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転生したら素早さに全振りした村人Aだった

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「なんだこの紙…」

俺は紙を拾い上げた

「えーっとなになに…?」

またまたこんにちはけいたさん!覚えてますか?天使のミシェルです!

「おぼえてるもなにもさっき会ったじゃねぇか…」

一応けいたさんのステータスというものを教えておこうと思いまして、説明しますね!
まずけいたさんのステータスは、うーーーん。なんでしょう、なんていうかその……ごめんなさい…
均等に振ったつもりが素早さだけに振られていて、他のステータスが雑魚になってしまいました☆

「なってしまいました☆じゃねぇよ!あのくそ天使!仕事ちゃんとしろよ!!」

けいたさんが笑顔で気にすんな、と言ってくださっている姿が目に浮かびます…うるうる

「いや言ってねぇし文字でうるうるって書くなし」

そしてこの世界でのけいたさんの設定は村に引っ越してきたばかりの人族です!
この世界には人族、獣族、エルフ族、魔族が存在しています。まぁ名前の通り魔族はあんまりいい者がおりません。獣族やエルフ族、人族はそれぞれこの大きな島で分かれて暮らしているって感じですかね、そしてこの島の名前は《アシュルバーグ・タナビナ》通称アシュル。アシュルの真ん中は魔族が陣取っていて危険ですのであまり近づかないように!
ステータスやスキルは本人の努力や才能によって左右されます。防具や武器は適当にそこらへんで買ってくださいな!
それではけいたさん、第二の人生を楽しんでください♡

「もう雑すぎてツッコミどころ多いし、まじあのくそ天使今度会ったらぶっ飛ばす。」

とはいっても……どーすっかなぁこれから……とりあえず外に出てみるか

俺は小さな小屋から1歩を踏み出した  

「うっわぁ…」

目の前には殺伐とした空気をかもしだしている小さな小さな集落が広がっていた

「あんたぁ…この前ここに引っ越してきたやつか」

よぼよぼのじいさんが話しかけてきた

「あ、はいそうです。」

……言葉は通じるんだな

「名前はなんというんじゃ?」 

「けいたです」 

「そうか、けいたか。
この集落にはたいしたものもないし、都心からも遠いのによく来たなぁ。わしみたいな老いぼれとも仲良くしておくれな」

「は、はぁ」 

「おじーちゃん!!」

「おぉ、イロハ。新人のおにーさんに挨拶しんさい。けいた、この子はわしの孫のイロハというんじゃ」

茶色いロングヘアーのまだ幼さが残っているような女の子が出てきた

「イロハさん、ですか。こんにちは」

「こんにちは!けーた?さん?」 

「けーたでいいよ」

「けーた!よろしくね!年はいくつ?」

「17だよ」

「イロハと同い歳だ!」

「ふぉっふぉっ。二人とも仲良くするんじゃよ。わしは家に戻るよ」

「はーい!」 

老人は家に戻っていった

「けーた!けーたは都に出たことある!?」

「え?ん、いやないぞ」

「そうかぁ、私1度でいいから行ってみたいんだよねぇ」

「行ったことないのか」

「うん。産まれてから1度もここから出たことないよ」

「なるほどなぁ。都までここからどのくらいなんだ?」

「んーー、馬で2日くらいかなぁ」

「遠いな」

「そーなの、だから滅多にここから出て都に買い物行く人いないのよねぇ」

この世界のことも知りたいし行ってみてぇなぁ…

「なぁ、俺そこに行ってみたい」

「えぇ!?んーー、けーたが行くなら私も行く!」

「え!いや、イロハは別に来なくてもいいんだぞ」

「そんなこと言ったってけーた馬もってないでしょ!私とおじーちゃんの馬貸してあげるから!」

「まぁたしかに。でもおじーちゃんはいいのか?」

「おじーちゃんあれでも強いしまだまだ死にそうにないから大丈夫だよ!」

死にそうにないって…

「そ、そうか。それならありがたい、1人じゃ心細いしな」

「うん!じゃあおじーちゃんに話をつけて旅の準備をしないとね!」

「そうだな」

とはいって俺はこの世界に転生してきたばかりだし、防具とか武器とかないしなぁ

「なぁ、武器とか防具とかも貸してくれないか?」

「たいしたものはないけどそれでもいいなら!」

「あぁ、頼む」

イロハは納屋から小さめのナイフとちょっと古めの防具一式を持ってきた

「はいこれ、私のお父さんのおさがりだけど…」

「お父さんとお母さんは?」

「んー、魔族とトラブっちゃってね。殺されちゃった」

「……そうなのか…悪かった」

「ううん、大丈夫!もうだいぶ前の話だしね!」

「そうか…」

そうは言いながらも彼女の目はなんだかとても悲しそうに見えた

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「よし!準備完了!都にむけて出発だぁ!!」

「お、おう」

俺は馬に乗ろうとしたが…

「よう坊主。よろしくな」

う、馬が喋った……??
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