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パートナー
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ひめが砕氷の仕事をしている間に、ひめが掘り当てた<居住スペース>の調査が行われ、廊下に面したそれぞれのドアの向こうの調査も行われた。
しかしそれらはやはり完全に氷に埋め尽くされており、中にあった物品も殆どが使い物にならない状態にまで破壊されていた。ニュートと同型のタブレットも発掘されたがそちらは電源すら入らなかった。とは言え、資料としては意味もあるので、氷の中から掘り出して回収する。
また、こちらには陶磁器が、破損した状態ではあったものの発見され、石斗がそれを大事そうに集めて持ち帰り、<会社>の倉庫で整理する。
「お前も変わってるな…」
調査チームのリーダーの渋詞がそう声を掛ける。彼には石斗の感覚が理解できなかったからだ。
「自分でもそう思う」
石斗が素っ気なく応える。
しかしこの二人は実は夫婦であり、今は学舎に通っている子供が二人いる。このようにお互いの感覚が理解できなくても結婚し子を生すのがここでの<当たり前>だった。
その分、お互いに仕事も持ち自分のことは自分でし、家事も炊事も完全に分担する。ある意味では完璧に『対等な』関係だろう。どちらか一方だけが過剰に負担を負うこともない。他人にそんなことをさせるのは『恥だ』とここの人間達は考える。
自分のことを自分でできないなどそれこそ子供と同じだ。まともに仕事も任せてもらえない。子供でもできそうな簡単な仕事が振り分けられるだけだ。それもまた恥ずかしいことだった。
なので石斗と渋詞もそういう意味では立派な<大人>である。既に子供も二人もうけている。できれば三人と言いたいところだが、どうにも子供ができなかった。既に二人いるので、特に不妊とかそういうのではない筈なのだが。
そういう事情もあり、下の子が学舎の高学年に進級する頃をめどに離婚して、双方共に新しいパートナーを探すということで合意を得ていた。パートナーを変えることで再度子供を生すことを目指すのである。
そこには躊躇もわだかまりもない。ここの人間達にとってはそういうものであり、それが当たり前なのだ。
だが今はとにかく、発掘された絵画やカーペットや陶磁器を資料として分類し保管することが、彼女の、石斗の仕事だった。
『いつかこの価値が皆に理解される日がくるのだろうか』
そんなことを思いながら、おそらく<天目茶碗>と思しき陶磁器の破片を見詰めていたのだった。
しかしそれらはやはり完全に氷に埋め尽くされており、中にあった物品も殆どが使い物にならない状態にまで破壊されていた。ニュートと同型のタブレットも発掘されたがそちらは電源すら入らなかった。とは言え、資料としては意味もあるので、氷の中から掘り出して回収する。
また、こちらには陶磁器が、破損した状態ではあったものの発見され、石斗がそれを大事そうに集めて持ち帰り、<会社>の倉庫で整理する。
「お前も変わってるな…」
調査チームのリーダーの渋詞がそう声を掛ける。彼には石斗の感覚が理解できなかったからだ。
「自分でもそう思う」
石斗が素っ気なく応える。
しかしこの二人は実は夫婦であり、今は学舎に通っている子供が二人いる。このようにお互いの感覚が理解できなくても結婚し子を生すのがここでの<当たり前>だった。
その分、お互いに仕事も持ち自分のことは自分でし、家事も炊事も完全に分担する。ある意味では完璧に『対等な』関係だろう。どちらか一方だけが過剰に負担を負うこともない。他人にそんなことをさせるのは『恥だ』とここの人間達は考える。
自分のことを自分でできないなどそれこそ子供と同じだ。まともに仕事も任せてもらえない。子供でもできそうな簡単な仕事が振り分けられるだけだ。それもまた恥ずかしいことだった。
なので石斗と渋詞もそういう意味では立派な<大人>である。既に子供も二人もうけている。できれば三人と言いたいところだが、どうにも子供ができなかった。既に二人いるので、特に不妊とかそういうのではない筈なのだが。
そういう事情もあり、下の子が学舎の高学年に進級する頃をめどに離婚して、双方共に新しいパートナーを探すということで合意を得ていた。パートナーを変えることで再度子供を生すことを目指すのである。
そこには躊躇もわだかまりもない。ここの人間達にとってはそういうものであり、それが当たり前なのだ。
だが今はとにかく、発掘された絵画やカーペットや陶磁器を資料として分類し保管することが、彼女の、石斗の仕事だった。
『いつかこの価値が皆に理解される日がくるのだろうか』
そんなことを思いながら、おそらく<天目茶碗>と思しき陶磁器の破片を見詰めていたのだった。
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