4 / 74
第1章 フェンリル
04 謁見
しおりを挟む
「失礼いたします」
掃除のおっちゃんが出て行ってしばらくするとさっきとは違う侍女がやってきた。押しているワゴンの上には新しく入れたのであろうお茶のセットと小さな皿には焼き菓子が載っている。
「お発にお目にかかります。わたくしはここ白竜上の侍女長を任されておりますミーシェスカ・グランスと申します。よろしくお願いいたします」
そう言って一礼をした侍女は濃紺の侍女服で赤いカチューシャをつけている。髪は肩くらいまでの銀髪でブルーの少し釣り目だが綺麗な人だった。
「あ、はい。俺は安藤……、いや、コースケ・アンドーです。よろしくお願いします」
功助はペコリと頭を下げる。
「コースケ様。わたくしに頭などおさげにならないでください」
苦笑する侍女長のミーシェスカ。
そして部屋の中を見渡すと申し訳なさそうに言った。
「コースケ様。もしかして掃除を手伝わされたのではありませんか?」
「えっ?は、はい。掃除の方が来られて手伝ってくれと言われまして」
「やはりそうでしたか。大変申し訳ございませんでした。後ほどきつく言っておきますので」
と言って深々と頭を下げた。
「あ、いえ、そんな。大丈夫ですよ。掃除の方といろいろと話もできて有意義でしたから」
「そうですか。しかし本当に申し訳ございませんでした」
と言って再び頭を下げた。まさに侍女の礼だった。
「あ、気にしないでください」
と両手を前に出してぶんぶん振るが侍女長は少し苦笑した。
「それではお茶をお替えいたします」
「あ、大丈夫ですよ」
「いえいけません。掃除をしたために埃などが入っていると思われます」
「ま、まあ大丈夫ですよ少しくらいの埃」
「いえ。そのようなものをお飲みいただくわけにはまいりません。このようなお茶を出したとあれば侍女として末代までの恥。替えさせていただきます」
「は、はい。わ、わかりました」
侍女長はさっきのティーセットをワゴンに戻すとテーブルを綺麗に拭き新しくティーセットを並べた。だがその所作には一片の無駄もなくそして食器のぶつかる一切の音もなく素早くそしてしなやかにポットから紅茶を優雅にカップへと注いだ。
「どうぞお召し上がりください」
とまた深々と一礼をした。
「それではもうしばらくお待ちください。間もなくバスティーア様が参られますので」
「は、はい。ありがとうございます」
侍女長はもう一度深々と一礼をして奥のドアを開けて出て行った。とても熱い日とだった。
また一人になると、今度はゆっくりとお茶を飲むことにした。見た目どおり紅茶だった。しかもアールグレーの風味がした。そして焼き菓子を一口食べた
「うん。うまいなこりゃ」
微笑する功助。
それから十分ほどたった頃、再び奥の扉をノックする音がして、そこからバスティーアが入ってきた。
部屋の中を一瞥するとほんの少し眉間に皺を寄せたバスティーア。
「申し訳ございませんでした」
とこれもまた深々と一礼した。家令の完璧な礼だった。
「コースケ様。大変お待たせいたしました。陛下との謁見準備が整いました。さ、こちらへどうぞ」
バスティーアは功助を先導して奥の扉から廊下にでた。廊下は左右に伸びており左の方に歩いていく。
少し緊張もとれたのだろう功助は廊下の左右に置かれている高そうな壺や絵画を落ち着いて見ながら歩くことができたようだ。そして今度は5分ほど歩いたところで大きな扉が見えてきた。
そしてその前には先ほどとは違う衛兵が二人左右に立っていた。
「ご苦労様です。コースケ・アンドー様をお連れしました」
とバスティーア。二人の衛兵は「はっ」と返事をしてその大きな扉を左右に、静かに開いた。
中に入るとたくさんの視線を感じた。それもそのはず、中には数十人もの人たちがいた。
「(うわあ、すごいなこれは。絶対俺って場違いだよな。こんなとこ俺の来るとこじゃないよな)」
少し長方形をしているその部屋は学校の体育館ほどの広さがあり上をチラッと見ると天井までもとても高くいくつものシャンデリアのようなのが力強く輝いている。
「(電気?いや、なんか違うような気がする)」
左右の壁には大きな窓がありガラスなのだろうか透明な板がはまっているようだ。
扉から入って真っ直ぐに赤いカーペットが敷いてあり、正面には数段の階段とその上には玉座なのだろうとても豪華でしかし華美ではなく威厳のある椅子が鎮座している。まだ国王陛下は座っておらずその玉座の左右には金色の鎧をつけた騎士が立っていた。
