美智果とお父さん

京衛武百十

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ふう~、いやされるぅ~

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「…あれ? あの人……」

僕は荷物番もしなきゃいけないし元々海とかで遊ぶのもそれほど好きじゃないから日焼け止めだけ塗って浮き輪を膨らましてた。それが終わって美智果に渡したとき、何気なく周りを見渡すと、僕と同じように荷物番をしてる男性の姿が目に入ってきた。見覚えがある気がしたからだ。

その人が視線を向けてる先には、やっぱり見覚えのある、美智果よりは少し小さいくらいの女の子と男の子の姿があった。間違いない。美智果と同じ小学校に通ってる子達だ。そうか、あの子達も海に来たんだな。

それは、以前にもちょっと触れた、親戚の女の子を預かって育ててるっていう男性と、その女の子だった。しかも男の子の方は、奥さんを亡くして男手一つで高校生の娘さんと小学生の息子さんを育ててる男性の息子さんに間違いなかった。

それだけじゃない。美智果と同じくらいの別の女の子一人と、高校生くらいの女の子四人も一緒のグループらしかった。

意外だった。以前、少しだけ顔を合わした時には僕と同じように人付き合いはあまり得意そうな感じには見えなかったのに、向こうはこうやって一緒に海に来るくらい交流があるんだなって思った。高校生くらいの女の子のうちの一人はきっと、男の子のお姉さんなんだろうな。他の子はその友達って感じか。

でも僕は、そういうのを羨ましいとか自分が仲間外れにされてるとか思わない。馴れ馴れしくされるのは困るけど、付き合える人同士で仲良くしててくれるのは別にいいし気にならないんだ。

向こうは人数が多くてそれだけ見守るのに注意が必要なのか、僕の方に気付く様子はなかった。僕も、向こうが話し掛けてきたリしない限りはこっちから話しかけるつもりもなかった。

美智果の方に視線を戻すと、浮き輪にすっぽりと収まってゆらゆらと波に揺られて癒されてる感じだった。これがあの子のいつもの楽しみ方なんだよな。一人でもゆっくりと満喫できるんだ。むしろ、他の誰かのペースに合わせて遊ぶよりも、こうして一人で自分のペースで楽しみたいらしい。

『ふう~、いやされるぅ~』

美智果がそんな風に呟いてるのが聞こえるようだ。ホント、一人遊びが得意だな、あの子は。

そうなんだ。好美《よしみ》ちゃんや真理恵《まりえ》ちゃんは、そんなあの子のペースとも噛み合うから仲がいいだけで、一人でいるのも一人で遊ぶのも得意なんだよな。ぼっちでいることを楽しめる子なんだ。だから僕は、何も心配してない。

あの子は孤独に潰されるような子じゃないんだってね。

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