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(15) 希な才能

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朝から、シモンは機嫌上々。「勝手なお出かけ」を姉から叱られて泣いたのも忘れているようだ。


「じゃ、僕の家来さん。学校に行くよ。」


と、ニコニコして村の小学校へ出発。それを見送って、エレンは心配した。

  
(見えない物に話かけて、お友達が変に思わないといいけど。)


見えないお友達は、妖精さんです。パトリシアが妖精の王に交渉して、見張りに妖精を貸して頂きました。

シモンには、家来という事にして。10歳でボディーガードだから、喜びました。


(まさか、自分の弟が魔法の天才だなんて。突然変異だわ!)


パトリシアがシモンを連れ帰って教えてくれたが、今でも信じられなかった。








  

今日は、エレンの故郷のギルドのダンジョンに初参加です。チーム「茹で玉子」のデビュー。


「おいおい、綺麗なお姉ちゃんばっかりだな。ダンジョンは、お遊びじゃないんだぞー。」


ギルドに来ていた冒険者は、荒くれ男達ばかひ。危険な場所が多いからだ。大笑いされる中で「茹で玉子」は、エントリー。


ボコボコ、カーン!


あっという間に終了。ギルド始まって依頼の最短記録だった。エリザベスは、物足りな沿う。ギルドへ戻ると提案する。


「何なの?消化不良だわ!。もう一度やりましょうよ。」


他のメンバーも同じ気持ちだ。引っ越しの為に久しぶりのダンジョン。再チャレンジして、またまた、最短記録でした。楽勝!

その話はスペンサー伯爵にも届いたらしく、翌日に訪問したエレンは褒められる。   



「ギルドでは、噂だそうですよ。美女チームだと。活躍したそうですね。」

「ありがとうございます。私は守護を使うだけなので、他のメンバーが強いんです。」

「この前の貴族の令嬢と子息と、あなたですか。」

「いいえ、もう1人います。」



エリザベスとエドワードは、貴族として伯爵に分類されている。
パトリシアに平民としての暮らしを指導されていたのに。無理でしたか。

伯爵家の書斎の机の上に広げられた地図に、エレンはパトリシアに渡された地図を照らし合わせる。伯爵は驚いたようだ。 
 

 
「それは?私は地図を渡したつもりは無いのだが。」

「ゴメスさんが、ここへ来た時にメモされたようです。」

「彼が?そんなに長い時間を過ごしていないはずなのに。凄腕だな!」



驚くのも無理は無い。それは、伯爵の地図を模写したように完璧な物だったからだ。2人は地図を持って城壁の外へ出る。

ゴメスのチェックした場所で足を止めては、エレンは祈りを捧げた。ゴメスが守護の魔法をエレンに依頼したのだ。


「そんなに簡単な呪術で、守れるものなのか。私には、疑問だな。」


一生懸命にやっているのに、そんな言い方は無い。エレンは、ムッとした。それから、伯爵には必要な事だけしか話さない。

遠くから分からないように見ていたパトリシアは、気落ちする。


「いいカップルになれると思ったのだが、上手くいかないものだ。あの伯爵は、女性の扱いを知らない!」


文句をつけても仕方ない。縁が無かったと諦めましょう。
辺境伯爵と葡萄園の女主人なら、良いカップルになれると考えたのだか。



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