猫ホスト

猫幸世

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猫ホスト

会員番号3~前編~

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ー大学ー 

授業を終え井上和歌は桜井天に近づき話しかけた。

「天、話があるんだけど」

「用事があるからゴメン」

「この頃、天、急いで帰るよな」

気になる井上和歌は天のあとを追うことにした。 

「自宅の方角じゃないな」

築かれないように井上和歌は天のあとを追い樹海にたどり着いた。 

「ここは…」

驚きながら井上和歌は樹海の中に入っていく天のあとを追い井上和歌も樹海の中に入った。 

「天を見失った…」

キョロキョロしながら井上和歌は樹海の中を歩き続けその後、スーツ姿の司に出くわした。

「すみません」

「どうしましたか」

「男性を追って来たんですが」

「男性なんて来てませんよ、お帰りください」

「桜井天という男性が樹海の中に入る姿を見て俺も中に入ったんだ」

「お帰りください」

「待てよ」

「手を離してください」

「桜井天に会わせてください」

「わかりました、手を離してください」

「……」

井上和歌が司の腕から手を離すと司は井上和歌を自分の部屋に案内した。

「ここでお待ちください」

そう言って司が部屋を出ていくと井上和歌は立ったまま待った。 

それから暫くしてドアが開き黒猫のマスクと白黒猫のブリが言い合いながら入ってきた。 

「猫…」

井上和歌が口にするとマスクとブリの言い合いが止まった。 

「何で司の部屋に人間が居るんだ」

「猫が喋った」

驚いた口調で井上和歌が口にするとマスクが小さな声でブリに話しかけた。

「司を呼んでこい」

「わかった」

ブリがドアを開き部屋を出ていくと井上和歌も部屋を出ていった。

「おい!」

追いかけるためマスクは黒猫からスーツ姿の人間に変身し井上和歌を追いかけていった。 

「猫が喋るなんてあり得ない」

口にしながら樹海を走っていると背後から手首を掴まれ井上和歌の走りは止まった。 

「何だよ」

「勝手に部屋を出るな」

「……」

会ったことがないスーツ姿のマスクに話しかけられ井上和歌は驚いた顔で見つめた。

「答えろ、何でダメージのない人間が司の部屋に居たんだ」

「俺は天に会いたいだけだ」

「天?」

「俺は桜井天を追ってきたんだ 」

「お前、天の知り合いか」

「天のこと知ってるのか?」

「天は俺達の仲間だ」

「頼む、天に会わせてくれ」

「ダメた、ダメージがない人間は帰れ」

「会わせてくれないなら勝手に探して会いに行く」

「ダメだ」

行こうとする井上和歌の手首を掴み引き寄せると地面の木につまづき井上和歌が倒れかける、マスクは井上和歌を抱き止めそのまま倒れた。

「大丈夫か?」

覆い被さっている井上和歌にマスクが話しかけると井上和歌は身体を起こし「ゴメン」と言って離れ立ち上がった。

その後、マスクも立ち上がると井上和歌は足の傷に目を向け口を開いた。

「俺よりあんたの方が怪我してる」

「こんな傷たいしたことない」

「バイ菌が入ると大変だ」

そう言って井上和歌はポケットからハンカチを取り出しマスクの足の傷にあて結んだ。 

「あとでちゃんと治療をしてください」

「ありがとう」

「……」

マスクの言葉に井上和歌が照れながら顔をそらすとスーツ姿の司とブリと天が現れた。 

「和歌!」

「天!」

天と井上和歌が顔を合わせると司がマスクに向かって話しかけた。

「マスク、彼を家まで送ってやれ」

「何で俺が」

「良いから送ってやれ」

「わかったよ」

「……」

「行くぞ」

無言で見つめる井上和歌にマスクが話しかけ歩き出すと井上和歌も歩き出した。 

「司さん、もしかして」

「さすがですね」

「何だよ」

分かりあっている天と司にブリが話しかけると司が口を開いた。

「シラタマのようにマスクも井上和歌に恋をしている」

「マスクが?」

ブリの問いに天が口を開いた。

「マスクさんと和歌は互いを思っています」

「本当に?」

ブリが目を向けると司が口を開いた。 

「もしマスクが付き合いと言ったら天、どうする?」

「俺は応援します」

「天、他のメンバーを俺の部屋に集めてくれ」 

