(完)恋なんてのは忌まわしいだけだが必要だよ

川なみな

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「 1ー24 」お久しぶり

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ユサユサと揺さぶられて起こされる。目を覚ましたら自分の寝ているベッドの側に宿主が居た。驚く。


「わあーっ!」

「御前様?どうされましたか、私です。」

「あ、ああ(あんただから、ビックリしたんだ)」

「床香の準備が出来ましたので参りましょう。」

「床香って、週末だろ?」

「新しい床香が就任しましたので、お引き合わせです。」


新しい床香とは、留目馨の代わりか。宿主が殺して入れ換えた相手に会わせる気だ。

でも、どうして医務室に戻ってるのか。ゴミ廃棄の穴に居たはずなのに。カケオリルが宿主に怪我をさせられてたたのに。カケオリルが変な言葉を言ったのは、覚えている。


『し、か、ん!』


思い出した瞬間、御前様の身体の芯に何かが走る。ズッキュンーと。あれは、何だ?血が波立つ感覚に戸惑いながらも、宿主と廊下を歩く。

これは、儀式だから。津海小路家の当主になる為には、淫魔に欲望を吸いとられなくてはならない。長きに腸って代々の当主が繰り返してきた習いなのだ。





津海小路の当主となるのには、床香が不可欠だ。その昔には、主の寝所には床香が必ず付き添う事が定められていたという。

床香の役目は、主の睦み事が支障なく行われるように寝所を整える事にある。

それが何ゆえに定められたかというと、大きな理由が有った為に必要にかられたとも言えた。





初老の婦人が、新しい床香として待っている。今宵は、香玉を入れた床香が仕事を出来るのかを試す場なのだ。緊張した面持ちで、御前様の胸板に手を触れる。


「う、うぐっー。」


御前様の様相が変わり、目が吊り上がり口は耳まで裂けた。呼び出された淫魔法が陰から出て来る。喜んで少年の身体に飛びついた。

宿主は、安堵した表情になる。床香の引き継ぎは上手くいったようだ。これから、この床香が使える間は仕事をするだろう。


(次男の方の時には、床香が欲を出した。でも、この相手なら大丈夫だろう。)


津海小路家の次男と床香が結婚しようと企んだのだ。後継者になるはずだった長男が、外国の官僚の夫人達と関係を結んだ事が発覚した後だけに津海小路氏は怒り狂った。

ガチャッと音がして、開かないはずのドアが開く。宿主と床香は驚いた。美少女が立っていたからだ。少女は、笑顔で告げた。


「ごめんなさい、新しい床香さんのお仕事だったのね。お邪魔しちゃったかしら。私、首になった次男さんの床香でーす。お久しぶり!」


自己紹介した通り、次男と結婚するはずだった元床香だったのだ。編入者の百合谷 織姫であった。
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