こおりのほしのねむりひめ(ほのぼのばーじょん)

京衛武百十

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大発見

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五百年の時間が流れても、その世界には大きな変化はないように見えた。

しかし、一見しただけでは分からなくても、何も変わらないように見えても、砕氷さいひ達が掘る氷窟は確実に上へ上へと延びていった。

本当に些細な変化にしか思えないだろう。『その程度は変化してるとは言わないのでは?』と思うだろう。しかし浅葱あさぎ達は紛れもなく変化をもたらす為に、自分達にとってより良い未来を築く為に、一日僅か数センチを掘り進めてきたのである。

そして、遂に『その時』は訪れた。

「ひめ、これを見てほしい」

淡々と氷窟を掘り進めていたひめの下に「ちょっと来てくれ」と浅葱あさぎが呼びに来て、彼女を自らが担当していた氷窟へと連れてそれを示した。

「これは…!」

ひめも驚いたように声を上げる。心を持たない彼女が本当に驚くことはないけれど、人間ならこういう時にはこのように反応することを知っているから、そう反応してみせるのである。

そこにあったのは、巨大な空間だった。折守市があるそれに比べればまだずっと小さかったが、それでも高さ数十メートル。奥行きは、照明の光が届かなくて判然としないものの、ひめのセンサーで探知できる限りでも、確実に一キロ以上はあった。

十階建てほどのビルが立ち並び、そのビルそのものがこの地下空間を支える為の構造体となっているようだ。

「間違いありません。放棄された地下都市です」

「そうか…!」

ひめの言葉に、浅葱あさぎが静かに興奮しているのが分かる。ここまでの規模の地下都市が発見されたのは、初めてだったからである。

これは、五百年前にひめが発見された以上の発見だった。

何故ならば、

「バディ…か? それがこんなに…?」

そう。その地下都市のビルの一つから、ひめと同じ<バディ>が十三体も発見されたのである。どうやらそこは、中古のバディを取り扱っているディーラーのようだった。

あまりの光景に言葉を失う浅葱あさぎの前で、ひめは淡々と作業をこなし、バディ達を次々と起動させた。

更には、そのディーラーと思しき店舗跡には、当然のこととしてメンテナンスカプセルがあったのである。もちろん、メンテナンス用ナノマシンの在庫も豊富に。それらの<商品>さえ放棄していかなければいけない程、その当時は切羽詰まっていたのだろう。けれどこれは、折守市にとってはこれ以上ない<先人達からの贈り物>となった。

発見された十三体のバディらによる<地下都市>の調査で多数の<遺物>が発見され、次々と使用できるように復元されていったのだった。
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