異世界と剣と魔法とダルマな彼女

ユタポンヌ

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異世界とオーク顔の少年

第 二十五話 ???

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  「君はなんて酷い人間なんだ!」

  うっざ。
  回りから魔物を一掃して馬車の近くに来ると空城君が、空城節を炸裂させてきた。

  「その強さがあればクラスメイトを助けられたんじゃ無いのか?!」

  8人のクラスメイトが命を落としていた。

  「スキルを空振りして尻餅を付いてた男が!何を偉そうに!」
  
  「まぁまぁ、マリア」

  僕の背中から空城君にくってかかろうとするマリアをいさめる。別に良いんだけど、背中で暴れられるとちょっと、
 
 「それに!死んでしまったクラスメイトを見て君はなんともおもわないのか?!」

  「んー。ほら、オークやゴブリンを殺しすぎたせいかな?あんまりなんにも」

  「なんて事を!!君はそれでも人間か!!」

  「うん。それに、皆には虐められてたし、別に」

  「そうか!皆に虐められていた事の仕返しに皆を助けなかった!そういう事か!!」

  「違うけどさ、そうだとしてそれが何なの?」

  「なんなの?!なんなの?だと!!」

  空城君がそう言って僕の胸ぐらを掴むが、
  『ペシ』
  っと、叩くと骨が折れたみたいで腕が『ぷらり』とぶら下がって、
   
  「んぐ!!」

  っと小さく悲鳴を上げて痛そうに顔を歪めた。

  「例えば僕が皆の虐めに耐えかねて自殺したらそれは皆の責任なんじゃなかったの?どっちもどっちでしょ?そもそも、僕は自殺しなかったから今こうして生きてるけど、もし死んでこの世界に来てなかったら空城君も死んでたかもね?それに、僕が虐められていた時、空城君は、『虐められる方にも原因がある』って言ってたけど。まさか、またこれも僕の責任だって言うの?僕を苛めてたせいで、僕が彼等を助けなかった。これは自業自得とは言わないの?」

  「何を!!」

  と空城君が喋ろうとした瞬間、
  レオンさんが空城君のみぞおちを蹴りあげて、

  『グフ!!』

  「あっ」

   空城君は地面を転がって、
   口から血を流す。    

   どうせなら僕が蹴りたかった、、、。

  「よし!帰るか!」

  レオンさんは朗らかに言った。
  明らかにスッキリした顔をしている。

  「あぁあ!マリアがやりたかったのに!!」

  マリアも残念みたいだ。

  それから傷を負った兵士さんの傷を癒して、空城君を空城君のハーレム要員に押し付けて町に帰ることになった。
  もちろん空城君の傷は治していない。
  それから本当ならこれから行く予定だった砦に人が残ってないか調べたりするみたいだけど、
  魔物の多さから撤退するとこに、

  撤退を決めた要因の1つには、異世界人が冒険者側の意見を聞かなかった事もある。
  レオンさんや兵士さんの静止を無視する人間の警護は出来ない。
  これにてお仕舞い。
  そりゃそうだ、って感じだ。

  しかし、まさか軽く叩いただけて骨が折れるとは、
  レオンさんの掛けてくれたブースト系の『奇蹟』はききが凄いな。
  いまだに体に力がみなぎったままだった。

  ・

  空城 劔視点

  くそ!

  くそ!くそ!
  何で俺がこんな目に会わなければならない!!

  聖子に治してもらった右腕を擦る。
  治して貰ったのだが、いまだに痺れが残っていた。

  聖子のスキルは『希代の癒し手』というスキルを持っており、『ヒール』系のスキルの効果に二倍の補正がかかるのだが、結果は微妙だ。
  二倍の補正が掛かってこれじゃあな。

  そしてコズエは、今も顔を青くして項垂れている。
  クラスメイトの死が堪えた様だ。
  確かにな。
  僕も辛い。
  しかし、友人を失って始めて自分が『異世界に来た』という実感が沸いてくるのがわかった。  
  
  俺はこの世界に来て、勇者という称号を得ていて少し調子に乗っていたのかもしれない。

  この世界も確かに現実で、決して、ゲームやマンガみたいな仮想現実的なモノでは無かった。
  確かに、失敗すれば死んでしまう、日本とは違う恐ろしい世界に来たのだ。

  「しかし、田中ムカつくわね。なんなのよ!」

  彩は変わらなかった。
  クラスメイトの死にもこたえた様子が無い。

  「全く、残念と言わざるをえないな。あんな酷い人間をクラスメイトだと思っていたとは」

  「次に会った時は問答無用で殺しましょ?」

  「それはやり過ぎだろう。でも、クラスメイトを見殺しにしたんだ。それなりの罰は受けるべきだな」

  「優しいのね剱は」

  田中君もだが、あのレオンとかいう男も、絶対に許さない、俺を蹴り上げた罪を必ず償わせる。
  そのためにも強く成らなければな。

  しかし、マリアと言ったか。
  良い体をしていた。
  手と足は無いようだが、キレイな顔と、大きな胸。

  しかも、田中君の奴隷だという。

  良いな。

  イイナ、アレ。


  ・


  ???視点


  「どうなんだ?」

  「創造神のお気に入りは思ってたより強くなっていたようです。恐らく、『チート』の効果を得られたものかと」

  「なぜだ?お前は前に『チート』の効果を得るのは難しいだろうと言っていたではないか」

  「」それはそうなのですが、それが、、、まさか、、、」

  「ふん。良い、しかしどうなのだ?その強さは、、、」

  「一緒にいたレオンとかいう男の影響もあり上手く立ち回ってはおりましたが、それほどではないかと」

  「なら良い。それより、例の男はどうなのだ?『オチル』のだろうな?」

  「はい。その、田中の影響が良い結果になると、、」
 
  カワエふっ。そうか、それはなんとも皮肉なものだ。『神のお気に入り』である存在が、『オチル』原因を作るとはな」

  「必ず『オチル』でしょう。あの者以上に魔勇者に相応しい男はこの世には存在しません」
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