玉座の後ろはシルクのような光沢を放つカーテンがゆったりと広がっている。おそらくそこから国王陛下が入ってくるのだろう。
そしてその上方には翼をはばたかせ雄たけびをあげているような白い竜の彫刻が飾られていた。
カーペットの左右には髭を生やした人やでっぷりと太って脂ぎった人、スラリとしたイケメンやなんと白銀の髪の女性が立っている。おそらく貴族とか伯爵とかそんな感じの人たちなのだろう、そしてその後ろには銀色の騎士や青い騎士、壁付近には侍女たちが直立不動で立っている。
功助は目だけを動かして周囲を見回した。
そしてその赤いカーペットをバスティーアの先導でゆっくりと歩いていく。
カーペットの左右からは値踏みをするような視線や射殺せそうな視線を功助に注ぐ者たちがいた。
そして二人はほどなくして、階段の下にたどり着いた。
「コースケ様。片膝を着いてお座りください」
バスティーアはようやく聞こえるような小さな声でそう言った。
すると王座のある横の方から一人の女性がゆっくりと入室してきた。真っ赤な髪は背中の真ん中くらいまであり、華美な装飾も煌びやかなアクセサリーもないシンプルな水色のドレスを着た見た目30歳くらいの女性だ。功助が少し見とれているとバスティーアがささやいた。
「王妃のルルサ様でございます。コースケ様。頭をお下げ願います」
「あっ、はい」
バスティーアのいうとおり頭を下げてレッドカーペットを見つめる功助。毛足が長いなと変なことを考えてしまうが今見た王妃を見て思う。
「(あの人が王妃様ということはあの竜のお母さんか…でも、若そうだぞあの人)
レッドカーペットを見つめているとまた誰かが入ってきたのがわかった。カツカツという靴の音、衣擦れの音、そして静かに着座する音が聞こえた。おそらくは国王陛下だろう。
「面を上げよ」
若そうな声だが威厳のある声が耳にとどいた。そして功助はゆっくりと頭を上げて階段の上の豪華な椅子を見た。
そこには金色の髪でアイスブルーの目をした見た目30代に見える男が座っていた。
「そなたが我が娘、シオンベールの傷を癒してくれた者か?」
「は、は、はいっ」
功助はひっくり返りそうな声をどうにか静めて返事をした。ただ緊張のあまりどもっているが。
功助は、あの黄金の竜はシオンベールって名前だったんだと今更ながら名前も知らなかったんだと内心で苦笑した。
「感謝する」
そういうとほんの少し離れたところに座っていた王妃も功助に声をかけた。
「わたくしからもお礼を申しあげます。シオンベールの着ずを治していただきありがとうございます」
王妃はなんと頭まで下げたのだった。
「あ、あ、い、いえ。そ、そ、そんなお礼を言われるようなことは、し、し、してませんので、はい」
「いいえ。これまで何人もの治癒術死や薬師があれやこれやと手を尽くしても治せなかった傷をいとも簡単に治していただいたのです。お礼を言わずしてどうしましょう」
微笑む王妃はとても美しくそしてそのグリーンの瞳は慈愛に満ちた目をしていた。
「そうなのだ客人よ。余も感謝しておる」
「あ、ありがとうございます」
と功助はしっかりと国王の顔を見たとき「あれ?」と反射的に声を出してしまった。あわてて口を噤むがごまかすことはできなかった。
「どうしたのだ?」
「あ、すみません。な、なんでもありません」
といったものの……。
「(なんか似てるよなああのおっちゃんと。でも国王だしなあこっちは。まあいっか)
何かなんかげせないがあまり考えないようにした。
「ところで客人よ。そなたの名を教えてはくれぬか」
「あ、はい。俺…いやわ、私の名前は安藤…あ、いえ、コースケ・アンドーと申します」
「コースケ・アンドーか。しかし、そんなに堅くならずともよい。気楽に話をしてくれ」
「は、はい」
袖で額の汗を拭った。
「それでコースケ・アンドー殿。そなたに褒美を遣わす。遠慮せず欲しいものを何でも言うがよい。シオンベールの傷を癒してくれたのだ、どんなことでも叶えてやろう」
来たぞ治癒の褒美が、と功助は小さく深呼吸をした。しかし今ここでたくさんの人がいる中で話すわけにはいかない。もしここで異世界から来た者たちのことを書いた文献を見せてほしいなどと頼めば怪しい奴と思われるだろうしととっさに考える。
「ありがとうございます。それでは二つほどお願いがあります」
「二つの願いとな。なんだ?」
「はい。一つは、私は着の身着のままなので少しの間だけここに滞在させていただきたいのですが」
