異世界人と竜の姫

アデュスタム

文字の大きさ
3 / 74
第1章 フェンリル

03 掃除のおっちゃん

しおりを挟む
「なあ竜。あれが竜帝国か」
「ピギャッ!」
 地平線の彼方には左右に広がる高い城壁とその真ん中に見える白亜の城の姿。それは紺碧の空に堂々と聳え立っていた。
 竜化したバスティーアを先頭に、その後ろには功助を乗せた黄の竜。そしてその斜め後方には蒼い竜のハンスと赤い竜のライラがゆっくりと翼をはばたかせ竜帝国を目指している。
 近づくにつれそれの巨大さがわかってきた。さすがに高さはスカイツリーやあべのハルカスには遠く及ばないがその荘厳さは負けてはいない。
 広さは見当もつかないがかなり広大のようだ。
 その広大な竜帝国の城壁を超え功助たちは一番高い塔の下の広い芝生に降り立った。
 バスティーアたちは竜化を解き人化して功助の方に身体を向けた。
 黄の竜は首を下げ功助は長い首を滑って地上に降りた。
「竜帝国にようこそおいでくださいました。ここが竜帝国の居城『白竜城しろたつじょう』でございます。ごゆるりとしていってください」
 バスティーアはうやうやしく一礼した。

 功助が案内された部屋はどうやら普通の客室のようだ。侍女がお茶を淹れてくれ茶菓子なんかも小さな籠に入っている。侍女はライラとは違い黒い侍女服で頭には緑色のカチューシャをつけている。
 しばらくすると部屋のドアをノックする音がしてバスティーアが入ってきた。国王陛下との謁見の準備が整ったとのことだ。
 バスティーアの先導で許城内の豪華な廊下を連れられて歩いているがなんともぎこちない歩き方になっている功助。
 壁や廊下におそらく非常に価値のある調度品や絵画が飾られているのだろうがまったく目に入らない。功助には認識はしているが緊張しすぎてただ見えているだけの景色となっている。
 国王と言えばその国の最高権力者だ。その国王陛下に会うのに緊張しない者はいないだろう。元の世界でもそんな偉い人に会ったことはないし会う機会もなかったし、とにかく緊張しまくりの功助。
 そしてぎこちなく歩くこと5分ほど。何度も何度も角を曲がりようやく一枚の扉の前にたどり着いた。
「なぜこのような部屋にしたのか。まこと困ったお方だ」
「えっ?」
 バスティーアが何か言ったみたいだがあまりに小さく功助には聞こえなかった。
「いえ、なんでもありません」
 といってそのドアの前で歩を止めた。
「申し訳ございませんがこの部屋でもうしばらくお待ちいただけますでしょうか?」
「あ、はい」
 そしてバスティーアはそのドアを開けた。
 中はなんの変哲もない殺風景な部屋でまるで会社の事務所のようだった。
 バスティーアは中を見渡して聞こえないほどの溜息をついたが功助に向き直ると椅子を勧める。
「コースケ様、お座りください」
 さすがにパイプ椅子やキャスター付きの椅子ではなかったが、バスティーアは椅子をひいた。恐縮しながらも座るが聞こえないようにはあと息つく功助。
「コースケ様。申し訳ございませんがこのブレスレットをはめていただけますでしょうか」
 といって銀色に光る輪っかを取り出した。
「あ、はい。それをはめればいいんですか。わかりました」
 なぜか躊躇せずそれを受け取る功助。
「すみません。お願いします」
 受け取ったブレスレットを右の手首にはめた。少し大きめで手を握っていなければはずれてしまいそうなそれは淡く光ると功助の手首の太さにまで縮んでピッタリのブレスレットになった。
「わっすごい。ピッタリになった。それでこれはなんなんですか?」
 バスティーアの方を見て首を傾げる。
「申し訳ございません。コースケ様ほどのお方であるとこのブレスレットをしていただかねばならないのです。悪影響はございませんので。お守りだと思っていただければ幸いでございます」
「そうですか。なんかよくわかりませんがわかりました」
と言って右手を振った。
 そうこうしてると入口とは反対の方の扉がコンコンとノックされティーセットを持った侍女が入ってきた。
「失礼いたします」
そう一礼すると功助の前にお茶の準備をする侍女。
 そしてその侍女はバスティーアに向くと、
「バスティーア様。侍女長がお呼びです。あちらまでお越しください」
とバスティーアを連れて行った。一人になった功助。周りを見る余裕もなく琥珀色のお茶の入ったカップを見つめていた。

