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 この前に爺さんと出会った通りに向かって歩いて行く。いつもここは賑わっていて暖かい雰囲気を感じる。魔道具作り、これもダンジョンで出すべきなのだろうか少し迷っている。そもそも魔法具と魔道具の違いは人の手で作られたかどうかと言っているが魔法具はダンジョンで作られたものだが元は魔族の手で作られたものを真似して商品化になったと勝手に想像してはいるのだがどうなのだろうか。今回聞けるならデトラトゥスに聞いてもいいがな。

 「おう、爺さんきたぜ。」

 爺さんに対しては何故か気楽に話しかけることができてしまう。最初にあったときに素を出してしまったのが原因だろうな。

 「よくきたのう!お主が来るのを待っていたぞ?」

 爺さんは本当に嬉しそうにニヤニヤしながらこちらを見てくる。もう店はいいのかさっさと片付けている。

 「とりあえず契約魔法については当てができたから神殿まで行きたいんだが爺さんは道知ってるか?」

 「そんなもの勿論じゃ街の者なら誰でも知っておるぞい?」

 「よし、なら行こうか。」

 爺さんと話しながら神殿へと向かう。

 「爺さんはどんな魔導具を作りたいとかあるのか?」

 「ふむ、とりあえずじゃが灯りを照らすものや火をつけるもの、水をだすものや、風を送るものじゃな。基本魔法の火 水 風 光じゃ。闇や土は正直単属性で何に使うか思い浮かばぬな。」

 「んー、俺が思いつくのだと土は石に変化させる系とかで道を作ったりとか…?闇は正直思い浮かばないな。」

 「道はなるほどじゃのう!しかし、闇は使いづらいのは本当にわかるじゃろ?」

 「とりあえず中入ろうぜ。」

 一つ目の扉を開いた神殿の中は厳かな雰囲気かと思ったが街の人が気軽に出入りしてきて和やかの雰囲気が広がっている。気軽に修道女のような人に頭を下げて2つ目の扉を開けると想像していた通りの厳かな雰囲気が広がる場所になっていた。左右に様々な神様をモチーフにした像が並べてある。各基本属性や職業毎に冒険者や鍛治士 農業 等結構な数の像がある。そして奥の2つの目立つ場所に闇と光の神の像があるみたいだ。

 無言で歩き出すと爺さんも黙ってついてきてくれる。そして闇の神デトラトゥスの前に行って軽く膝をつき手を握るように合わせる。雰囲気的にこんな感じだろうというものだが間違ってもいないのだろう。爺さんは腰が痛いのかわからないが手を合わせて頭を軽く下げている。

 「おい、デトラトゥスきたぞ。なんかくれ。」

 「わかってるよ。任せて!」

 デトラトゥスの苦笑したような声が爺さんにも聞こえたのだろう驚いたようにキョロキョロしている。

 [闇の神デトラトゥスの元に二者の契約を結ぶ事を見届けよう。我が眷属カズマと光の神ミカエルの眷属ザックの間にお互いが望むように契約を結べるように取り計らう。]

 「ほら、これでカズマの好きなようにザック君と決め事ができるようになった。また新しく誰かと決めたいことがある時はおいでよ。それじゃあね。」

 俺はそのまま膝立状態から居直ると呆然としているザックという名前とはじめて知った爺さんを連れて外に出る。

 「驚いた。お主はあちら側の人間だったのじゃな…」

 「ああ、そうだぞ。さっきのを使うわけだが他言無用で頼む。」

 「勿論じゃ、こんな事を言ったところで誰が信じるのじゃろうかわからぬ。」

 ふと、感覚でわかった。今の合意を元に契約が結ばれたのだな。なるほどなるほど。

 「とりあえずゆっくり話せる場所に変えたい。どこか良いところを知っているか?」

 「ワシの家兼魔道具作成場が近くにある。だからそこで話すのはどうじゃ?」

 「大丈夫だ、それでいこう。」
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