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春の物語
会いに行くよ、だから会いに来てね。私は一人になってしまうから
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私は数日間泣いた。
悲しくて悲しくて。
ご飯も全然食べなかった。
やっと涙が止まる頃は数日がたっていた。
頭が痛くて、喉がカラカラ。
私は起き上がると台所に行き水を飲んだ。
「歌花!も、もう大丈夫なのか?」
家族が驚いたように立っている。
私は頷く。
「何があったのかお兄ちゃんたちに言ってくれないか?」
お兄ちゃんは私の肩に手を置きながら言う。
「それはーーーーー。」
私が小さいころの出会いから中学生に再会したことを伝えた。
「スイ?その男の子はそう言ってたのかい?」
お父さんがそう聞くと私は頷いた。
「会いたいなら、会いに行けばいいじゃないの?」
お母さんは当たり前のように言う。
「ちょ、母さん!何言ってるんだよ?!」
お兄ちゃんが慌ててお母さんの方に近寄る。
お母さんは私に微笑むとこう言った。
「私だって、この人と付き合うの大変だったのよ。」
お母さんがそう言うとお父さんは苦笑いを浮かべた。
「父さんを見つけるために母さんは苦労してたみたいだよ。」
お母さんもお父さんも幸せそうに笑った。
お兄ちゃんは「またかよ。」と困った顔で笑った。
「どうして会いに行ったの?」
私が聞くとお母さんはクスリと笑う。
「大好きだから、会いたいからよ。」
お父さんが私にこう言った。
「強く会いたいと思えば歌花も会えるはずだよ。」
お母さんもお父さんも。二人が強く会いたいと願ったと言う。
私はスイに会いたい。
強くそう思う。
だけど。
「もし違う世界ならどうしたらいいの?」
私がずっと気になっていたこと。
するとお兄ちゃんがこう言った。
「歌花は会いたいんだろ?どこにいようと会えると思うぞ。父さんと母さんの娘だから。」
お母さんもお父さんも頷く。
「うん!」
私が久しぶりに笑う。
「でもどうやって会いに行けばいいのかな?」
私が言うと家族は声をそろえて言った。
「「「握りしめてるブローチを使えば?」」」
そのシンクロぶりに驚き、そして家族が言ったことにも驚いた。
「よし善は急げ、だ。」
お父さんはそういうと私にこう言った。
「外に行くから着替えてきなさい。ブローチも持ってくるんだぞ。」
私は言われた東リに着替えてくるとお父さんたちはこう言った。
「スイ君と会っていた場所に案内してくれないか?歌花。」
私は頷いて歩きだす。
「ここだよ。」
私が振り返って言うと家族は頷く。
「よし、歌花。今から会いたいと思え。」
お父さんが唐突に言う。
「え、えぇ?!」
私は驚いて口をぱくぱくさせる。
「いい?今から歌花は歌うの。歌は魔法なんでしょう?」
お母さんは私の手を握りしめながら言う。
「歌花は歌ってる時が、私達の知ってる中で一番感情が溢れてる。」
お母さんが言うと私の事を抱きしめてくれた。
お母さんの匂い。
「歌花、行ってこい。」
お父さんがそう言うとお母さんは離れた。
お兄ちゃんは大きな木の下に立つとこう言った。
「ここがいいんじゃねぇの?」
お兄ちゃんは私に手招きする。
私がお兄ちゃんの元に行くと不思議なことがおきた。
風が下から吹いてきたような、体がふわりと浮くような感じになった。
「お兄ちゃん!」
私が慌てるとお兄ちゃんが私の腕を掴む。
「氏神様、おやめください。妹がおびえてます。」
お兄ちゃんは低く落ち着いた声を出す。
すると浮いてるような感覚が消える。
私はお兄ちゃんにしがみつく。
「お兄ちゃん。どうなってるの?」
お兄ちゃんは私の頭を優しく撫でながら言った。
「この土地の氏神様は歌花の事を気に入ったんだよ。だからもしかしたらスイ君に会えるかもしれない。」
私が首をかしげるとお父さんがつけ足した。
「歌花がここに来れること自体凄いことなんだぞ。ここは氏神様に気に入られた者しか来れないんだからな。」
