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(30) 誘われました
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アグアニエベは、1人で捜索をしていた。そして、エドワードを見つけたのだ。急いで、パトリシアに知らせに行く。
明け方に近い時間にパトリシアとチーム「茹で玉子』は救出に向かった。その時刻なら人目につかないからだ。
目的地が見えてくると、エリザベスが何かに気がついて声を上げる。
「何なの?あれは、無いでしょう。酷いわ、許さないから!」
エリザベスは、そこで見た様に怒っていた。エドワードが高層ビルの頂上の避雷針に引っ掛けられていたからだ。
直ぐに助け出そうとするのをパトリシアが止める。
「待つんだ、魔女たちが隠れているぞ!」
その通りに、あちこちで魔女が見ている。パトリシアと戦って異世界へ飛ばされた時に分割した魔女の身体。
力は弱くなっても、互いに力を合わせて攻撃してくる。ウジャウジャと湧いて来た魔女達。
「お返し、私の集めた魔力を。あれは、私のだ!」
そう叫んで一斉に飛びかかって来るのた。エリザベスは、剣をふるいながら呪文を唱える。
「消えなさい、クソオヤジ!」
剣は魔力を持ち、魔女を切り捨てる。魔女の身体から飛び出す集めた魔法使いの魔力。ボールのように飛んで行くのだ。
パトリシアとエレンは、それを懸命に拾うが間に合わない。幾つかは取りこぼしたけど、仕方なかった。
「お前たち、許さない。いつか、復讐してやる!」
捨て台詞を吐いて数人の魔女たちが逃げ出して行く。パトリシアは空へ飛び上がり、避雷針に掛けられているエドワードを救出した。
深い眠りに浸かされていたエドワードは、魔法を解かれると眠り姫のように目覚める。自分を囲んでいる仲間に不思議そうな顔をした。
「皆、大丈夫かい?怪我してたのに。」
目の前でエリザベスが負傷し、ガブリエルが腕を切られるのを見ていたからだ。心配そうに言うエドワードに、エリザベスが抱き締めた。
「何なの?大丈夫て聞きたいのは、私たちよ!」
パトリシアたちは、ホッとする。これで、チーム「茹で玉子」のメンバーが揃った。1人も欠ける事なく。
目を開けた芙蓉は、壁を動いて行く1畳ほどの大きさのカエルの線書きの絵を布団の中から見ていた。
それは、セキュリティとしてパトリシアが芙蓉の部屋に設置した警備員だ。
(そういえば、こういうのが好きだったな。子供の頃は。)
夢見がちな子供で、ほっとくと居なくなる。母親や姉を心配させていた。今も心配させているけど。
起き上がった芙蓉は、カエルに手を伸ばす。触れてみたくなったのだ。
パクンーー。
何と、喰われてしまった。真っ暗な闇の中に座っていると、ポンと動かされて床を転がされる。
「大丈夫か、芙蓉!」
パトリシアに呼び捨てにされた。ビックリして、パトリシアを見る。怖い顔で見返された。
「あなた、病気なのか?それも、死の病。そうでなければ、生きてる人間をカエルは食べない。」
芙蓉は、笑った。こんな風にバレルとは考えて無かったので。誰かに知られてホッとする。
(ああ、知って欲しかったんだ。自分が、死ぬんだって。)
パトリシアが、芙蓉がヘラヘラ笑ってるのを見て言った。
「私たちは、道が見つかったので帰れるようになりました。あなたも来ますか?」
それは、驚く提案で芙蓉は問い返す。
「僕も、ですか?」
「こちらへ来た時に、仲間の身体は負傷していたのに消えていました。あなたも、同様の事が起きるかもしれない。信じてみませんか。」
「はい、信じたいです!」
「でも、こちらへは戻れませんよ。病気が復活するかもしれない。あちらの世界なら、私の魔力で保護できますけど。」
この世界はパトリシアの魔力が、何処まで維持できるのか未知数なのだ。芙蓉は、ためらいもせずに答えた。
