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大希
憶病であることが
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餃子づくりの方は私も、具を皮に包むのを手伝って、黙々と進めました。
大皿二枚にぎっしりと並べられたそれの半分を、千早がタッパーに詰めていきます。そのまま持ち帰って自宅で焼き、お姉さん達に振る舞う為です。
ちなみに、食材については概ねいつも私が持参させていただいています。山下さんにはキッチンを提供していただいているのですから、それくらいは当然だと考えています。
「あ~、今日のも美味し~!」
できた餃子を焼いて皆で昼食にすると、千早が満足そうに声を上げました。
「ホント、美味しいね」
ヒロ坊くんの満面の笑顔に私の胸もキュンとなります。
「はい、美味しいです♡」
ついそう声を上げてしまって、それを山下さんが微笑ましそうに見ていたのが恥ずかしくて、耳まで熱くなるのが分かりました。
それはさておいても確かにとても美味しくて、お店のそれにも勝るとも劣らない出来だと私も感じます。
昼食を終え、ヒロ坊くんと千早と一緒に帰る時、少し風が出ていることに気付きました。
「台風が近付いているようですね。今日はこのまま帰って、おとなしくしていましょう」
その私の言葉に、千早も、
「分かった。じゃあもう今日はゲーム三昧だね」
と応じます。
さらにヒロ坊くんも、
「危ないもんね」
と応えてくれました。
彼は、無謀なこともしないタイプです。それを<憶病>とか<怖がり>とか評価する人もいるようですが、私はむしろ憶病であることが重要だとも考えています。
野性のクマもライオンもトラも、凶暴そうに見えて実はとても臆病で、危険は早々に避けようとするそうですから。
怖いもの知らずな人は自ら危険を招いて結果として大きな事故を招いたり、時には命を落としたりもするのでしょう。
危険な遊びを流行らせ、<度胸試し>と称して無茶をする人を<勇気がある人>だとは私は思いません。そういうのは無謀なだけです。
動物の場合は、それが危険なものであると知らずに近付いて痛い目を見たりすることで『危険だ!』と認識することもあるのでしょうが、危険であることを最初から分かっていてするのは蛮勇だと私は思うのです。
あらかじめ分かっているのなら避ければいいだけではありませんか?
ヒロ坊くんはそれを理解しているのでしょう。
しかしそんな彼も、もっと幼かった頃には無謀なこともしてしまったそうです。帰り道も把握していないのに近所に出掛けて帰れなくなり、見ず知らずの方の家を訪ねて、
「ぼくのいえはどこですか?」
と訊き、警察官に家まで送り届けてもらったこともあるとのこと。幸い、お義父さんが警察の活動に協力していたこともあって、ヒロ坊くんのことを見知っていた警察官がいたおかげで、すぐに分かったのだそうです。
大皿二枚にぎっしりと並べられたそれの半分を、千早がタッパーに詰めていきます。そのまま持ち帰って自宅で焼き、お姉さん達に振る舞う為です。
ちなみに、食材については概ねいつも私が持参させていただいています。山下さんにはキッチンを提供していただいているのですから、それくらいは当然だと考えています。
「あ~、今日のも美味し~!」
できた餃子を焼いて皆で昼食にすると、千早が満足そうに声を上げました。
「ホント、美味しいね」
ヒロ坊くんの満面の笑顔に私の胸もキュンとなります。
「はい、美味しいです♡」
ついそう声を上げてしまって、それを山下さんが微笑ましそうに見ていたのが恥ずかしくて、耳まで熱くなるのが分かりました。
それはさておいても確かにとても美味しくて、お店のそれにも勝るとも劣らない出来だと私も感じます。
昼食を終え、ヒロ坊くんと千早と一緒に帰る時、少し風が出ていることに気付きました。
「台風が近付いているようですね。今日はこのまま帰って、おとなしくしていましょう」
その私の言葉に、千早も、
「分かった。じゃあもう今日はゲーム三昧だね」
と応じます。
さらにヒロ坊くんも、
「危ないもんね」
と応えてくれました。
彼は、無謀なこともしないタイプです。それを<憶病>とか<怖がり>とか評価する人もいるようですが、私はむしろ憶病であることが重要だとも考えています。
野性のクマもライオンもトラも、凶暴そうに見えて実はとても臆病で、危険は早々に避けようとするそうですから。
怖いもの知らずな人は自ら危険を招いて結果として大きな事故を招いたり、時には命を落としたりもするのでしょう。
危険な遊びを流行らせ、<度胸試し>と称して無茶をする人を<勇気がある人>だとは私は思いません。そういうのは無謀なだけです。
動物の場合は、それが危険なものであると知らずに近付いて痛い目を見たりすることで『危険だ!』と認識することもあるのでしょうが、危険であることを最初から分かっていてするのは蛮勇だと私は思うのです。
あらかじめ分かっているのなら避ければいいだけではありませんか?
ヒロ坊くんはそれを理解しているのでしょう。
しかしそんな彼も、もっと幼かった頃には無謀なこともしてしまったそうです。帰り道も把握していないのに近所に出掛けて帰れなくなり、見ず知らずの方の家を訪ねて、
「ぼくのいえはどこですか?」
と訊き、警察官に家まで送り届けてもらったこともあるとのこと。幸い、お義父さんが警察の活動に協力していたこともあって、ヒロ坊くんのことを見知っていた警察官がいたおかげで、すぐに分かったのだそうです。
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