私は口が開きそうになった。
「私は、いつから好かれていたの?」
そう言うと頭の中に優しい声が響いた。
『楽しそうに歌ってる姿が可愛くて可愛くて。爺バカになったのかもしれないの。』
私が驚いてると、お父さんが
「私の娘ですよ!」
と大きな声で言った。
私もお母さんもお兄ちゃんも笑った。
『別にお前の娘を取るわけじゃない!』
氏神様も笑いながら言う。
『はてさて。スイに会いたいんだな?』
氏神様が話しを戻す。
「はい。会いたいです。」
私がそく答える。
すると氏神様は笑った。
『親子だなぁ。歌花の母親も父親を捜すのに私に頼んだからな。』
私は驚いた。
『ちなみに兄もだぞ。』
その言葉にはすごく驚く。
「お兄ちゃんもなの?」
私が聞くとお兄ちゃんは恥ずかしそうにしてた。
『歌花が小さいころ迷子になっただろう?その時にわしも手伝ったんだ。』
私はお兄ちゃんの顔をじーっと見る。
「そうでもしないと歌花を見つけられなかったんだよ!」
顔を赤くしながら言うお兄ちゃんは優しかった。
『顔を赤くする必要がなかろうに。』
氏神様はまた笑う。
笑い声がだんだん小さくなると真剣な声で言った。
『もう二度と家族に会えないかもしれんぞ。』
私は固まる。
「え?」
するとお兄ちゃんは私の肩に手を置いた。
「大丈夫だ、歌花。家族は離れていてもいつも一緒なんだよ。」
お父さんもお母さんも何も言わない。
お兄ちゃんがそのまま続ける。
「どんなに離れていても、違う世界でも歌花が呼べばいつでも駆けつけるから。」
私の周りに木の葉が回る。
「だから、行ってこい!!」
お兄ちゃんが私の肩を思いきり押す。
すると周りの木の葉は私の体を覆いつくす。
「お兄ちゃん!お母さん、お父さん!」
大きな声で叫ぶけど周りの音がうるさくて消えてしまう。
「必ず!必ず迎えに行くから、待ってろよ歌花!!」
お兄ちゃんの声だけが聞こえた。
私は泣いた。
初めて家族と、お兄ちゃんと別れるんだと分かったから。
これから私は一人になるんだ。
光に包まれながら私は思った。
私の涙は光に反射してきらきらと光った。
悲しくて悲しくて。
ご飯も全然食べなかった。
やっと涙が止まる頃は数日がたっていた。
頭が痛くて、喉がカラカラ。
私は起き上がると台所に行き水を飲んだ。
「歌花!も、もう大丈夫なのか?」
家族が驚いたように立っている。
私は頷く。
「何があったのかお兄ちゃんたちに言ってくれないか?」
お兄ちゃんは私の肩に手を置きながら言う。
「それはーーーーー。」
私が小さいころの出会いから中学生に再会したことを伝えた。
「スイ?その男の子はそう言ってたのかい?」
お父さんがそう聞くと私は頷いた。
「会いたいなら、会いに行けばいいじゃないの?」
お母さんは当たり前のように言う。
「ちょ、母さん!何言ってるんだよ?!」
お兄ちゃんが慌ててお母さんの方に近寄る。
お母さんは私に微笑むとこう言った。
「私だって、この人と付き合うの大変だったのよ。」
お母さんがそう言うとお父さんは苦笑いを浮かべた。
「父さんを見つけるために母さんは苦労してたみたいだよ。」
お母さんもお父さんも幸せそうに笑った。
お兄ちゃんは「またかよ。」と困った顔で笑った。
「どうして会いに行ったの?」
私が聞くとお母さんはクスリと笑う。
「大好きだから、会いたいからよ。」
お父さんが私にこう言った。
「強く会いたいと思えば歌花も会えるはずだよ。」
お母さんもお父さんも。二人が強く会いたいと願ったと言う。
私はスイに会いたい。
強くそう思う。
だけど。
「もし違う世界ならどうしたらいいの?」
私がずっと気になっていたこと。
するとお兄ちゃんがこう言った。
「歌花は会いたいんだろ?どこにいようと会えると思うぞ。父さんと母さんの娘だから。」
お母さんもお父さんも頷く。
「うん!」
私が久しぶりに笑う。
「でもどうやって会いに行けばいいのかな?」
私が言うと家族は声をそろえて言った。
「「「握りしめてるブローチを使えば?」」」