 そして何分たったのだろう、さっき侍女とバスティーアが出て行った扉がコンコンとノックされた。
「は、はい」
 来たっ!と思って返事をして椅子から立ち上がり扉の方に身体を向けた。
 すると、
「毎度っ!お邪魔しまん~にゃわ~」
 と言って箒とちり取り、そしてバケツと雑巾を持った男がアイスブルーの目を細めて立っていた。頭は金髪だがボサボサでくたびれたグレーの帽子をかぶりこれもまたくたびれて薄汚れた作業服に黒長靴をはいている。なんとなくこの部屋にピッタリのおっちゃんが毎度毎度と言いながら入ってきた。
 功助はあっけにとられその姿を見ても口をパクパクするだけでなんのリアクションもとれずにいた。
「いやあほんま疲れまんなあ。外はええ天気やのに部屋の掃除せなあかんのんはなんかもったいないでんなあ。なあ兄ちゃん、そう思わへんか?」
「は…、はあ…。で、でもなんで関西弁?」
「カンサイベン?なんやそれ、美味いんか」
「い、いえ食べ物じゃないんですけど…。それよりどなたですか?」
「見てわからんか?ワシは掃除のおっちゃんや」
そう言って胸を張る掃除のおっちゃん。
「ところで兄ちゃん、この部屋で何してはんの?」
「えっ?いや、あの…。ここで国王陛下様が来るのを待ってるんですが…」
「はあ?王さんをでっか?なんでこんなとこに。なあ兄ちゃん王さんがこんなとこにはうへんと思わへんか?」
「いや、でもここで待つようにとバスティーアさんが…」
「バスティーアはんが言わはったんか。まあそんならはるんかもな。でもなはるまでには時間あると思うでおっちゃんは。ほんでやな兄ちゃん、はるまで暇やろ?なあ掃除手伝てつどうてくれはらへんやろか。な、ええやろ」
「えっ?俺が掃除の手伝いですか…。はあ、まあいいですけど」
 功助はなぜか掃除のおっちゃんを手伝って部屋を掃除することになってしまった。なんでやねんと功助の心の声は首を傾げた。
「ほなおっちゃんが箒でゴミ集めるさかいに机とか椅子とかどけてくれはりまっか」
「は、はい」
 掃除しやすいようにサイドテーブルや椅子を除けていく功助。
「なあ兄ちゃん。この城ん中にいるっちゅうのはお客さんかなんかか?」
「えっ、はあ、まあそうだと思いますけど」
「ふ~ーん。誰のお客さんなん?」
「うーんと、たぶん姫様…王女様かな」
「そうなんか、姫さんのお客か…って兄ちゃんもしかしてあのお転婆姫さんのケガ治したっちゅう人族の兄ちゃんか?」
「あ、はあ、まあそうなるかと。ってよく知ってますねこの城に着いてからあまり時間たってないのに」
「ふふん。掃除のおっちゃんを舐めたらあかんで。おっちゃんの情報網は竜帝国諜報部より凄いんやで」
「は、はあ」
 ゴミ箱を持ったままおっちゃんの話を聞く功助。
「おっ、そのゴミ箱の中身はこっちの袋ん中に入れてや」
と扉不均にいつの間にかおいてある大きな袋を指差した。
「あっ、はい」
「それでやな」
おっちゃんは功助に近づくと少し小さい声で耳元でささやいた。
「はい?」
「聞いてもええか」
「は、はい、いいですけど。なんですか?」
「で、竜帝国の王さんに何お願いすんねん?金か?姫さん助けたんやから相当の金もらえるで。まあ一生遊んで暮らせるような金くれはるで。それ目当てに姫さんのケガ治したんか?それとも竜帝国ん中の上の方の地位が欲しいんか?それとも…」
「ち、違いますよっ!そんな金とか地位とかそんなのいりません!」
 一歩後退ると掃除のおっちゃんを睨む。
「わっ、びっくりした。ちょっとそんなに怒らんでもええやんか。ほんまもう。そうなんか、ほんまに下心無いんか?ええチャンスやと思うんやけど」
「す、すいませんつい。でも本心ですよ。姫様の足を治したのも成り行きというか、まあ、実際治せるなんて思いもしませんでしたけど」
 おっちゃんが箒で掃いたあとにテーブルや椅子を綺麗に並べて行く功助。すると、
