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メンテナンス

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「ニュート、ここにはロボット用のメンテナンスカプセルがありますよね?」

ひめは、単刀直入にニュートに尋ねた。それにニュートも応える。

「はい、隣の部屋にあります。ですが、電気が来ておらず現在は使えません」

「電気はこちらで用意します。なので、緊急避難として使わせてもらえませんか。他にメンテナンスカプセルがないんです。私はそれを必要としています」

「この部屋の主人は、既に所有権を放棄し避難しました。ここに残されているものは全て、避難者がいた時には自由に使ってよいと申し付けられています。ですからどうぞご自由にお使いください」

ニュートの言うとおりだった。この部屋の主だった人間は、さらに地下へと避難する為にここを引き払った際にもし誰かが避難してきた時には役立ててもらおうと、ここの管理を任せていたニュートにそう告げて残したのである。

「ありがとう。助かります!」

ひめはそう言って笑顔を見せた。彼女がニュートに『緊急避難として』と断ったのは、彼女がロボットだからである。人間のように自己判断で法律を無視はできないからだ。

この部屋の元の主はその辺りも考慮して、所有権の放棄を告げていったのだと思われる。避難者がロボットを連れていて、この部屋に避難しようとした時に、ロボットの方が法律に縛られて自由に動けなくなる可能性を知っていたのだろう。一般的に知られていることではあったものの、緊急時ともなるとつい忘れがちなことをしっかりとわきまえていた人物だったと思われる。

そしてさっそく、隣の部屋を覗くと、そこには透明な蓋が付いたベッドのようなものが置かれていた。

ひめはそれに近付き、ざっと外側を確認し、脇に設置された棚に置かれたボトルのようなものも確かめて、

「良かった。電源さえ確保したら使えそう。メンテナンス用ナノマシンもある。これなら」

嬉しそうにそう言いながら、入ってきたバスルームから出ていって、照明用の電源ケーブルを引っ張ってきた。

それを、部屋の片隅に置かれていた、スリム型デスクトップパソコンの本体のような機械につなぎ、様子を見た。

その機械のパイロットランプが赤く点灯し、やがて何度か点滅した後、緑へと変わった。

それから今度はベッドのようなものの脇についたスイッチを押すと、こちらも緑のパイロットランプが点灯した。

「ああ、やっぱり使えます。これでメンテナンスが受けられます!」

そう言いながら棚に置かれていたボトルをセットし、蓋を開けてベッドのようなものに横たわったのだった。

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