異世界と剣と魔法とダルマな彼女

ユタポンヌ

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異世界とオーク顔の少年

第十五話 マリアとギルド

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  ウイスキーをイッキ飲みしたのがいけなかった。
  頭に鈍い痛みがある。
  その痛みを何とか無視しつつマリアの顔を洗ってあげて、歯を磨いてあげて、服を着せてあげるというムラムラするイベントをこなして、冒険者ギルドへと移動した。
  
   今日は狩りには出ないので、僕は帯刀はしてるけど、鎧は身に付けない感じだ。
  いつもは鎧の上にマリアって感じだから全然マリアの体温なんて全然感じないんだけど、今日は違う。
  鎧を着ていないため、背中にはマリアの体温と大きな胸の感触があった。
  意識を背中に持っていくと瞬く間にオッキしそうになるので、心の中で、『煩悩退散!』と強く祈りながら歩いて。
  道の途中にある屋台で、朝食がてら買い食いをする。
  串を買ってマリアの顔の前に出すと、マリアが「頂きます!」って言って食べて。

  「どう?美味しい?」

  と僕が聞くと、

  「スゴい美味しいです!」

  と言ったりする。なんて事の無いやり取りなんだけど、マリアは今までずっと喋ることが出来なくって、会話が一方通行な事が多かったから、嬉しくてついつい頬が緩んでしまう。

  そして僕はギルドに付くと、煩悩の退散に失敗している僕はチ◯ポジを直しながら扉を開いた。

  「やあ。マリア、やっと話が出来るみたいだね?」

  「はい!」 
 
  俺の存在を無視してカーンティさんが言って、マリアが元気に返事をした。
  マリアより僕の顔の方が、絶対先にカーンティさんの目に入ったはずなんだけど。

  でも、僕としても嬉しいので思わず笑ってしまう。

  そして腰のポーチに手を入れる。
  このポーチはラブホテルの中のクローゼットに繋がっていて、クローゼットの中に入れておいたコラコーラを取り出す事が出来る。
  このポーチは、僕のユニークスキル『ラブホテル』を発動させて入室出来る部屋のクローゼットと繋がっていた。
  『四次元ポケッ◯』と呼びたくなるこのありがたい効果は、『ラブホテル』を100回使うことで使えるようになっていた。
  
  ちなみに、スキル『ラブホテル』を200回使うと、このクローゼットの拡張が出来るらしい。

  カーンティさんの目の前にポーチから取り出したコラコーラを置く。

  「ふふっ、これこれ!」

  カーンティさんは嬉しそうに受付の机の下にコラコーラをしまった。

  「よし、じゃあ調べるか」

  そう言って立ち上がるカーンティさんは僕達をオーブのある部屋に案内した。   
  今日は義手と義足を作ってくれる人の所へ行く予定で。じゃあこれから何をするのかというと、マリアの適正調べだ。
  義手と義足を作る上で大事なのがマリアの魔力とMPだ。
  これが低ければマリアは義手と義足を長時間使う事が出来ない。
  まぁ、レベルを上げて行けば解決する問題ではあったのだけど、一応確認しようかって話に昨日なったんだ。魔力とMP次第ではかなり上げないといけないからね。
  で、そのマリアの魔力とMPはマリアが確認する事も出来るし、マリアは僕の奴隷なので僕が確認する事も出来た。
  僕のレベルは現在13、んで、マリアは8だった。
  これは、ゲームで良くある経験値の分配みたいなヤツで、マリアは魔物を倒した事は無かったがレベルが上がっていた。
  マリアはそれを知って、『ご主人様の得るべき物を奪うなんて、、、』と、申し訳なさそうにしていたがそんな事はどうでもいい。
  問題は魔力とMPだった。
  俺よりレベルは5つも低いのに、僕の倍以上の魔力とMPを持っていた。
  これに驚いたカーンティさんは今日、ギルドで適正を調べる事を進めてきた。

  マリアを背中から下ろして机の上に座らせる。
  マリアは腕を伸ばしてオーブを挟んだ。

  透明だったオーブが一瞬にして真っ赤に染まる!

