ショタパパ ミハエルくん

京衛武百十

文字の大きさ
240 / 697
第二幕

真夜中の団欒 その1

しおりを挟む
「それにしてもママも鬼畜だよね。いくらWeb版だからって好きにやりすぎじゃないの?」

<仕事としての原稿>を書き終えて送信したアオが、リビングで、かつてさくらにボツにされてWebで発表することにした作品の更新をしていたのを覗き見ていた安和アンナが、唐揚げを口にしながら言った。

続けて、

「ほのぼの日常ものだったはずのをメンドクサイ理屈で埋め尽くすとか、きっと、読者は置いてけぼりだよ? <ほのぼの日常もの>を期待してた読者への裏切りじゃないの?」

とも問い掛ける。

するとアオは、苦笑いを浮かべながらも、

「まあそう思う人もいるだろうね。でも、<作品>はあくまで作者のものであり権利者のものなんだ。

『作品は読者や視聴者のもの』

っていうのは、大いなる勘違いだよ。作品をどう料理するかは、作者や権利者の専権事項。それ以外の人間があれこれ言うのは勝手だけど、聞き届けなきゃいけない理由はない」

きっぱりと答えた。

それに対して安和は、

「え~? それじゃ読者や視聴者が期待してなかったり嫌がるような展開にしてもいいってこと?」

不満気に訊き返す。

けれどアオはやはり平然と、

「そうだよ」

と。

だから安和は、

「それじゃ売れないじゃん! 人気出ないじゃん!」

自分の感じたことを素直に口にする。

そんな我が子に、アオは穏やかに応えた。

「そうだね。そんなことをしてたら『売れない』。売れなきゃ商売にならない。商売にならないと困るから、あくまで仕事でやってる売り手側・作り手側は、読者や視聴者の望んでるものを作ろうと心掛ける。

でも、それだけ。そこにあるのは読者や視聴者に<媚び>を売ってる商売人の打算だけなんだよ。

だいたいさ、<商品>が本当に買い手のものだっていうのなら、パソコンメーカーや家電メーカーや自動車メーカーが、商品のサポートに期限を切ってるのはおかしいじゃん。それこそ買い手がその商品を『もう要らない』と思うまで何十年でもサポートしなきゃおかしいでしょ? <買い手のもの>のはずなのに、メーカーの都合で<修理不可能の無価値なもの>に変えちゃうんだよ?

漫画や小説だって、応援してくれる読者が、数は少なくても確かにいるのに、それが利益にならないからって打ち切ったりするよね?

おかしいじゃん。本当に読者のものなら、たとえ一人でも応援してくれる読者がいる限りは打ち切っちゃダメじゃん。でも現実は、そうじゃない。

だけど結局はそれと同じことなんだよ。

『作品は読者や視聴者のもの』

なんてのは、ただの建前論。綺麗事のお題目でしかないってこと」

「え~……?」

困惑する安和に、アオは笑顔で告げたのだった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

処理中です...