「それはこの城でしばらくやっかいになりたいということか?」
「あ、はい。くだけて言うとそうなります。いかがでしょうか」
「そのようなことで良いのか?しかし…」
「だ、ダメでしょうか」
国王の顔を見たが、やはり似てると心で首を傾げる。
「いやそうではないのだ。そなたにはしばらくこの城でゆっくりと滞在してもらおうと王妃とも話をしていたのだ」
「ということは、しばらくこの城に滞在させていただけるということですか?」
「うむ。ゆっくりとくつろいでくれ。ではもう一つの願いは何だ?」
「はい。実はここではお話しにくいことなので後ほど改めてお願いしたいのですが」
「ここでは言えぬことなのか」
少しアイスブルーの目が狭まった。だがここでひるむわけにはいかなかった。
「私のこれからの処遇が決まってもおかしくないことなので、できればですが」
「……」
アイスブルーの瞳が功助の内心を見るかのように凝視した。
「……」
功助も負けじと国王陛下の目をじっと見る。
「わかった。そなたの希望に添えるようにする。後ほど連絡がいくであろう」
「ありがとうございます」
功助は頭を下げふうと小さく息を吐いた。
「して、それ以外にはなにかないのか?」
「いえ。それだけで充分です。よろしくお願いします」
と叩頭する。
「ほんとに他には何もいらぬのか?金も身分も与えてやれるのだぞ」
「はい。俺……、いえ、私はそんなつもりで王女様の傷を治したんじゃありませんので。お金や身分なんてこれっぽっちも考えてません」
「なんと見上げたものよ。あいわかったしばらくこの城に滞在するがよい。それでバスティーアよ」
「はっ」
バスティーアはうやうやしく一礼し国王の顔を見た。
「あとのことはお前に一任する。コースケ殿のこと頼んだぞ」
「はっ。おまかせください」
深く一礼をするバスティーア。しかし、その時、
「お待ちくだされ陛下」
レッドカーペットの横にズラッと並んだ大臣貴族の中から男の声がした。声はその後ろの方から聞こえてきた。その方向に目を向けるとガマガエルがいた。いや、ガマガエルに似た男がいた。
全身キンピカの服ははち切れそうで、脂ぎった顔にはミミズのように細い目がヒクヒクしている。短い足が胴体の下に申し訳程度くっついている。そして煌びやかなマントをはおっているが身長に会っていないようで床に垂れさがっている。
「なんだフログス伯爵。陛下はお前に発言の許可を与えていないのだぞ」
国王の両側に立った金の騎士がそのガマガエルに一言言っている。どちらも金のフルフェイスの鎧を着ているのでどちらが発言したのかはわからないが威圧的なその声にフログスと呼ばれた男は少し眉間に皺をよせたがすぐにつくろう。
「はっ、いや、そのようなどこの馬の骨とも知らぬ輩がこの伝統と貴賓あふれる竜帝国白竜城で暮らすなどと」
「だまれ。陛下が決定されたこと。お前がとやかく言うものではない!」
「しかし…」
「これ以上発言を続けるならば…」
「待てカーロ。言わせてやれ」
止めたのは国王だった。
「しかし陛下」
「かまわぬ。あれをはめているコースケ殿を見てもわからぬのならいいたいだけ言わせてやれ」
「…はっ」
向かって左側の金の騎士が胸に手をあてた。
「フログスよ。お前の意見を聞こうではないか」
「ありがたき幸せ。それでは」
コホンとわざとらしい咳をひとつしてフログスと言われたガマガエルがしゃべり出した。
「まずシオンベール王女様の傷を治したのは誠にその人族なのでしょうかな。誰かが治したのをさも自分が治したと言っているのではと。そして褒美はいらぬと言う。自分は無欲だと、自分は陛下には危害を与えないと。それもこれも陛下たちに好印象を与えこの城に入り込むのが目的ではないかと。このままその人族を城に住まわせばいずれ命の危険があるやもしれませぬ。それに見たところ魔力もそれほど纏っているようには見えませんな。そのような非力の人族は直ちに城外へと捨てるのが最良かと思われますな」
グワッハッハッと大口を開けまさにカエルのような笑い声をたてるフログス伯爵。
「そうでしょうかフログス伯爵?」
と言ったのは最前列で立っていたあの白銀の髪の女性だった。魔法使いなのだろうか、黒いローブをはおっている。肩くらいまでの真っ直ぐな白銀の髪、少し垂れ気味の銀色の大きな目、スーッと通った鼻筋、ほんのり桜色の小さな唇、そして白くて透き通るような肌。
そんな綺麗な女性がくすくすと手の平を口にあてフログス伯爵の方を見ている。
