(完)恋なんてのは忌まわしいだけだが必要だよ

川なみな

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「 2ー10 」調いました

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宿主は携帯を取り出すと、何処かへ電話をした。すると、電話を切って直ぐに声が聞こえ出したのだ。


「呼ばれて参りますぞ、ジャジャジャーン。」


天井から飛び降りた小さな影。それは、白い袴姿の鼠であった。


「如花様の家臣である鼠下駄が参上つかまつりました!」


薫は、何しに来たんだという顔で見つめる。学生生活をして会う事も少なくなった相手だった。鼠下駄はチョコチョコと走り回り、薫の側に来ると呼び掛けた。


「準備が整いましてございます。どうぞ、お使いくださいませ!」


一瞬でトランス状態に入った薫。すーと息を吸った。この場の気の乱れを鼠下駄が静めてくれたようだ。これなら、薫にも使えるかもしれない。

1語1句に力を込めなくてはならなかった。


「それでは、始めます!」


ビリビリと空気が揺れる。喧嘩していた津海小路氏と御前様は、身体に感じる波動にハッとした。何だ、これは?

もしかして、あれなのか?ならば、喧嘩なんかしてられない。先を争うようにして走って来る。そして、薫の前にお座り。


「ワンワン(待っててぞ)」「クゥンクゥン(早く早く)」


太い尻尾をブンブンと振る。準備OK、いつでもカモーン。薫は、微笑む。その悩ましい笑いで見つめられたら、たまりません。2匹の尻尾がピーンと直立!


「うっふうん。し、か、ん(視犯)!」


声にしないで唇を造る。空気を伝って呪文は2匹を捕らえた。逃げられない、逃げる気も無いが。臼桃色(うすももいろ)の靄(もや)が包み込むと異次元へトリップ。

飛んでく、飛んでく、回って月まで爆走ーー!

靄が2匹から薫に移って吸い込まれると薫の身体がキラキラと輝くのだ。肌が艶やかに、鼻がツンと尖り、目鼻立ちが移動。別人のような顔付きに変身。


「お疲れ様でございました、薫上人(かおるしょうにん)。狼男の2匹、昇天いたしましたれば。おめでとうございまする!」


鼠下駄の口上で一件落着となりました。めでてーな、めでてーな。



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