こおりのほしのねむりひめ(ほのぼのばーじょん)

京衛武百十

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学舎

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収穫された懐炉鹿かいろじかは、血も肉も皮も骨も余すところなく利用される。

血は、薬品や栄養補助食品に。肉は当然、食肉に。毛皮は、防寒具に。骨も、栄養補助食品等に。

という調子だ。

老いた個体を間引くという形が多いので、食肉としての品質はかつての牛や豚のそれに比べるべくもないだろう。それらになれた人間からすれば『不味くて食えたものじゃない』と言うかもしれない。しかし、既にそれしか食べたことのないこの世界の人間達からすれば、十分に高級食材だった。

これについてもひめは口出しはしない。『もっと美味しいものがありましたよ』とは言わない。人間なら口を滑らせることがあっても、彼女にはそれがない。

「ありがとうございました」

別れ際、深々と頭を下げてひめは功凱こうがいにそう挨拶した。そんな彼女に、彼も目を細める。

「ひめの為なら、お安い御用だ」



この調子で、ひめは、折守おりかみ市のあちこちを見て回った。

子供達が通う学校である、<学舎>にも行ってみた。

それは、清見きよみ村にもある集会所と同じような建物で行われていた。だから、パッと見には学校というよりは塾のようにも見える。しかし、まぎれもなく学校として機能しているものだった。

なにしろ、勉強だけでなく、この世界で生きる上において必須の知識などについても伝えるところだったから。

ただ、それについては、各々の家庭でも必ず伝えられるものだったが。それを教えない親はいない。それを知らずに能天気に振る舞ってると、翌日には冷たくなって見付かるということさえある世界だったからだ。

そして口だけではなく、親が自らその行動によって示した。

その為に、子供を仕事場へと連れていくというのもこの世界では当たり前、と言うか、学舎のカリキュラムの一つに、<自分の親の仕事を見に行く日>というのが、週に一回、組み込まれていた。今で言う土曜日がそれに当たる。

一応、一週間は七日という区切りが、かつての名残として残ってもいる。

ただし、その表記は、にちげつすいもくきんという風に略されてしまっているが。

学舎で勉強する子供達の姿も、真剣そのものだった。『ふざけている暇はない』と、子供達自身が思っているのだ。

ちなみに、学舎で勉強する分には費用は一切かからない。『この世界を支えてくれる人材を生む』という意識が非常に強固なのがその理由と思われる。

なお、人口の構成比を見ると、やや裾が広がった釣り鐘型に近い形になる。これは、四十代の後半に差し掛かると急激に人口が減るからなのだった。

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