そのシンクロぶりに驚き、そして家族が言ったことにも驚いた。
「よし善は急げ、だ。」
お父さんはそういうと私にこう言った。
「外に行くから着替えてきなさい。ブローチも持ってくるんだぞ。」
私は言われた東リに着替えてくるとお父さんたちはこう言った。
「スイ君と会っていた場所に案内してくれないか?歌花。」
私は頷いて歩きだす。
「ここだよ。」
私が振り返って言うと家族は頷く。
「よし、歌花。今から会いたいと思え。」
お父さんが唐突に言う。
「え、えぇ?!」
私は驚いて口をぱくぱくさせる。
「いい?今から歌花は歌うの。歌は魔法なんでしょう?」
お母さんは私の手を握りしめながら言う。
「歌花は歌ってる時が、私達の知ってる中で一番感情が溢れてる。」
お母さんが言うと私の事を抱きしめてくれた。
お母さんの匂い。
「歌花、行ってこい。」
お父さんがそう言うとお母さんは離れた。
お兄ちゃんは大きな木の下に立つとこう言った。
「ここがいいんじゃねぇの?」
お兄ちゃんは私に手招きする。
私がお兄ちゃんの元に行くと不思議なことがおきた。
風が下から吹いてきたような、体がふわりと浮くような感じになった。
「お兄ちゃん!」
私が慌てるとお兄ちゃんが私の腕を掴む。
「氏神様、おやめください。妹がおびえてます。」
お兄ちゃんは低く落ち着いた声を出す。
すると浮いてるような感覚が消える。
私はお兄ちゃんにしがみつく。
「お兄ちゃん。どうなってるの?」
お兄ちゃんは私の頭を優しく撫でながら言った。
「この土地の氏神様は歌花の事を気に入ったんだよ。だからもしかしたらスイ君に会えるかもしれない。」
私が首をかしげるとお父さんがつけ足した。
「歌花がここに来れること自体凄いことなんだぞ。ここは氏神様に気に入られた者しか来れないんだからな。」
私は口が開きそうになった。
「私は、いつから好かれていたの?」
そう言うと頭の中に優しい声が響いた。
『楽しそうに歌ってる姿が可愛くて可愛くて。爺バカになったのかもしれないの。』
私が驚いてると、お父さんが
「私の娘ですよ!」
と大きな声で言った。
私もお母さんもお兄ちゃんも笑った。
『別にお前の娘を取るわけじゃない!』
氏神様も笑いながら言う。
『はてさて。スイに会いたいんだな?』
氏神様が話しを戻す。
「はい。会いたいです。」
私がそく答える。
すると氏神様は笑った。
『親子だなぁ。歌花の母親も父親を捜すのに私に頼んだからな。』
私は驚いた。
『ちなみに兄もだぞ。』
その言葉にはすごく驚く。
「お兄ちゃんもなの?」
私が聞くとお兄ちゃんは恥ずかしそうにしてた。
『歌花が小さいころ迷子になっただろう?その時にわしも手伝ったんだ。』
私はお兄ちゃんの顔をじーっと見る。
「そうでもしないと歌花を見つけられなかったんだよ!」
顔を赤くしながら言うお兄ちゃんは優しかった。
『顔を赤くする必要がなかろうに。』
氏神様はまた笑う。
笑い声がだんだん小さくなると真剣な声で言った。
『もう二度と家族に会えないかもしれんぞ。』
私は固まる。
「え?」
するとお兄ちゃんは私の肩に手を置いた。
「大丈夫だ、歌花。家族は離れていてもいつも一緒なんだよ。」
お父さんもお母さんも何も言わない。
お兄ちゃんがそのまま続ける。
「どんなに離れていても、違う世界でも歌花が呼べばいつでも駆けつけるから。」
私の周りに木の葉が回る。
「だから、行ってこい!!」
お兄ちゃんが私の肩を思いきり押す。
すると周りの木の葉は私の体を覆いつくす。
「お兄ちゃん!お母さん、お父さん!」
大きな声で叫ぶけど周りの音がうるさくて消えてしまう。
「必ず!必ず迎えに行くから、待ってろよ歌花!!」
お兄ちゃんの声だけが聞こえた。
私は泣いた。
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私の涙は光に反射してきらきらと光った。
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