(完)恋なんてのは忌まわしいだけだが必要だよ

川なみな

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「 1ー23 」初試し

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少年の胸にポッカリと空いた穴からは、血が流れ出ている。それは、止まりそうに無かった。鼠が前肢(腕)を上げて呪文を唱え始める。魔法獣なのか。


「頼む、生きてくれ。死なないでくれ、カケオリル!」


彼には医務室で宿主が馨を襲う光景は信じられない物だった。宿主は、御前様が起きてるとは知らなかったらしい。人狼になって追いかけた事も。

用が無くなったからって殺すなんて酷すぎる。まさか、父親の指示じゃないよな。まさか!


「うーむ、足りないようですな。申し訳ありませんが、頂けませんか?」


鼠が頼んできた。でも、頂くとは何を?


「いえいえ、ご心配なく。簡単な事でございます。生気を補充するだけですので。薫さん、技を初試ししてくだされ。ほい?」


技を?何をするのだろうと見ていたら、馨が胸に穴を空けたまま目を開く。そして、口を動かした。小さな声でソッと。


「し、か、ん!」


鼠がクルリと回った。そして、見ている人狼を指差したのだ。


「今回は特殊な状況ですので、私が補助いたします。「しかん」を実行!」


その「しかん」とは、何のこと?頭の中が疑問でイッパイになる。だが、次には吸いとられてく感覚に身体の力が抜けてヘタリこんだ。どうしたんだろ、俺は?


「あ、ピンクだー。」


薄桃色のパールピンクの靄(もや)が自分を包み込む。カッと身体が熱くなり速くなる動悸。喉が渇き飢えが湧いてくる。なんだ、あのメロディは?


『♪イッチャイな、イッチャイな。イキタクなったら、イッチャイなー。』


御前様は、馨の顔を見つめて吠えた。身体を走る衝動、こらえきれない。君が、欲しい!

薄桃色の靄は、御前様から馨へ飛び移った。その瞬間、馨が震えて声を洩らす。


「あ、ふうん。」


御前様の目の前で炸裂する閃光。その声と悩ましい表情だけで、呆気なく御前様は失神してしまったのだった。

(説明しよう、良い子の皆。「しかん」とは、「視(る」と「犯」の言葉を合わせたもの。視るだけで相手を快感の頂点へと達しさせてしまう術なのでした。)

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