「むむっ、シルフィーヌ隊長。何がそんなにおかしいのだ」
「フログス伯爵様。あの人を見てよくそんなことが言えますわね。あれをしているとは言えびっくりこきましてですわ。そのアホさ加減に笑いすぎてちびりそうになってしまいましたでございますわよ。おほほほほ」
そう言ってさっきより笑い声が大きくなった。少し言葉がおかしいが。
「ぶ、侮辱なさるか!それくらいわかっておるわ。あやつはただの人族。魔力が大きいとはいえ所詮は人族。竜族をはじめ我々には遠く及ばぬわ」
「あらあらまあまあ、困ったちゃんですわね。やっぱりそうだと思いましたけどやっぱり鈍チンさんでしたか。前から脂ぎったお顔には知性も魔力も無いと思っておりましたですけど、えーとえーと、そうそう、確信いたしましてございますわ」
そう言って目元を人差指で拭った。
「あら嫌でございますわ、涙までお出になってしまったですわ。お恥ずかしい」
フログス伯爵は目をヒクヒクさせ顔を真っ赤にして白銀の女性を睨んでいる。
「むむむむっ!それ以上侮辱するならばいくら魔法師隊隊長でも容赦はせぬぞっ!」
「フログス伯爵。陛下の御前である、控えよ」
またさっきの金の騎士がフログス伯爵を一喝した。
「ははっ。申し訳ございませぬ」
フログス伯爵はしかし憎々し気に白銀の女性を睨んでいる。
「やーい、やーい、怒られたぁ!」
と言って白銀の女性は指を刺して喜んでいる。まったくこの人はいくつなんだろうと苦笑する功助。
「シャリーナ・シルフィーヌ隊長も控えよ」
「あっ」と言って口を押える白銀の女性。シャリーナ・シルフィーヌという名のようだ。
「す、すんませんでございますわ」
と一礼した。
コホンとまたフログス伯爵がわざとらしい咳をした。
「とにかくですな。そやつを白竜城に滞在させるのはお止めになった方がよろしいかと進言いたします」
国王は少し口の端を持ち上げるとこう言った。
「そうか。ひとつの意見として聞いておくぞフログス伯爵」
「はっ」
そう言ってフログス伯爵は頭を下げた。そしてシャリーナ・シルフィーヌをちらっと見るとニヤッと笑った。それを見たシャリーナはなんとあっかんべぇをしていた。
「陛下。少し早いですがこれにて失礼いたします」
フログス伯爵はそう言うと数人の付き人を引き連れて謁見の間から退室するために側面のドアの方に歩いていった。しかしその途中で引きずっているマントを自分で踏んでしまい思いっきりこけた。それも顔面からズルッという感じに豪快に。
「キャハハハハーーっ!!」
という女性の笑い声が謁見の間の中に響いた。誰かと首をめぐらすとやはりというかシャリーナだった。それも右手の人差指をしっかり伸ばしフログス伯爵を指差して大笑いをしている。
そしてそこら中から「くくくっ」とか「うぷっ」とかの失笑が。
王座の方を見るとルルサ王妃が俯き大きな扇を顔の前に広げている。その肩はプルプル震えているのを功助は見た。
国王はそれくらいでは動じないとばかりすました顔になっている。が、またも功助は見た、口の端が震え肘かけにかけた腕もプルプル震えているのを。
「ううっ、し、し、失礼…」
フログス伯爵はシャリーナの方を見ると憎々しげに睨んでいる。その手は鼻を押えているが指の間から鼻血が一筋垂れた。
「ぐわっはははは、いーっひひひ、ひゃあっはっはっはっは!!」
シャリーナは涙を流し指を刺し続けていた。
フログス伯爵が退場して間もなく。
「バスティーアよ」
「はっ」
「先ほどのことだが、 コースケ殿のことまかせたぞ」
「はっ」
バスティーアは深く一礼をすると功助を促し謁見の間を出た。
その途中シャリーナが功助に向かってピョンピョン跳ねながらブンブンと胸の前で手を振る。が、なんとローブ越しに胸が上下にゆっさゆっさと揺れている。功助は目を見張ったが冷静を装い軽く頭を下げた。頭を上げてもう一度彼女を見ると今度は両手をブンブン振っていた。今度その胸は上下左右に大きくゆっさゆさと暴れていた。只者じゃないなと功助は思ったのだった。
掃除のおっちゃんが出て行ってしばらくするとさっきとは違う侍女がやってきた。押しているワゴンの上には新しく入れたのであろうお茶のセットと小さな皿には焼き菓子が載っている。
「お発にお目にかかります。わたくしはここ白竜上の侍女長を任されておりますミーシェスカ・グランスと申します。よろしくお願いいたします」
そう言って一礼をした侍女は濃紺の侍女服で赤いカチューシャをつけている。髪は肩くらいまでの銀髪でブルーの少し釣り目だが綺麗な人だった。
