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(17) 嫌われたい相手

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急に意欲の沸いた人。尻込みしていたのに、ギルドに自ら参加のエレン。参加するリーダーがエリザベスのチームの名前は「茹で玉子」です。ガブリエルは、心配した。



「どうしたの、エレン。無理しなくても、いいのよ。戦いは、嫌いなんでしょ?」

「いいの、やる事にしたの。シモンが大人になるまで頑張らないと!」



誰にも言えないけど、弟のシモンは魔法使いの才能があるんです。最強の魔法使いになるかもしれないそうなんです。

ああ、声を大にして叫びたい。


(あの方が、言って下さったんですもの。間違いないわ。可愛いいシモンが魔法の天才だなんて、素敵ーー。)


エレンの頭の中では、成長したシモンが魔法使いとして人々に崇拝されている姿が浮かぶ。

エリザベスは、ガブリエルに耳打ちした。


「何なの?エントリーを、やりたいですって。させてあげましょう。1人で、お花畑に居るみたいだもの。」


時たま、物思いに浸っているのをエリザベスもガブリエルま気がついていた。人には言えない悩みがあるらしい。好きな相手がいるのかもしれない。

エドワードはエレンの様子には無関心。興味が有るのは、戦う事だけだ。戦闘が大好き男子。


「さあ、モンスターが待ってる。行こうよ、早く早くー。」


先頭を歩くエドワードに、娘達は小走りで付いていく。ふいに、エドワードは立ち止まった。ギルドの受付の前に何かを見つけたようだ。


「スペンサー伯爵様が、居るよ。」


伯爵は、チーム「茹で玉子」の面々を笑顔で迎えた。愛想良すぎる、何が目的だろう。今日は、戦闘用の甲冑を付けていた。伯爵も、ダンジョンに入るのかと思ったら。


「こんにちは、皆さん。予約にチーム「茹で玉子」を見て待っていました。ダンジョンにお付き合いさせて下さい。」


何と、一緒に入らせてくれと言うのだ。兵士を抱えているから自分のチームで入れるのに。わざわざ、素人チームに入れてくれとは不可解。

だけど、仕方ない。ギルドの代表でもある伯爵の申し出を断る事は出来ない。共に戦う事になった。

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