世界で一番ママが好き! パパは二番目!

京衛武百十

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来たよ、おば~ちゃん!

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「こんにちは~、来たよ、おば~ちゃん」

バスに揺られて、バス停を降りてからもさらに十分歩いて、ようやくお祖母ちゃんのうちに着いた。だから余計に嬉しくてホッとして、テンションあがった状態で声を掛けた。

「あらあら、いらっしゃい、美智果ちゃん!」

って感じで家の奥から出てきた、優しい顔した小っちゃいおばあちゃん。小学六年生の私とそんなに身長も変わらない小っちゃいおばあちゃん。それが私のお祖母ちゃんなんだ。

パパは身長百七十らしいから、よくこんな小っちゃい体でパパみたいのを産めたなとか思っちゃう。小っちゃいけどすごいおばあちゃん。

「えへへ♡」

って笑う私を、

「ほらほら上がって上がって、イチゴあるよ」

と歓迎してくれる。

「お~!」

イチゴは私も大好きだ! イチゴとお祖母ちゃんが毎年贈ってくれるミカンとモモも大好物だ。すっごく美味しいよね!

だけど、私は、パパにするみたいにはお祖母ちゃんに抱きついたりしない。なんだろう? やっぱりそのあたりは、<血は繋がってるけど家族じゃない>って感じなのかな。

お祖母ちゃんのことは本当に好きなんだけど、やっぱりママやパパとは違うんだなっていうのも感じる。

でもパパはそれでいいって言ってくれる。

「誰彼かまわず抱きつくっていうのは、逆にややこしいことになるからね。美智果はその辺りを感覚的に分かってるみたいだからお父さんは安心してる」

だってさ。

私は自分ではよく分かってなかったけど、言われてみればパパ以外の人に抱き付いたりっていうのはほとんどしたことなかった。よっしーやマリーに時々ふざけて抱き付くくらいかな。パパはそれでいいと言ってくれてるんだと思った。

「誰にでもケンカ腰で食って掛かるのも違うけど、誰にでも馴れ馴れしくしたりベタベタしたり媚びを売ったりっていうのも違うとお父さんは思ってる、そこまで甘えられる相手は一人二人いればそれでいいよ。その上で、親しくない相手や好きになれない相手に対しては<社交辞令>ってのが役に立つ。それでいいと思うんだ」

パパの言うことは、言われた時には『難しいな』って思うことも多いけど、後になって『なるほど!』って思わされるんだ。でもこれは、パパが、パパの本当のお父さんのことでお祖母ちゃんと仲良くできなかった経験から学んだことなんだって。

私が知ってるお祖母ちゃんの様子からしたら信じられないけど、パパはお祖母ちゃんのことが好きじゃなかったんだって。それでいろいろ辛かったから、私にはそんな風にさせたくなかったんだって言ってたな。

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