「あ、はい。俺は安藤……、いや、コースケ・アンドーです。よろしくお願いします」
功助はペコリと頭を下げる。
「コースケ様。わたくしに頭などおさげにならないでください」
苦笑する侍女長のミーシェスカ。
そして部屋の中を見渡すと申し訳なさそうに言った。
「コースケ様。もしかして掃除を手伝わされたのではありませんか?」
「えっ?は、はい。掃除の方が来られて手伝ってくれと言われまして」
「やはりそうでしたか。大変申し訳ございませんでした。後ほどきつく言っておきますので」
と言って深々と頭を下げた。
「あ、いえ、そんな。大丈夫ですよ。掃除の方といろいろと話もできて有意義でしたから」
「そうですか。しかし本当に申し訳ございませんでした」
と言って再び頭を下げた。まさに侍女の礼だった。
「あ、気にしないでください」
と両手を前に出してぶんぶん振るが侍女長は少し苦笑した。
「それではお茶をお替えいたします」
「あ、大丈夫ですよ」
「いえいけません。掃除をしたために埃などが入っていると思われます」
「ま、まあ大丈夫ですよ少しくらいの埃」
「いえ。そのようなものをお飲みいただくわけにはまいりません。このようなお茶を出したとあれば侍女として末代までの恥。替えさせていただきます」
「は、はい。わ、わかりました」
侍女長はさっきのティーセットをワゴンに戻すとテーブルを綺麗に拭き新しくティーセットを並べた。だがその所作には一片の無駄もなくそして食器のぶつかる一切の音もなく素早くそしてしなやかにポットから紅茶を優雅にカップへと注いだ。
「どうぞお召し上がりください」
とまた深々と一礼をした。
「それではもうしばらくお待ちください。間もなくバスティーア様が参られますので」
「は、はい。ありがとうございます」
侍女長はもう一度深々と一礼をして奥のドアを開けて出て行った。とても熱い日とだった。
また一人になると、今度はゆっくりとお茶を飲むことにした。見た目どおり紅茶だった。しかもアールグレーの風味がした。そして焼き菓子を一口食べた
「うん。うまいなこりゃ」
微笑する功助。
それから十分ほどたった頃、再び奥の扉をノックする音がして、そこからバスティーアが入ってきた。
部屋の中を一瞥するとほんの少し眉間に皺を寄せたバスティーア。
「申し訳ございませんでした」
とこれもまた深々と一礼した。家令の完璧な礼だった。
「コースケ様。大変お待たせいたしました。陛下との謁見準備が整いました。さ、こちらへどうぞ」
バスティーアは功助を先導して奥の扉から廊下にでた。廊下は左右に伸びており左の方に歩いていく。
少し緊張もとれたのだろう功助は廊下の左右に置かれている高そうな壺や絵画を落ち着いて見ながら歩くことができたようだ。そして今度は5分ほど歩いたところで大きな扉が見えてきた。
そしてその前には先ほどとは違う衛兵が二人左右に立っていた。
「ご苦労様です。コースケ・アンドー様をお連れしました」
とバスティーア。二人の衛兵は「はっ」と返事をしてその大きな扉を左右に、静かに開いた。
中に入るとたくさんの視線を感じた。それもそのはず、中には数十人もの人たちがいた。
「(うわあ、すごいなこれは。絶対俺って場違いだよな。こんなとこ俺の来るとこじゃないよな)」
少し長方形をしているその部屋は学校の体育館ほどの広さがあり上をチラッと見ると天井までもとても高くいくつものシャンデリアのようなのが力強く輝いている。
「(電気?いや、なんか違うような気がする)」
左右の壁には大きな窓がありガラスなのだろうか透明な板がはまっているようだ。
扉から入って真っ直ぐに赤いカーペットが敷いてあり、正面には数段の階段とその上には玉座なのだろうとても豪華でしかし華美ではなく威厳のある椅子が鎮座している。まだ国王陛下は座っておらずその玉座の左右には金色の鎧をつけた騎士が立っていた。
玉座の後ろはシルクのような光沢を放つカーテンがゆったりと広がっている。おそらくそこから国王陛下が入ってくるのだろう。
そしてその上方には翼をはばたかせ雄たけびをあげているような白い竜の彫刻が飾られていた。
カーペットの左右には髭を生やした人やでっぷりと太って脂ぎった人、スラリとしたイケメンやなんと白銀の髪の女性が立っている。おそらく貴族とか伯爵とかそんな感じの人たちなのだろう、そしてその後ろには銀色の騎士や青い騎士、壁付近には侍女たちが直立不動で立っている。
