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(10) 自立の1歩④
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アンジェラを送り届けたゴメスは娼婦館に出かけていた。店の主のマダムが大歓迎。いい男の上に大きな商会の会長だ。女の子達が喜ぶし店も儲かる上客である。
「お久しぶり、ゴメス様。あなた様好みの女の子が入ってましてよ。サービスも、たっぷりと。」
「マダム、悪いが友人のアグアニエベに用があるのだ。」
ゴメスは、取り出した財布の中にある何枚かの銀貨を手渡した。マダムは笑顔で案内する。
「いやーん、パパちゃまったら。駄目って言ってんのにー。」
「そんな言い方されると、オジサンはオオカミになっちゃうよー♪」
ゴメスは、ドアを通り抜けた。そして、アグアニエベの襟首を掴むと引き上げる。
「来い、話がある。」
「え、話って。私は、今からやる事が!」
「後でやれ、行くぞ!」
不機嫌なゴメスは手がつけられない。こういう時は従うしかないのだ。比べようの無い魔力の持ち主には、悪魔でも逆らえない。アグアニエベは諦めた。2人の姿は部屋から消え失せる。
そして、アグアニエベはゴメスから、たっぷりと説教されてしまった。天使の仕事をしている悪魔に言いたい放題を出来るのはゴメスだけであった。
「まったく、言ってくれますよねえ。私は、恩人なのですよ。彼に転生の記憶を目覚めさせてあげたのに。あのまま、知らん顔しておけば良かったんです。」
アグアニエベのお城で2人での夕食。ご機嫌の悪い悪魔は、1人で悪口を言い続けている。おかげで、アンジェラはゴメスの事が分かった。
(まあ、ゴメスさんは転生者なのですか。前世は魔法使いだった、凄い!)
「元々の魔力がバカデカイので逆らえませんけど、私に対して尊敬を抱いても良いと思います!」
アグアニエベの愚痴を聞いてるうちにデザートが出てきた。文句も言わずに付き合ってくれたアンジェラにアグアニエベは礼を言う。
「アンジェラさん、ありがとう。聞いて下さったから胸の中がスッキリ。前世の会社の給湯室で女の子達と喋っていたのを思い出します。楽しかったんですよ。」
そうなんですか、「きゅうとうしつ」とは何の場所なのかしら。知りませんが、相槌(あいづち)をします。貴族のマナーです、話しに合わせないと。
「私が付き添ってギルドの依頼のお仕事に参りましょう。」
「え、依頼の?いえ、もう少し後でも(怖いから)」
「大丈夫です、私が責任をもちます。」
「えー、でも。私は、剣士は向いてないのかも。」
それとなく、嫌を匂わせる。でも、ゴメスに注意された悪魔のオジサンはムキになってるみたいで強行します。
『ちゃんと、世話してやれ。可哀想な事するな!』
ゴメスの命令ですから、ちゃんとやります。ちゃんとね。悪魔ですから、魔王もやってるし、偉いんだから偉いんですよ本当にね!
ギルドのお仕事、依頼は又しても「害虫退治」でした。
どうしても、尻込みしてしまうアンジェラ。でも、現場に来てしまった以上はやってるふりをします。
「仕事内容は、イノシシザウルスが畑を荒らすという事でした。誘き寄せますが、準備はできましか?」
「は、はい、準備できてます(やりたくないのに)」
アグアニエベがイノシシザウルスが好きな匂いを空地に落とす。すると、本当にイノシシザウルスの巨体が走って来るのだ。それも、何頭も。
(わっ、何匹も。聞いてませんけど!)
アグアニエベは、イノシシザウルスを魔力で金縛り。動けなくして、アンジェラを呼ぶ。
「アンジェラさん、やって下さい。」
嫌々ながら、剣を振り上げる。だが、金縛りになっていても魔物。もう1つの頭が出現。力を振り絞ってアンジェラの脚に噛みついのだ。
ガブッ、ガブッガブッー!
勿論、防御魔法で無傷です。牙を立てられても服に穴を空ける事もできない。でも、魔物に噛み付かれた事でアンジェラは恐怖が抑えられなくなった。
「嫌ー、止めてええええ!」
パニック状態で剣を必死で振り回す。止まらない、止まりません。それを見ているアグアニエベは呟いた。
「あー、3枚おろしだ。お見事!そのスキルは料理の好きな勇者から地獄で頂いた物ですからね。次は、乱切りですな。そして、みじん切りですか。あ、そうだ。」
魔力でアンジェラの動きを止めると粉々に刻まれる前に魔石を拾いあげた。
「では、次が来ますよ。頑張って下さいね。」
猪突猛進のイノシシザウルスの連れが登場。ドドドーと仲間を殺られた怒りで突進して来る。
(こうなったら、1匹も2匹も同じよ。やれば、いいんでしょ!)
感情の爆発(ヤケクソとも言う)。とにかく、剣を振り回す。バンバンと剣を振り下ろした。でも、ちっとも疲れない。こんなに運動してるのに。私って体力があるのね。
「剣魔法、活動してます。「レベルアップ」しました。」
アンジェラの実力では無くて付与されている魔法スキルが勝手に剣をコントロールしていく。アンジェラは立ってるだけで良いのです。なのに、おだて上手のアグアニエベが褒め称えるのだった。
「アンジェラさん、素晴らしい剣さばきでしたよ。あなたには、才能がある。優秀な剣士です!パチパチー(ゴマスリ)」
「そ、そうかしら?何だか、気持ちいいですわ。やれるかもしれません!」
自信のついたアンジェラ。剣士としての意欲が湧いてきた。いいのか、これで?
