして半分以上はさっきのライアスの技で消滅したのであろうか。
残りの魔族の部隊も林から現れる。
その時だった…。マリアの背後から無数の騎兵部隊が戦場に向かってくる。
エルド王国の騎士団だ!援軍が来てくれたんだ!
両軍がこの戦場にいるライアスと巨大な翼の魔族を中心として対峙した。
ゴブリンが手にこん棒を持ち駆け回る。オーガがその巨体に斧を振り回して突進してきた。魔獣達は牙を剥き出して村の入り口に向かってきた。
「弓隊!放てぇ~!」ダムザの合図と共に一斉に矢を放つ。
放たれた無数の矢が魔族の群れに降りそそぎ、倒れていく。しかし、数が多い。
倒れた魔族を踏み越えて、自分達のこれから刈り取ろうとする人間達に向かって襲い掛かろうとする。統率されていた…たとえ弓矢で仲間が殺られようとも命令通りに村に入り残虐の限りを尽くす………はずだった。
ズバァーン…閃光一線、踏み越えて突撃してくる魔族の群れを光の刃が切り裂いた!
一瞬の出来事だった…。悲鳴を上げる間もなく魔族は肉塊となり散っていった。
魔族の群れは動揺している。…無理も無い。村に乗り込んで八つ裂きにして、狂喜と人間の断末魔を聞き全てを壊し尽くすはずだった。それが一撃で先鋒隊が全滅させられたのだから…。
一方のエルローズの村人達も驚きを隠せない。この一撃を放ったのは元王国騎士団長のダムザでもなければ、攻撃魔法が優れているマリアでもなかった。攻撃を仕掛けたのはライアスだった。
マリアは驚きながら「今のは光の魔法?ライアス、貴方…魔法が使えたの?」
しかし、ライアスは「マリア、その話は後だ!敵は動揺している。僕が突撃する!ダムザさん援護をお願いします!」
そう言うとライアスは魔族の群れに切り込んだ!歴戦の猛将ダムザも後に続いた。ダムザはライアスの放った一撃に驚きはしたが、すぐに反撃のチャンスと判断して攻撃体勢に移った!
ライアスはロングソードに光を纏わせる。そして魔族を切り裂く。それはまるで紙を短刀でいとも簡単に切り裂くかのように次々と魔族を切り伏せて行く。ライアスの光の刃の前にはどんな強靭な肉体や盾等、無意味であった。
それに続くようにダムザが両手剣を振り回し猛然と魔族に襲い掛かる。村人達もそれに続く。彼らも只の畑を耕すだけの村人であれば、ここまで戦うことは出来なかっただろう。
日頃からダムザが鍛練を行い、武器の扱いを教えていたのだ。「俺達だってやれば出来るんだ!」「ライアスに、ダムザさんに続け~!」
刈る者と刈られる者…完全に立場は逆転している。
村でも武器の扱いに長けている者がゴブリンやオーガの群れに斬りかかり、後方から弓矢による援護射撃を行う。決して一人では攻撃をしないで三人一組で連携を図る。
魔族も体勢を立て直して村人に襲いかかる。
しかし、魔族の群れに無数の火炎球が村の入り口の上空から流れ星のように降り注いだ。
マリアの魔法だ!彼女は炎の精霊に祈りを捧げ力を借りる。彼女は無数の火炎球を瞬時に同時に作り出し、それを的確に狙い放つ!
「ギャャャャャャ~」「グェェェェェ~」…ゴブリンやオーガの群れが次々に燃えて黒焦げになって朽ちていく…
勝てる!村人達は確信した。このまま押せば魔族を撃破出来る!誰もが思った。
しかし、その時だった!「みんな来るな!伏せろ~!!」ライアスの叫び声が聞こえた…
次の瞬間!林の方が無数に光った。そして村人達の体が撃ち抜かれていく…。
瞬く間に生ある者から死者になっていく…。
魔族の魔法部隊による光の魔法(ライトニング)の一斉射撃だった。
「お父さーん!!」マリアの叫び声が戦場に響き渡った…
「ぐぅぅ…くそっ」ダムザはうめき声を上げその場でうずくまる…
致命傷は巨大な剣で防いだものの重傷を負ってしまった、これでは満足に剣を振るうことは出来ない…
「ダムザさん…」 「オ、オレたちはもう…」
残った村人達も今の攻撃で動揺と恐怖心が込み上げてくる…
ところが、魔族達にも動揺と恐怖心が込み上げてくる、戸惑い、驚きを隠せない様子だ…
ライトニングは前線にいる全ての村人達に狙って撃った…なのに目の前にいる若者には傷一つついていないのだ。
ライアスの左腕には青く光る電磁シールドの様な物で防がれている。
「お前らぁぁ~よくも!」ライアスは体の底から怒りを込み上げ叫んだ。そしてロングソードを突きを繰り出すように身構えた。
みるみる内に剣に光が集まる!まるで大気や大地や草木からエネルギーを集め収束させている。
「玄空剣!!」叫ぶと同時に右手に持ったロングソードを突き出す!
ドォォォォォーーーン!!
巨大な光のエネルギーが炸裂する!
……一瞬の出来事だった。
…遠くから見ていたマリアには理解が出来なかった。
ライアスの剣が光った瞬間、魔族の姿が見当たらなかった…先程のライトニングの魔法でお父さんを村の皆を攻撃した憎い奴らの姿が…。
「すごい…。」マリアは呆然と目の前の視界を見渡してポツリと呟いた。
しかし、ライアスはまだ戦闘態勢のままであった。
林の奥から不気味な笑い声が聞こえてくる。おぞましい、今まで聞いたこともない…冷たく背筋に悪寒が走りだす。
巨大な翼を持った赤い目をした魔族だ!
この部隊を指揮している奴が歩いてライアスのもとにゆっくりと近付く。
お互いににらみ合ったまま、言葉を発する事も無く身構える。
そして半分以上はさっきのライアスの技で消滅したのであろうか。
残りの魔族の部隊も林から現れる。
その時だった…。マリアの背後から無数の騎兵部隊が戦場に向かってくる。
エルド王国の騎士団だ!援軍が来てくれたんだ!
両軍がこの戦場にいるライアスと巨大な翼の魔族を中心として対峙した。
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