功助は目だけを動かして周囲を見回した。
そしてその赤いカーペットをバスティーアの先導でゆっくりと歩いていく。
カーペットの左右からは値踏みをするような視線や射殺せそうな視線を功助に注ぐ者たちがいた。
そして二人はほどなくして、階段の下にたどり着いた。
「コースケ様。片膝を着いてお座りください」
バスティーアはようやく聞こえるような小さな声でそう言った。
すると王座のある横の方から一人の女性がゆっくりと入室してきた。真っ赤な髪は背中の真ん中くらいまであり、華美な装飾も煌びやかなアクセサリーもないシンプルな水色のドレスを着た見た目30歳くらいの女性だ。功助が少し見とれているとバスティーアがささやいた。
「王妃のルルサ様でございます。コースケ様。頭をお下げ願います」
「あっ、はい」
バスティーアのいうとおり頭を下げてレッドカーペットを見つめる功助。毛足が長いなと変なことを考えてしまうが今見た王妃を見て思う。
「(あの人が王妃様ということはあの竜のお母さんか…でも、若そうだぞあの人)
レッドカーペットを見つめているとまた誰かが入ってきたのがわかった。カツカツという靴の音、衣擦れの音、そして静かに着座する音が聞こえた。おそらくは国王陛下だろう。
「面を上げよ」
若そうな声だが威厳のある声が耳にとどいた。そして功助はゆっくりと頭を上げて階段の上の豪華な椅子を見た。
そこには金色の髪でアイスブルーの目をした見た目30代に見える男が座っていた。
「そなたが我が娘、シオンベールの傷を癒してくれた者か?」
「は、は、はいっ」
功助はひっくり返りそうな声をどうにか静めて返事をした。ただ緊張のあまりどもっているが。
功助は、あの黄金の竜はシオンベールって名前だったんだと今更ながら名前も知らなかったんだと内心で苦笑した。
「感謝する」
そういうとほんの少し離れたところに座っていた王妃も功助に声をかけた。
「わたくしからもお礼を申しあげます。シオンベールの着ずを治していただきありがとうございます」
王妃はなんと頭まで下げたのだった。
「あ、あ、い、いえ。そ、そ、そんなお礼を言われるようなことは、し、し、してませんので、はい」
「いいえ。これまで何人もの治癒術死や薬師があれやこれやと手を尽くしても治せなかった傷をいとも簡単に治していただいたのです。お礼を言わずしてどうしましょう」
微笑む王妃はとても美しくそしてそのグリーンの瞳は慈愛に満ちた目をしていた。
「そうなのだ客人よ。余も感謝しておる」
「あ、ありがとうございます」
と功助はしっかりと国王の顔を見たとき「あれ?」と反射的に声を出してしまった。あわてて口を噤むがごまかすことはできなかった。
「どうしたのだ?」
「あ、すみません。な、なんでもありません」
といったものの……。
「(なんか似てるよなああのおっちゃんと。でも国王だしなあこっちは。まあいっか)
何かなんかげせないがあまり考えないようにした。
「ところで客人よ。そなたの名を教えてはくれぬか」
「あ、はい。俺…いやわ、私の名前は安藤…あ、いえ、コースケ・アンドーと申します」
「コースケ・アンドーか。しかし、そんなに堅くならずともよい。気楽に話をしてくれ」
「は、はい」
袖で額の汗を拭った。
「それでコースケ・アンドー殿。そなたに褒美を遣わす。遠慮せず欲しいものを何でも言うがよい。シオンベールの傷を癒してくれたのだ、どんなことでも叶えてやろう」
来たぞ治癒の褒美が、と功助は小さく深呼吸をした。しかし今ここでたくさんの人がいる中で話すわけにはいかない。もしここで異世界から来た者たちのことを書いた文献を見せてほしいなどと頼めば怪しい奴と思われるだろうしととっさに考える。
「ありがとうございます。それでは二つほどお願いがあります」
「二つの願いとな。なんだ?」
「はい。一つは、私は着の身着のままなので少しの間だけここに滞在させていただきたいのですが」
「それはこの城でしばらくやっかいになりたいということか?」
「あ、はい。くだけて言うとそうなります。いかがでしょうか」
「そのようなことで良いのか?しかし…」
「だ、ダメでしょうか」
国王の顔を見たが、やはり似てると心で首を傾げる。
「いやそうではないのだ。そなたにはしばらくこの城でゆっくりと滞在してもらおうと王妃とも話をしていたのだ」
「ということは、しばらくこの城に滞在させていただけるということですか?」