「あっ、しもた!ついうっかり掃除の順番間違うてしもた。箒で掃く前に高いとこの埃を払わなあかんかったんや。掃除のおっちゃんとしたことが。二度手間になるけど兄ちゃんこれで埃払ろてくれるか」
 そう言っておっちゃんは頭をかきながらどこから出したのか細い布を束ねたはたきみたいな物を功助に手渡してきた。
「あ、そうですよね。まずは高いところの埃を落としてからですよね。わかりましたまあ二度手間は仕方ないですよ」
そう言って功助は棚の上や高価そうな調度品や絵画や壁の埃を落としていった。そうやって部屋の半分ほどの埃を落として次は反対側に向かおうとしたとき。
「なあ兄ちゃん。掃除のおっちゃんでもわかるんやからバスティーアはんももうとっくにわかってはると思うんやけど。兄ちゃん、あんたどこから来はったん?少なくともこのヌーナ大陸とはちゃうんやろ?」
「ヌーナ大陸?」
「なんやヌーナ大陸も知らへんのんか。これはまたやっかいやなあ」
 ヌーナなどという大陸は地球にはない。それは確かだと功助は思う。古代にはいくつもの超大陸が存在したが現在の地形にはそのような大陸は存在しない。
「は、はあ」
「兄ちゃん、今度は拭き掃除や。この雑巾しぼって机の上とか拭いてくれはるか・」
「あ、はい」
 雑巾を受け取るとバケツの中の水ですすぎしっかりしぼって机や棚の上を拭く。
「それに兄ちゃんな」
「は、はい」
「兄ちゃんってめっちゃ魔力あるんやな。そのブレスレットしてても兄ちゃんの体からとめどなく魔力がこぼれ出てるで。わかってるか?」
「へ?魔力?俺の体から?」
 と言って自分自身を指差す功助。
「 そうやで。やっぱりわかってへんのんかいな。凄い魔力量なんやけどな。そんな気はしたけど。ほんま」
「は、はあ」
「兄ちゃん」
「はい」
「はっきり言うで。兄ちゃんこの世界のもんとちゃうやろ」
「……」
 口を半開きにして掃除のおっちゃんを凝視した。だがおっちゃんはニコニコしながらサイドテーブルを拭いている。
「やっぱりそうやったんか。兄ちゃんは知らんと思うけどこの世界にはたま~に異世界から来た人族がいるんやで。でもおっちゃんの知ってる限りこの前に異世界人族が来たんは五百年ほど前やったんちゃうかな」
「…で、その異世界人は元の世界に還れたんですか?」
 おっちゃんに近づきググッと顔を寄せた。今はその情報が欲しい。なんでもいいから教えて欲しい。このおっちゃんが知っているかどうかはわからないが少しでも早く元の世界に戻りたい、という気持ちを込めた。
「わわわ、近づき過ぎや近づき過ぎ」
 おっちゃんは数歩後退りそんな趣味無いでと額の汗を袖で拭った。
「まあええわ。えーとやな。どうやったんかな。あんまし文献も残ってへんかったかもしれへんけど、ここの城の図書塔にあるかもしれへんで。王さんに聞いてみたらええんとちゃうか」
「国王陛下に…。そうですか。ありがとうございます。聞いてみますね」
「ということはやっぱり兄ちゃんは異世界から来たんやな。でもなんでや?」
「あっ…。ま、まあたぶんそうだと思います。俺にもまだよくわからないんですよ。なんでこんなことになったのか」
「兄ちゃん手ェ止まってんで」
「あ、はい」
 とあわてて椅子を拭きだす。
「ところで掃除のおっちゃん。ちょっと聞きたいことがあるんですが」
「なんや。なんでも聞いてや。おっちゃんはなんでも知ってるで」
「なんで姫様は竜になったまま人に戻れないんですか?」
「ああ、それか、それはな、めっちゃ腹立つ……、いや、惨い事件があったんや」
 おっちゃんは何もない宙を見つめ言った。
「事件?」
「ああそうや、最悪のな。 あれは十日ほど前やったかな」
 掃除のおっちゃんは人に戻れない姫様のことを話し出した。
「朝やった。姫さんはいつもの日課の散歩に行かはったんや。いつもは青の騎士団の誰かが護衛に着くんやけど、その日は空いてる騎士がおらんかってたまたま一人で散歩に行かはったんや。林に行かはったんやけどそこで魔獣に襲われてしもたんや」