  スッゲーな。
  なんかオーブの中で蠢いてるし。

  「、、、これは。驚いたな、、、。」

  カーンティさんが絶句してる。

  「そんなに凄いんですかぁ?」

  マリアがボケッとした顔で言う。

  「あぁ、こんなのは初めて見た、、、」

  「え?じゃあ僕の神聖魔法の適正より?」

  「あぁ、全然凄いな」

  カーンティさんがはっきり言った。
  ちょっと凹む。

  「火の神殿には絶対に行けよ?」

  カーンティさんが脅すように言うが、

  「はぁ」

  とマリア。
  どうでも良さそう、今の興味は義手と義足だよね。
  僕としてもはとりあえず義手と義足を優先したい。

  「じゃあ、そのうちって事で、そのドワーフさんの所へ行きましょうか?」

  カーンティさんは、『チッ』と小さく舌打ちをしたが、義手と義足を作ってくれるドワーフさんの所へ案内してくれる様で部屋の外に出た。
  僕も慌ててマリアを担いで部屋を出る、するとそこには丁度ギルドに入ってきた冒険者がいて僕達を見ると、

  「え?!『死体担ぎ』か?」

  と言った。
  フードを取っているマリアを見て慌てているようだ。
  まぁな。マリアは美人さんだからな、前の姿からは想像が付かないだろう。
  僕は無視してカーンティさんの後に付いていこうとするが、背中のマリアが、

  「テメェ!覚えてろよ!!いつかぶっ殺す!!」

  と言った!!
  えっ!!キャラ違くない?!!
  慌ててマリアを見るが、明らかにその冒険者を睨んでる!!  
  しかも、怖!
  
  「私はどうでもいいがよ!!でも、ご主人様を嘲った罪は重いぜ!テメェら全員覚悟しておけよ!!ゼッテー殺してやっからな!」

  罵るマリアを引っ張る様にして冒険者ギルドから離れた。
  追い付いてくるカーンティさんも唖然としている、、、。今までは喋れなかったから、、、。
  ストレス、、、溜まっていたのね。

  一気に喋って息を吐き出したマリアはその冒険者達から離れると、

  「あぁあん、ご主人様!私全然罵り足りないのにぃ!」

  と言った。
  ダメです。
  どうやらマリアは二重人格者だったみたいだ。

  ・
  
  ドワーフが居るという建物は工業地帯の一角にあった。
  
  「おい!入るぞ!!」

  木製のドアを叩きながら大声でカーンティさんが叫んで扉を引く。
   建物の中は少し寒くひんやりとしていた。

  「なんだ!」

  そう言って出てきた男は、ザ・ドワーフって感じの雰囲気を持っていた。
  ずんぐりむっくりで肌が浅黒く、髭がめっちゃ伸びてる。
  マリアが小さい声で

  「なかなか良い男ですね。まぁ、ご主人様には遠く及びませんが、、、」

  なんて言っている。
  やっぱり美醜の価値観が逆転してる様だ。

  「義手と義足を見繕って欲しいんですけど」

  僕がそう切り出した。
  ドワーフさんの目が僕と後ろのマリアに注がれる。
   
  「ほう。高いぞ?それに後ろのお嬢ちゃん用かい?」

  「そうです」

  僕が答え、マリアは僕の背中で頷いている。
 
 「欠損は生まれつきかい?」

 「そうです」

  再び僕が答え、マリアも頷く。

 「生まれつき手足が無かったとすると、結構過酷だぜ?なんせ使ったことの無い物を使おうってんだからよ」

  なるほどな、手足を、指を使った経験が無い場合は確かに義手や義足を使うのは大変かもしれない。
  もし手が有った人が義手を使うなら、動かした経験も有るし。どうしたら動くか分かるし、早く慣れるんだろう。
  でも、欠損が生まれつきの場合は動かした事が無いからどうしたら動くのか分からないのかもしれない。

  「でも、頑張ります!」

  背中のマリアが元気良く答えた。
  ドワーフさんは『ニカッ』って笑うと建物の奥に案内してくれた。

  そこに広がる光景は僕の中二病を悪化させた。

  壁には義手や義足が所狭しと飾られていた。
  先が剣になってる義手、豹の足のような形の義足。
  作りかけの物から、複雑な機構をみせている物。
  
  「すっ!スゲー!」

  思わず口からこぼれた。
  これらが本当に動かせるのか?
  