ギルド依頼の害虫退治、イノシシザウルス3頭と魔石3個に報酬を頂きました。45万円とは、美味しいお仕事です。
「お久しぶり、ゴメス様。あなた様好みの女の子が入ってましてよ。サービスも、たっぷりと。」
「マダム、悪いが友人のアグアニエベに用があるのだ。」
ゴメスは、取り出した財布の中にある何枚かの銀貨を手渡した。マダムは笑顔で案内する。
「いやーん、パパちゃまったら。駄目って言ってんのにー。」
「そんな言い方されると、オジサンはオオカミになっちゃうよー♪」
ゴメスは、ドアを通り抜けた。そして、アグアニエベの襟首を掴むと引き上げる。
「来い、話がある。」
「え、話って。私は、今からやる事が!」
「後でやれ、行くぞ!」
不機嫌なゴメスは手がつけられない。こういう時は従うしかないのだ。比べようの無い魔力の持ち主には、悪魔でも逆らえない。アグアニエベは諦めた。2人の姿は部屋から消え失せる。
そして、アグアニエベはゴメスから、たっぷりと説教されてしまった。天使の仕事をしている悪魔に言いたい放題を出来るのはゴメスだけであった。
「まったく、言ってくれますよねえ。私は、恩人なのですよ。彼に転生の記憶を目覚めさせてあげたのに。あのまま、知らん顔しておけば良かったんです。」
アグアニエベのお城で2人での夕食。ご機嫌の悪い悪魔は、1人で悪口を言い続けている。おかげで、アンジェラはゴメスの事が分かった。
(まあ、ゴメスさんは転生者なのですか。前世は魔法使いだった、凄い!)
「元々の魔力がバカデカイので逆らえませんけど、私に対して尊敬を抱いても良いと思います!」
アグアニエベの愚痴を聞いてるうちにデザートが出てきた。文句も言わずに付き合ってくれたアンジェラにアグアニエベは礼を言う。
「アンジェラさん、ありがとう。聞いて下さったから胸の中がスッキリ。前世の会社の給湯室で女の子達と喋っていたのを思い出します。楽しかったんですよ。」
そうなんですか、「きゅうとうしつ」とは何の場所なのかしら。知りませんが、相槌(あいづち)をします。貴族のマナーです、話しに合わせないと。
「私が付き添ってギルドの依頼のお仕事に参りましょう。」
「え、依頼の?いえ、もう少し後でも(怖いから)」
「大丈夫です、私が責任をもちます。」
「えー、でも。私は、剣士は向いてないのかも。」
それとなく、嫌を匂わせる。でも、ゴメスに注意された悪魔のオジサンはムキになってるみたいで強行します。
『ちゃんと、世話してやれ。可哀想な事するな!』
ゴメスの命令ですから、ちゃんとやります。ちゃんとね。悪魔ですから、魔王もやってるし、偉いんだから偉いんですよ本当にね!
ギルドのお仕事、依頼は又しても「害虫退治」でした。
どうしても、尻込みしてしまうアンジェラ。でも、現場に来てしまった以上はやってるふりをします。
「仕事内容は、イノシシザウルスが畑を荒らすという事でした。誘き寄せますが、準備はできましか?」
「は、はい、準備できてます(やりたくないのに)」
アグアニエベがイノシシザウルスが好きな匂いを空地に落とす。すると、本当にイノシシザウルスの巨体が走って来るのだ。それも、何頭も。
(わっ、何匹も。聞いてませんけど!)
アグアニエベは、イノシシザウルスを魔力で金縛り。動けなくして、アンジェラを呼ぶ。
「アンジェラさん、やって下さい。」
嫌々ながら、剣を振り上げる。だが、金縛りになっていても魔物。もう1つの頭が出現。力を振り絞ってアンジェラの脚に噛みついのだ。
ガブッ、ガブッガブッー!
勿論、防御魔法で無傷です。牙を立てられても服に穴を空ける事もできない。でも、魔物に噛み付かれた事でアンジェラは恐怖が抑えられなくなった。
「嫌ー、止めてええええ!」
パニック状態で剣を必死で振り回す。止まらない、止まりません。それを見ているアグアニエベは呟いた。
「あー、3枚おろしだ。お見事!そのスキルは料理の好きな勇者から地獄で頂いた物ですからね。次は、乱切りですな。そして、みじん切りですか。あ、そうだ。」
魔力でアンジェラの動きを止めると粉々に刻まれる前に魔石を拾いあげた。
「では、次が来ますよ。頑張って下さいね。」
猪突猛進のイノシシザウルスの連れが登場。ドドドーと仲間を殺られた怒りで突進して来る。
(こうなったら、1匹も2匹も同じよ。やれば、いいんでしょ!)
感情の爆発(ヤケクソとも言う)。とにかく、剣を振り回す。バンバンと剣を振り下ろした。でも、ちっとも疲れない。こんなに運動してるのに。私って体力があるのね。
「剣魔法、活動してます。「レベルアップ」しました。」
アンジェラの実力では無くて付与されている魔法スキルが勝手に剣をコントロールしていく。アンジェラは立ってるだけで良いのです。なのに、おだて上手のアグアニエベが褒め称えるのだった。
「アンジェラさん、素晴らしい剣さばきでしたよ。あなたには、才能がある。優秀な剣士です!パチパチー(ゴマスリ)」
「そ、そうかしら?何だか、気持ちいいですわ。やれるかもしれません!」
自信のついたアンジェラ。剣士としての意欲が湧いてきた。いいのか、これで?
ギルド依頼の害虫退治、イノシシザウルス3頭と魔石3個に報酬を頂きました。45万円とは、美味しいお仕事です。
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