「うむ。ゆっくりとくつろいでくれ。ではもう一つの願いは何だ?」
「はい。実はここではお話しにくいことなので後ほど改めてお願いしたいのですが」
「ここでは言えぬことなのか」
少しアイスブルーの目が狭まった。だがここでひるむわけにはいかなかった。
「私のこれからの処遇が決まってもおかしくないことなので、できればですが」
「……」
アイスブルーの瞳が功助の内心を見るかのように凝視した。
「……」
功助も負けじと国王陛下の目をじっと見る。
「わかった。そなたの希望に添えるようにする。後ほど連絡がいくであろう」
「ありがとうございます」
功助は頭を下げふうと小さく息を吐いた。
「して、それ以外にはなにかないのか?」
「いえ。それだけで充分です。よろしくお願いします」
と叩頭する。
「ほんとに他には何もいらぬのか?金も身分も与えてやれるのだぞ」
「はい。俺……、いえ、私はそんなつもりで王女様の傷を治したんじゃありませんので。お金や身分なんてこれっぽっちも考えてません」
「なんと見上げたものよ。あいわかったしばらくこの城に滞在するがよい。それでバスティーアよ」
「はっ」
バスティーアはうやうやしく一礼し国王の顔を見た。
「あとのことはお前に一任する。コースケ殿のこと頼んだぞ」
「はっ。おまかせください」
深く一礼をするバスティーア。しかし、その時、
「お待ちくだされ陛下」
レッドカーペットの横にズラッと並んだ大臣貴族の中から男の声がした。声はその後ろの方から聞こえてきた。その方向に目を向けるとガマガエルがいた。いや、ガマガエルに似た男がいた。
全身キンピカの服ははち切れそうで、脂ぎった顔にはミミズのように細い目がヒクヒクしている。短い足が胴体の下に申し訳程度くっついている。そして煌びやかなマントをはおっているが身長に会っていないようで床に垂れさがっている。
「なんだフログス伯爵。陛下はお前に発言の許可を与えていないのだぞ」
国王の両側に立った金の騎士がそのガマガエルに一言言っている。どちらも金のフルフェイスの鎧を着ているのでどちらが発言したのかはわからないが威圧的なその声にフログスと呼ばれた男は少し眉間に皺をよせたがすぐにつくろう。
「はっ、いや、そのようなどこの馬の骨とも知らぬ輩がこの伝統と貴賓あふれる竜帝国白竜城で暮らすなどと」
「だまれ。陛下が決定されたこと。お前がとやかく言うものではない!」
「しかし…」
「これ以上発言を続けるならば…」
「待てカーロ。言わせてやれ」
止めたのは国王だった。
「しかし陛下」
「かまわぬ。あれをはめているコースケ殿を見てもわからぬのならいいたいだけ言わせてやれ」
「…はっ」
向かって左側の金の騎士が胸に手をあてた。
「フログスよ。お前の意見を聞こうではないか」
「ありがたき幸せ。それでは」
コホンとわざとらしい咳をひとつしてフログスと言われたガマガエルがしゃべり出した。
「まずシオンベール王女様の傷を治したのは誠にその人族なのでしょうかな。誰かが治したのをさも自分が治したと言っているのではと。そして褒美はいらぬと言う。自分は無欲だと、自分は陛下には危害を与えないと。それもこれも陛下たちに好印象を与えこの城に入り込むのが目的ではないかと。このままその人族を城に住まわせばいずれ命の危険があるやもしれませぬ。それに見たところ魔力もそれほど纏っているようには見えませんな。そのような非力の人族は直ちに城外へと捨てるのが最良かと思われますな」
グワッハッハッと大口を開けまさにカエルのような笑い声をたてるフログス伯爵。
「そうでしょうかフログス伯爵?」
と言ったのは最前列で立っていたあの白銀の髪の女性だった。魔法使いなのだろうか、黒いローブをはおっている。肩くらいまでの真っ直ぐな白銀の髪、少し垂れ気味の銀色の大きな目、スーッと通った鼻筋、ほんのり桜色の小さな唇、そして白くて透き通るような肌。
そんな綺麗な女性がくすくすと手の平を口にあてフログス伯爵の方を見ている。
「むむっ、シルフィーヌ隊長。何がそんなにおかしいのだ」
「フログス伯爵様。あの人を見てよくそんなことが言えますわね。あれをしているとは言えびっくりこきましてですわ。そのアホさ加減に笑いすぎてちびりそうになってしまいましたでございますわよ。おほほほほ」
そう言ってさっきより笑い声が大きくなった。少し言葉がおかしいが。
「ぶ、侮辱なさるか!それくらいわかっておるわ。あやつはただの人族。魔力が大きいとはいえ所詮は人族。竜族をはじめ我々には遠く及ばぬわ」