「わかりました」

そう言って天はその場を離れ他のメンバーと白黒猫のブリを司の部屋に集めた。

その後、司は他のメンバーと天とブリにマスクと井上和歌の仲を応援するように伝えた。 

「天、もし井上和歌が君のようにスタッフとして働くことになったら頼めるかな」

「わかりました」

天の返事後、他のメンバーと天が部屋を出ていくとブリが話しかけた。

「本当に兄貴と人間の仲を応援するのか?」

「マスクが望むなら俺は応援する」

「俺は応援しないかも」

そう言ってブリが部屋を出ていくと司は振り返りドアを見つめた。

その頃、スーツ姿のマスクと井上和歌は井上和歌の自宅の前に着いていた。 

「じゃあな」

「あの…」

「何だ?」

「少し…休んで」

井上和歌が言いかけたその時、久保菜々が現れた。

「和歌」

「菜々!」

「今、良いか」

驚いた顔で見つめる井上和歌に久保菜々が近づくとマスクが井上和歌に向かって話しかけた。 

「じゃあな」

「待ってください」

背を向け去ろうとするマスクの腕を掴み止めると井上和歌が小さな声で話しかけた。

「行かないでください」

「……」

「お願いします…行かないで」

「……」

助けを求める顔で見つめる井上和歌の姿を見てマスクは久保菜々に向かって話しかけた。

「悪いけど用事がないなら帰ってくれないかな」

「用事があるから来てるんです、あんたこそ用事がないなら帰ったら」

「さっきは帰ろうとしたんだが用事ができたから帰りません」

「用事は明日でダメですか?」

「あなたこそ明日でダメですか?」

「あんた和歌の何なんですか」

「俺は彼の恋人です」

そう言ってマスクは久保菜々の目の前で井上和歌を抱き寄せ唇を奪った。 

その後、マスクは唇を離し井上和歌を抱き寄せたまま久保菜々に向かって話しかけた。

「帰りますよね」

「……」

マスクの言葉に久保菜々は答えずその場を離れていった。 

「……」

マスクに抱き寄せられ井上和歌の胸のドキドキは激しく高鳴った。 

「もう大丈夫だ」

井上和歌から離れ顔を見つめたマスクは顔が赤い井上和歌に驚いた。 

「顔が赤いけど大丈夫か?」

「大丈夫です」

そう言って井上和歌は家の中に入りドアを閉めた。

「……」

気になりつつマスクはその場を離れ樹海に向かった。

そこへ帰ったはずの久保菜々が現れた。

ー寝室ー 

久保菜々の存在に築いていない井上和歌はベッドに仰向けで倒れながらマスクとのキスを思い出していた。 

「ドキドキがまだ止まらない…俺、あの人のこと好きなのかな…」

「俺から逃げられると思うなよ」

久保菜々が話しかけると井上和歌は身体を起こし驚いた顔で見つめた。

「帰ったんじゃ」

「アイツが帰るまで隠れて見張ってたんだ」

口にしながら久保菜々はベッドに近づき身体を起こしている井上和歌の身体を倒し覆い被さった。 

「菜々、やめろ」

「俺達はただの友達関係じゃない、身体の関係…そうだろ和歌」

そう言って久保菜々は井上和歌の身体を奪い始めた。 

ー樹海ー 

スーツ姿で戻ったマスクは井上和歌のことが気になっていた。 

「……」

「兄貴、話がある」

白黒猫のブリに話しかけられマスクはブリと共に離れた場所に移動した。 

「話って何だ」

「兄貴、正直に答えてくれ」

「何だ」

「井上和歌のこと好きか?」

「わからない」

「答えになってない」

「本当にわからないんだ」

マスクが口にしたその時、悲しげな顔でふらふらしながら井上和歌が現れた。

「兄貴!」

「……」

ブリの目線に目を向けたマスクは驚き倒れかける井上和歌を抱き止めた。 

「家に居るはずなのに何で」

「マスクさん、俺の部屋に運んでください」

天が話しかけるとマスクは井上和歌をお姫様抱っこし天と共に店の中に入り奥に行くと螺旋階段をあがり部屋の中に入った。

その後、マスクはベッドに近づき井上和歌を仰向けで寝かせた。 

「天、目を覚ましたら教えてくれ」

「マスクさん、和歌の側に居てあげてください」

「……」

「司さんには俺から伝えておきますね」

「……」

部屋を出ていく天を見つめドアが閉まるとマスクは立ったまま井上和歌の目覚めを見守った。 
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