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大家族
救急救命(それしか方法がなかったのだが…)
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ここには分娩台というものはないので、密はおそらく本来の彼女達のやり方なのであろう、床に敷いたマットレスの上で四つん這いの状態でハアハアと荒い息をしていた。体に力が入っているが、いつもの彼女に比べるとどこか弱々しい印象もある。消耗してきてるのかもしれない。
密が嫌がるので俺は傍には寄れないが、ロボットであるセシリアに命令を出した人間として見届ける義務もあり、ドアのところから、先に生まれた赤ん坊を抱いて遠巻きに見守っていた。
部屋の隅では、刃が自分の赤ん坊に乳をやりながら密の様子を見ている姿も確認できる。彼女にとっては本来は獲物とも言える関係にある密だが、決して短くない期間、俺という同じ雄を共有して一緒に暮らしてきたからか、ある程度の仲間意識は感じられるようになっていた気がする。
まあその辺も、人間である俺の希望的観測かもしれないが。
それは余談なので置くとして、四つん這いになった密の尻の方に回ったセシリアが、消毒済みかつぬらりとした光沢を持つ液体に濡れた右手を構え、左手で密の尻を押さえ、ゆっくりと、しかし躊躇なく指先から膣口へと手を捻じ込んでいったのだった。
「ぎーっ!?」
まさかの行為に密が何とも言えない悲鳴を上げる。しかしがっちりと尻を掴まれていて身動きが取れない。
そう、直接子宮内に手を突っ込んで絡まっているであろう臍の緒を外し、赤ん坊を引きずり出すのだ。本来ならおそらく絶対やらない、今のここの設備では他に選択肢のないが故の最期の手段であった。だからこそ、戦闘も想定して強度的にも十分な太さ(それでも平均的な女性のそれ程度だが)を与えられた腕を持つエレクシアよりも、明らかに細い腕を持つセシリアにやってもらったのである。
しかし、それしかないと分かっていてもえげつない光景に、俺も頭がくらくらする。
だが、作業そのものは呆気ないくらいにすぐに終わったようだった。感覚的には何分もかかったように感じたが、実際には数十秒しかかかっていなかったらしい。
ぬるりと引き抜かれたセシリアの腕を追うようにして、もう一人の赤ん坊が出てきた。その瞬間、密は力尽きたようにぐったりとマットレスにうつぶせに横たわった。
そして、セシリアの手には、まるでただの肉の塊のように力を感じない赤ん坊の姿が……
『間に合わなかったか……』
そんなことを考える俺の前で、しかしセシリアは諦めていなかった。大きく口を開いて赤ん坊の口と鼻ごと覆って空気を送り込む。人工呼吸だった。それから赤ん坊を逆さまに吊るすように左手で掲げ、右手でぺちぺちと体を叩く。
『お、おいおい、何を…!?』
さすがにそう声を掛けようとした俺の耳に、「にぃ…にぃ…」と、まるで子猫が泣いているような小さな泣き声が聞こえてきたのだった。
密が嫌がるので俺は傍には寄れないが、ロボットであるセシリアに命令を出した人間として見届ける義務もあり、ドアのところから、先に生まれた赤ん坊を抱いて遠巻きに見守っていた。
部屋の隅では、刃が自分の赤ん坊に乳をやりながら密の様子を見ている姿も確認できる。彼女にとっては本来は獲物とも言える関係にある密だが、決して短くない期間、俺という同じ雄を共有して一緒に暮らしてきたからか、ある程度の仲間意識は感じられるようになっていた気がする。
まあその辺も、人間である俺の希望的観測かもしれないが。
それは余談なので置くとして、四つん這いになった密の尻の方に回ったセシリアが、消毒済みかつぬらりとした光沢を持つ液体に濡れた右手を構え、左手で密の尻を押さえ、ゆっくりと、しかし躊躇なく指先から膣口へと手を捻じ込んでいったのだった。
「ぎーっ!?」
まさかの行為に密が何とも言えない悲鳴を上げる。しかしがっちりと尻を掴まれていて身動きが取れない。
そう、直接子宮内に手を突っ込んで絡まっているであろう臍の緒を外し、赤ん坊を引きずり出すのだ。本来ならおそらく絶対やらない、今のここの設備では他に選択肢のないが故の最期の手段であった。だからこそ、戦闘も想定して強度的にも十分な太さ(それでも平均的な女性のそれ程度だが)を与えられた腕を持つエレクシアよりも、明らかに細い腕を持つセシリアにやってもらったのである。
しかし、それしかないと分かっていてもえげつない光景に、俺も頭がくらくらする。
だが、作業そのものは呆気ないくらいにすぐに終わったようだった。感覚的には何分もかかったように感じたが、実際には数十秒しかかかっていなかったらしい。
ぬるりと引き抜かれたセシリアの腕を追うようにして、もう一人の赤ん坊が出てきた。その瞬間、密は力尽きたようにぐったりとマットレスにうつぶせに横たわった。
そして、セシリアの手には、まるでただの肉の塊のように力を感じない赤ん坊の姿が……
『間に合わなかったか……』
そんなことを考える俺の前で、しかしセシリアは諦めていなかった。大きく口を開いて赤ん坊の口と鼻ごと覆って空気を送り込む。人工呼吸だった。それから赤ん坊を逆さまに吊るすように左手で掲げ、右手でぺちぺちと体を叩く。
『お、おいおい、何を…!?』
さすがにそう声を掛けようとした俺の耳に、「にぃ…にぃ…」と、まるで子猫が泣いているような小さな泣き声が聞こえてきたのだった。
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