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 作業棟は現代日本にある旧校舎のような雰囲気を出しながらもボロいという感じではなくしっかりとした作りになっている。古き良きという雰囲気だが、割り当てられた部屋の中はしっかりとした石作りの施設になっており部屋の四隅には穴のようなものがあり排水も可能なようだ。これならば万が一こぼしたり飛び散ったとしても大事にはならないだろうな。

 置いてある道具としては俺が作ったなんちゃって道具よりもしっかりとしたものが揃っている。煮沸用の鍋と混ぜる用の鍋や蒸留器、すり鉢にすりこぎ棒も鉄のしっかりとしたもの以外に木製のものや石製のもの、など幅広い。やっぱり道具によって品質も変わるのかな…?俺的には鉄や石の方が変な成分とか混ざらなさそうでいいイメージだがなあ。やってみるか。

 まずは普通のポーションを作るのにいつもと同じ手法で作っていく。熱するときに癒し草を入れて混ぜる、それと魔力を混ぜて入れるとできたものが上から順に木製 石製 鉄製

ポーション 魔力がよく混ざって効能が少し高い。(C+ランク)

ポーション ちゃんとしたポーション(Cランク)

ポーション 魔力がよく混ざったいい品質。(Bランク)

 鉄製 木製 石製 で魔力の通りやすさが違うのかな?なら木製と石製なら石製の方がいいとか?そのまま作り続けていると段々と品質が悪くなってきた。道具を鑑定してみると

木材すり棒 薬草等の成分がしみこみ木材の成分が染み出たりして品質に影響があるかもしれない

 木材は耐久性に難ありって感じだな。品質は良くならないが一定で使いやすいのが石製品の道具。つまりは鉄製品の良いところをそれぞれ分けている感じなんだな。それなら、ミスリルで作った道具などはより良くなるのだろうか?こういうのを突き詰め始めると終わりが見えなくなるな。だが、ダンジョンのお宝として俺が作った効能のいいポーションとか置いておけば目玉商品になるかもしれない。やってみるか。

 ミスリルの道具を作るのは後でするとしてやることリストにしておく。今は石製品を使って普通のポーションを量産しておく、魔力ポーションも同様に行っておき、今回初めて手に入れた
ミナモ草 水が多い土地で良く見つかる。効能としては少しの解毒効果(毒)がある。

マルニ草 そこらへんで生えているが雑草と見間違えやすく無視されがちな草。効能として少しの解毒効果(麻痺)がある。

 を使って新しいポーションを作ってみようと思う。普段の作り方と同じようにするために魔法で乾燥させたものをいくつか用意しておく。まずは魔力草を混ぜた方の魔力水を鍋に入れて癒し草を入れて成分を抽出する。このときにほんの少しだけ魔力を込めてよく混ざるようにする。

 その後にいつもとは違いミナモ草とマルニ草を別々にそのまま入れて成分の抽出を試みる。
その工程で粉末状にしたもの、ペースト状にしたものも別で混ぜて経過を観察する。それぞれ色の濃度が変わってきており、ペースト状、そのまま、粉末状のものの順番で濃いものができている。ポーションや魔力ポーションの場合はどちらも透明、もしくは少し色味が付いていただけなのでとても大きな変化で戸惑っている。

 そしてできたものをそれぞれ鍋の上から覗き込み鑑定をしてみると

 解毒ポーション(毒) (B -) 魔力と解毒作用の効能が上手く混ざり合い相乗効果を生み出しているよくできた解毒ポーション

 解毒ポーション(毒) (C) 一般的に使われる解毒ポーション

 解毒ポーション(毒) (D) 成分が薄くなり過ぎており効果が薄れてしまった解毒ポーション

 となった。マルニ草の方も(毒)が(麻痺)になっただけで同じ効果となっている。それと比較で魔力草を混ぜていない方のポーションはランクが1段階ずつ下がっていた。

 「これなら何か他に素材を見つければポーションと魔力ポーションもBまで達成できそうな勢いだな。これもミィスさんに見せて査定してもらわないと、というかそもそも毒系統を使う魔物がここら辺にいるかどうかで需要も変わってくるよな。」

 俺は残ったマルニ草とミナモ草を同じように加工してCランクを作っておいた。高ランクのものを流出させて目をつけられたくないのが一つ、ダンジョンの特産品にする為に希少性をあげるためと言うのがもう一つだ。

 お昼頃の時間になったので一旦作業を終え、綺麗に片付けて元々来た道を戻って倉庫の方へ戻ってみると解体が終わっていたが皮剥やなめしなど細かい作業を重ねるとの事だったので肉をいくらか売り捌く分から回収してギルドのカウンターの方へと向かった。
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