「魔獣?」
「そう、魔獣や。悪魔のような魔獣や。まさに天災級のな。ヤツの名は……’フェンリル’)」
「フェンリル……」
「ああそうや。神殺しとも言われる最悪の魔獣や……。そいつに姫さんは左足を噛まれはったんや」
「なんで、なんでそんなとこにフェンリルが?」
「わからん……。林の中にいようと思たら城の高い壁を超えんかったら入れへん。そやけどそんな形跡はどっこにもあらへんかった。それに、ほんまはフェンリルって言うたらバカでかいんやけど、姫さんを襲ったヤツはたかだか3,4メムくらいやったみたいや」
「空を飛んで来たとか……」
「うーん。ちゃうと思うで。空なんか飛べるって聞いたことあらへんし」
「そうなんですか」
「ああそうや。まあ、そんなことはどうでもええねん!それより……、そのケガだけでも大事おおごとなんやけど、もっとえらいことになってしもたんや」
「もっとって…?」
「ああ、足を噛まれた姫さんが苦しんでるのにそいつは襲い掛かり人竜球じんりゅうきゅうを壊しよったんや」
「じんりゅうきゅう?」
「ああ、知らんわな兄ちゃんは。人竜球ちゅうのは竜族だけに与えられた魔法球や。この球があるさかいに竜族は人化と竜化ができるんや。それを壊されてしもた姫さんは人化でけへんようになってしもたんや」
「そうなんですか。えーと、おっちゃんは竜族ですか?」
「ああ、おっちゃんも竜族やで。あるで見せたろか」
「えっ、いいんですか?」
「かまへんかまへん」
 そう言うとおっちゃんは上着の襟元を開いて見せた。ちょうど胸の真ん中にそれはあった。まるで銀色の巨大宇宙人ヒーローの胸にあるような輝く球が。
「どや。これが人竜球や。綺麗なもんやろ。おっちゃんの髪の色とおんなじ色やろ」
「へえ。とても綺麗です。この人竜球を壊されたんですか姫様は」
「そうや。これを壊された時にはたぶんめっちゃ痛かったんとちゃうかな。恐らく死ぬほどの痛みが姫さんを襲ったやろな。ほんで痛みに苦しみながら竜に戻っていったんやろな……」
そういったおっちゃんの目には薄っすらと涙がたまっていた。
「そうなんですか。で、それはもう治ったんですか?俺が出会った時には痛む素振りもなかったみたいですけど」
「ああ。もう人竜球自体は治ったんやけどな。でもその中の魔力がすっからかんになってしもててな。もう二度と人化でけへんようになってしもたんや」
 おっちゃんの目からは涙が一粒頬を伝い落ちた。
「おっちゃん……」
こんな掃除のおっちゃんにまで慕われてるあの黄の竜は幸せなんだなと床に落ちた涙の跡をふっと見た。
 そして功助はそこから目を離すとおっちゃんの目を見る。
「その人竜球の魔力って補充とかできないんですか?」
「そやな、できたらええねんけどな……。昔々どうにかして助けようと他人の魔力を無理矢理移植したことあったみたいやけど、あかんかったみたいや。そもそも人化するのには自分の魔力と人竜球の魔力を融合させて巨大な魔力にして身体を変化させるんやけど、その人竜球の中の魔力は個体ごとに違うんや。そやから無理矢理他人の魔力を移植されて拒絶反応おこしてしもたみたいでな。移植してる途中で死んでしもたそうや」
「そうなんですか……」
 気がつくと掃除のおっちゃんはずっと同じテーブルを拭き続けていた。
「あの、おっちゃん…、、そのフェンリルでしたっけ?その魔獣はどうなったんですか?」
「逃げよった。姫さんの悲鳴を聞いて護衛のもんや何人もの騎士兵士がかけつけたんやけど遅かったわ。今はそのフェンリルの捜索が継続中や。絶対に見つけて落とし前つけたる!まあ、特徴あるさかいにもうすぐ見つかると思うんや。けど相手が相手やしなあ」
「特徴?どんな奴なんですか?」
「それはな、眉間から左頬にかけて剣で切られたような傷跡があんねん」
「剣で切られた傷跡ですか?」
「そうや。いつ誰がその傷をつけたかはわからへんけど確かにそれは剣で切られた傷やっちゅうことや」