「皆の知らない処で終わるつもりだったんだ。同じですよ。お世話になります。」
そして、パトリシアたちの居なくなった日に芙蓉の姿も消えたのだ。
明け方に近い時間にパトリシアとチーム「茹で玉子』は救出に向かった。その時刻なら人目につかないからだ。
目的地が見えてくると、エリザベスが何かに気がついて声を上げる。
「何なの?あれは、無いでしょう。酷いわ、許さないから!」
エリザベスは、そこで見た様に怒っていた。エドワードが高層ビルの頂上の避雷針に引っ掛けられていたからだ。
直ぐに助け出そうとするのをパトリシアが止める。
「待つんだ、魔女たちが隠れているぞ!」
その通りに、あちこちで魔女が見ている。パトリシアと戦って異世界へ飛ばされた時に分割した魔女の身体。
力は弱くなっても、互いに力を合わせて攻撃してくる。ウジャウジャと湧いて来た魔女達。
「お返し、私の集めた魔力を。あれは、私のだ!」
そう叫んで一斉に飛びかかって来るのた。エリザベスは、剣をふるいながら呪文を唱える。
「消えなさい、クソオヤジ!」
剣は魔力を持ち、魔女を切り捨てる。魔女の身体から飛び出す集めた魔法使いの魔力。ボールのように飛んで行くのだ。
パトリシアとエレンは、それを懸命に拾うが間に合わない。幾つかは取りこぼしたけど、仕方なかった。
「お前たち、許さない。いつか、復讐してやる!」
捨て台詞を吐いて数人の魔女たちが逃げ出して行く。パトリシアは空へ飛び上がり、避雷針に掛けられているエドワードを救出した。
深い眠りに浸かされていたエドワードは、魔法を解かれると眠り姫のように目覚める。自分を囲んでいる仲間に不思議そうな顔をした。
「皆、大丈夫かい?怪我してたのに。」
目の前でエリザベスが負傷し、ガブリエルが腕を切られるのを見ていたからだ。心配そうに言うエドワードに、エリザベスが抱き締めた。
「何なの?大丈夫て聞きたいのは、私たちよ!」
パトリシアたちは、ホッとする。これで、チーム「茹で玉子」のメンバーが揃った。1人も欠ける事なく。
目を開けた芙蓉は、壁を動いて行く1畳ほどの大きさのカエルの線書きの絵を布団の中から見ていた。
それは、セキュリティとしてパトリシアが芙蓉の部屋に設置した警備員だ。
(そういえば、こういうのが好きだったな。子供の頃は。)
夢見がちな子供で、ほっとくと居なくなる。母親や姉を心配させていた。今も心配させているけど。
起き上がった芙蓉は、カエルに手を伸ばす。触れてみたくなったのだ。
パクンーー。
何と、喰われてしまった。真っ暗な闇の中に座っていると、ポンと動かされて床を転がされる。
「大丈夫か、芙蓉!」
パトリシアに呼び捨てにされた。ビックリして、パトリシアを見る。怖い顔で見返された。
「あなた、病気なのか?それも、死の病。そうでなければ、生きてる人間をカエルは食べない。」
芙蓉は、笑った。こんな風にバレルとは考えて無かったので。誰かに知られてホッとする。
(ああ、知って欲しかったんだ。自分が、死ぬんだって。)
パトリシアが、芙蓉がヘラヘラ笑ってるのを見て言った。
「私たちは、道が見つかったので帰れるようになりました。あなたも来ますか?」
それは、驚く提案で芙蓉は問い返す。
「僕も、ですか?」
「こちらへ来た時に、仲間の身体は負傷していたのに消えていました。あなたも、同様の事が起きるかもしれない。信じてみませんか。」
「はい、信じたいです!」
「でも、こちらへは戻れませんよ。病気が復活するかもしれない。あちらの世界なら、私の魔力で保護できますけど。」
この世界はパトリシアの魔力が、何処まで維持できるのか未知数なのだ。芙蓉は、ためらいもせずに答えた。
「皆の知らない処で終わるつもりだったんだ。同じですよ。お世話になります。」
そして、パトリシアたちの居なくなった日に芙蓉の姿も消えたのだ。
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