  「どれもちゃんと動くぜ!」

  ドワーフさんはドヤ顔で僕を見る。
  僕は思わず僕の腕の四倍ほどの大きさの義手に手を伸ばした。
  黒い金属で出来ている様だ。怪しく光っていて、触るとツヤツヤしている。

  「そいつはすげぇぞ?ベヒモスの角を使ってる。まず壊される心配はねぇし、そいつで敵をぶん殴りゃあほぼ一撃だぜ?!」

  おぉ!ベヒモス!
  ファンタジーの花形!!
  
  別の青色した義手に手を伸ばす。
  これはスッキリとしたデザインで、手触りはザラザラしている。

  「そいつは、蒼竜の鱗でつくってある!火への耐性が半端無いぜ!!」

  竜?!いんの?!やっぱいんの?異世界さんにはドラゴンさんがいらっしゃるの!!

  「す!す!すげー!!」 

  色んな意味でテンションマックスになってると、

  「もっと良いのがあるぜ!?兄ちゃん!」

  そう言ってドワーフさんが指差した先にあるのは!!
  なんと!先っぽがドリルになっている義手があった!!

  「スゲー!カックイイ!!怪しく光る金属!武骨な作り!そして!何よりこのドリル!!」

  「だろー!さすが同郷だぜ!この良さが分かるとはよぉ!!」

  ん?
  同郷?

  なんて思ってると小さな女の子のが部屋に入ってきて、

  「そんなもんをその女の子に着けさせる訳じゃあ無いよねぇ」

  そう言った。
  女の子は恰幅の良い女の子って感じで、

  「全く!金にに成らない様な物ばっか作って!それにアンタ!!」

  その子は僕を指差す、
  僕?

  「そんな物、その子に着けさせてどうすんのさ!!こんなデカイ物!MP効率だってスッゴい悪いんだからね!!こんな物着けたらあっという間にミイラになっちまうよ!!」

  チラリとドワーフさんを見ると、視線を少し反らして、

  「おっおぅ。まぁな。そりゃあ、改良の余地はあるがな」

  改良しないとダメらしい。
  まぁ、僕としてもマリアにこれを着けさせるつもりは無い。
  どちらかというと自分の腕に何とかして付けたいと考えている所だ。   
  腕を切り落とすのは怖いけど、自前の『エクストラヒール』で治せるし。

  「この子には、ウッドパペットの義手と義足で十分だよ!」

  「それって安いですか?」

  「感応石が結局高いがね、でも感応石は使い回せる」

  女の子がドヤ顔で言った。
  背中のマリアを見ると頷いているので、

  「じゃあそれで!」

  購入する事にした。
  買うと言っても、もちろん『さあどうぞ』とはならない。体に合わせなきゃいけないからね。
  それから注意事項の説明を受ける。
  金額はリハビリ含めて金貨で50枚。
  ちょっと高いけど、マリアのリハビリも一ヶ月以上掛かるっていうし、それぐらいには金貨50貯まっているだろうから丁度良さそう。
  でも、ドワーフはお酒が好きだって言うし、今度『ラブホテル』の有料冷蔵庫に入ってるウイスキー持っていってみようかな?まけてくれるかも。

  あと、ウッドパペットの義手と義足がオススメな理由が、力は弱いが、力加減を間違えてコップを割ったりというミスが無いのだそうで、初心者向けだと言っていた。
  後の説明や義手や義足を作るにあたって、マリアの体を図ったりそこらへんには僕は不要そうなのでカーンティさんと一緒に建物を出る事にした。
  僕はこの時間を利用して外貨を稼がなければならない。
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