「倒せるんですかその神殺しの魔獣」
「そやな。一般の兵士や騎士やったら300人から500人以上でたたこうたらええ戦いができるかもしれへんな。竜化したもんやったらそれでも20や30体以上でやって勝てるかどうかやろな」
「そんなに強いんですかそいつ」
「ああ。ほんま最悪な魔獣や」
 おっちゃんはテーブルをその拳で叩いた。
「人竜球に魔力が戻らなかったらずっと竜のままなんですか?」
「…それやったらええんやけどな……。それがちゃうんや……。人竜球にもしこのまま魔力が戻らんかったらやな、……姫さんはあと十日ほどで……死ぬ…」
「っ!」
 おっちゃんは功助の目を見ると悔しそうに目を伏せた。
「…あ、あと10日で…」
「……そうや。だんだん知性がなくなっていって最後には凶暴化して暴れまくってそこらじゅう破壊するんや。ほんで最後の最後には自分で自分の体に噛みついて、噛み続けてほんで死んでいくんや」
「なんとかならないんですかそれは」
「難しいやろな。でも化膿性はたったひとつだけあるみたいやで。おっちゃんは知らんけど」
「誰が知ってるんですか?」
「王さんや」
「えっ?国王陛下が…」
「知ってると思うで。それで兄ちゃんをこの城に呼んだんかもしれへんな」
「はあ、なんでそれで俺を呼んだんですか?」
「さあな。なんでやろな。おっちゃんも知りたいわ」
 功助を見つめる掃除のおっちゃん。
「さ、掃除はだいたい終わったわ。おおきに兄ちゃん、二人でしたら早よ終わったわ。たぶんもうすぐバスティーアはんがはると思うさかいにもうちょっと待っといてや」
 おっちゃんは掃除道具を片付けながらそう言った。
「あ、いいえ。こちらもいろいろと教えていただいてありがとうございました」
 おっちゃんに一礼する功助。
「なあ兄ちゃん」
「はい」
「姫さんのこと助けてあげてな。兄ちゃんの魔力ならなんとかなるかもしれへんさかい」
「えっ、姫様の…。って、なんとかなるんですか俺の魔力で」
「ああ、なると思うでおっちゃんは。兄ちゃんの魔力はめっちゃ澄んでるさかいにな。頼むわ」
「へ?なんで?……ま、まあなんとかなるならなんとかしてあげたいですけど」
「そうか、おおきにな兄ちゃん。ほんならよろしゅうたのんます」
 おっちゃんは深々とお辞儀をした
「ちょ、ちょっとおっちゃん。頭上げてくださいよ。ね」
「ああ。ほんならおっちゃんは元に戻って待つことにするわ」
「はい?元にって…」
 功助がすべて言い終わる前におっちゃんは部屋から出て行った。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公 じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい …この世界でも生きていける術は用意している 責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう という訳で異世界暮らし始めちゃいます? ※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです ※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています

異世界へ行って帰って来た

バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。 そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

異世界転移物語

月夜
ファンタジー
このところ、日本各地で謎の地震が頻発していた。そんなある日、都内の大学に通う僕(田所健太)は、地震が起こったときのために、部屋で非常持出袋を整理していた。すると、突然、めまいに襲われ、次に気づいたときは、深い森の中に迷い込んでいたのだ……

処理中です...