未開の惑星に不時着したけど帰れそうにないので人外ハーレムを目指してみます(Ver.02)

京衛武百十

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新世代

走・凱編 アイデンティティ

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例えば<英雄>のような例外中の例外の生き様を一般論に当て嵌めて、

『こう生きるべし!』

みたいなことをされると、

『無茶言うな!』

と思ってしまうが、個人が英雄に憧れて、

『自分もこう生きたい!』

と目指すだけなら、それは好きなようにすればいいと思うんだ。自ら<例外>になろうとするのは自由だと思う。ただし失敗した時のリスクは自分が負わなきゃいけないだろうが。

俺達はビアンカがその例外を目指せるような環境を作ることが役目だと思ってる。親の我儘で子供をこの世に送り出すのと同じく、俺達の我儘で彼女に生きてほしいと願うなら、お膳立てするくらいのことは当然じゃないかな。

何のお膳立てもせずにただ単に一方的に、

『生きてほしい!』

と言うのは違うと思う。ましてやそれで彼女が上手くできなかったらって責任は全部彼女に押し付けるとか、意味が分からない。

最終的に上手くいくかどうかは分からなくても、上手くいかせるための努力は怠りたくない。

俺がそんな心積もりをしている間にも、ローバーの改造が行われている。と言っても、コーネリアス号で既に作られていた<ビアンカのための席>を、ルーフキャリアの代わりに取り付けるだけではある。

その作業も、コーネリアス号のAIが制御する作業用のマニピュレーターとメイフェアがやってくれるので、シモーヌとビアンカはただ見守るだけだ。

おそらくコーネリアス号乗員のビアンカ・ラッセは散々見た光景だろうが、ビアンカに記憶は戻る気配すらなかったけどな。

しかし何度も言うように、彼女はビアンカではあっても<コーネリアス号の乗員、ビアンカ・ラッセ>じゃない。彼女の中に残っているかもしれない<記憶>は厳密には彼女自身のものじゃない。いわば、

『異世界に生まれついた人間に転生した者の記憶があるみたいなもの』

とでも言えるだろうか。

不定形生物が何らかの決まった形を取るというのが延々と繰り返されてきたこの世界の<摂理>であるなら、今のビアンカはれっきとした<この世界の住人>だ。彼女はここに生まれた命なんだ。それが、彼女からすればどこの誰かも分からない人間の記憶と人格が勝手に自分の中に植え付けられている状態だといえると思う。

それは残酷な話じゃないかな。

もっとも、これについてはシモーヌも同じだったわけで、シモーヌの方はすでにその事実と折り合いをつけることができてる。いくら<コーネリアス号乗員、秋嶋あきしまシモーヌ>としての記憶があるとしても、自分はこの惑星に生まれた<シモーヌ>なのだというアイデンティティを確立してる。そのおかげで精神的にも安定しているんだ。

そういうアイデンティティを確立するにも、自分がこの世界に受け入れられているという実感が必要だと俺は思うんだ。

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