神河内沙奈の人生

京衛武百十

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一緒に入浴

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夕方になり、夕食の前にまた、彼女は彼の命令で全裸になり、今度は左脚をじっくりと観察されていた。しかし彼女は当然それを拒むこともなく恥ずかしいとさえ思わず、ただされるがままになった。彼女にとってはそれが当然のことなのだから。

一通り観察を終えて、彼は彼女に服を着て食事をとるように命じた。ハウスキーパーが作って置いてくれていたものを温めただけではあるが、今夜はオムライスだった。彼女はどうやらオムライスが好きらしく、オムライスが出ると他の料理の時以上に夢中になって食べた。

夕食を終えると、彼女はまた勝手に服を脱いで風呂に入った。彼は食器を流しに置き、自分の作業台の上も片付けると、彼女に続いて風呂に入った。先に湯船に浸かってた彼女に「出なさい」と命じると彼女は素直にそれに従って上がり、脚を閉じて座る彼の膝の上に、足を開いて背を向けてどっかと座った。しかし彼はまったくそれに動じることなく、自分の両手で石鹸をしっかりと泡立てると、その手で彼女の体を洗い始めた。彼は、自分の体を洗う時もタオルやスポンジは使わない。そのせいか、彼の肌は下手をすると平均的な女性よりも綺麗かもしれなかった。

彼自身は別にそんなことを意識してたわけじゃないのだが、幼い頃からの習慣でそうしているだけである。彼の母親が、幼い彼の体をそうやって洗っていたからだ。そしてそのまま、彼女の体を洗う時もそうしているだけなのだった。

彼女も、こうやって体を洗われるのは嫌いではなかった。いや、むしろ好きだと言ってもいいかも知れない。素手で丁寧に体の隅々まで洗ってもらえるのは気持ち良かったのだ。ただし、性的に高まるとかというのとは違う。ただ心地好かっただけである。腕も首も脇の下も胸も腹も背中も腰も股間も尻の間も脚も、指一本一本の間まで丁寧に洗ってもらえて、彼女はうっとりとした表情さえ見せた。

が、そんな彼女に対して彼は非常に淡々とした事務的かつ機械的な感じで作業をこなしていた。そう、彼にとって彼女を洗うのは、掃除や洗濯をするような<作業>でしかなかったのだ。感情というものがまるで見えない冷たい目をしたまま彼は作業を終え、次に彼女の髪をシャンプーで洗い始めた。それもやはり淡々とした作業でこなし、最後に頭から湯をかけてシャンプーや石鹸を同時に流した。

コンディショナーで痛んだ髪もケアした彼女を湯船に浸からせて、彼は今度は浴室内のラックに置かれたコップに入った歯ブラシを手に取り、彼女の歯を磨き始めた。歯磨き粉は使わずブラシで磨くだけだが、まずは歯を磨く習慣に慣れさせる為にやってるという意味もある。

それらを終えてから、彼は自分の体を洗い始めるのだった。

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