「あらあらまあまあ、困ったちゃんですわね。やっぱりそうだと思いましたけどやっぱり鈍チンさんでしたか。前から脂ぎったお顔には知性も魔力も無いと思っておりましたですけど、えーとえーと、そうそう、確信いたしましてございますわ」
そう言って目元を人差指で拭った。
「あら嫌でございますわ、涙までお出になってしまったですわ。お恥ずかしい」
フログス伯爵は目をヒクヒクさせ顔を真っ赤にして白銀の女性を睨んでいる。
「むむむむっ!それ以上侮辱するならばいくら魔法師隊隊長でも容赦はせぬぞっ!」
「フログス伯爵。陛下の御前である、控えよ」
またさっきの金の騎士がフログス伯爵を一喝した。
「ははっ。申し訳ございませぬ」
フログス伯爵はしかし憎々し気に白銀の女性を睨んでいる。
「やーい、やーい、怒られたぁ!」
と言って白銀の女性は指を刺して喜んでいる。まったくこの人はいくつなんだろうと苦笑する功助。
「シャリーナ・シルフィーヌ隊長も控えよ」
「あっ」と言って口を押える白銀の女性。シャリーナ・シルフィーヌという名のようだ。
「す、すんませんでございますわ」
と一礼した。
コホンとまたフログス伯爵がわざとらしい咳をした。
「とにかくですな。そやつを白竜城に滞在させるのはお止めになった方がよろしいかと進言いたします」
国王は少し口の端を持ち上げるとこう言った。
「そうか。ひとつの意見として聞いておくぞフログス伯爵」
「はっ」
そう言ってフログス伯爵は頭を下げた。そしてシャリーナ・シルフィーヌをちらっと見るとニヤッと笑った。それを見たシャリーナはなんとあっかんべぇをしていた。
「陛下。少し早いですがこれにて失礼いたします」
フログス伯爵はそう言うと数人の付き人を引き連れて謁見の間から退室するために側面のドアの方に歩いていった。しかしその途中で引きずっているマントを自分で踏んでしまい思いっきりこけた。それも顔面からズルッという感じに豪快に。
「キャハハハハーーっ!!」
という女性の笑い声が謁見の間の中に響いた。誰かと首をめぐらすとやはりというかシャリーナだった。それも右手の人差指をしっかり伸ばしフログス伯爵を指差して大笑いをしている。
そしてそこら中から「くくくっ」とか「うぷっ」とかの失笑が。
王座の方を見るとルルサ王妃が俯き大きな扇を顔の前に広げている。その肩はプルプル震えているのを功助は見た。
国王はそれくらいでは動じないとばかりすました顔になっている。が、またも功助は見た、口の端が震え肘かけにかけた腕もプルプル震えているのを。
「ううっ、し、し、失礼…」
フログス伯爵はシャリーナの方を見ると憎々しげに睨んでいる。その手は鼻を押えているが指の間から鼻血が一筋垂れた。
「ぐわっはははは、いーっひひひ、ひゃあっはっはっはっは!!」
シャリーナは涙を流し指を刺し続けていた。
フログス伯爵が退場して間もなく。
「バスティーアよ」
「はっ」
「先ほどのことだが、 コースケ殿のことまかせたぞ」
「はっ」
バスティーアは深く一礼をすると功助を促し謁見の間を出た。
その途中シャリーナが功助に向かってピョンピョン跳ねながらブンブンと胸の前で手を振る。が、なんとローブ越しに胸が上下にゆっさゆっさと揺れている。功助は目を見張ったが冷静を装い軽く頭を下げた。頭を上げてもう一度彼女を見ると今度は両手をブンブン振っていた。今度その胸は上下左右に大きくゆっさゆさと暴れていた。只者じゃないなと功助は思ったのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
【完結】うだつが上がらない底辺冒険者だったオッサンは命を燃やして強くなる
邪代夜叉(ヤシロヤシャ)
ファンタジー
まだ遅くない。
オッサンにだって、未来がある。
底辺から這い上がる冒険譚?!
辺鄙の小さな村に生まれた少年トーマは、幼い頃にゴブリン退治で村に訪れていた冒険者に憧れ、いつか自らも偉大な冒険者となることを誓い、十五歳で村を飛び出した。
しかし現実は厳しかった。
十数年の時は流れてオッサンとなり、その間、大きな成果を残せず“とんまのトーマ”と不名誉なあだ名を陰で囁かれ、やがて採取や配達といった雑用依頼ばかりこなす、うだつの上がらない底辺冒険者生活を続けていた。
そんなある日、荷車の護衛の依頼を受けたトーマは――
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる