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転生編
大人?の社交場
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黒尽くめの人物に首根っこを掴まれて連れてこられたそれは、薄暗い空間だった。何とも言えない空気が充満している。
しかもその薄暗い中にギラリと光るなにかがいくつも見えた。目だ。何者かがこちらを見ているのだ。
『ひいいいいい……っっっ!!』
ユウカは、声にならない悲鳴を心の中で上げながら、ちびりそうなくらいに怯えきっていた。
だがその時、
「ユウカ…?」
「―――――!」
聞き覚えのある声が耳に届いたことで、ユウカはハッとなった。薄暗さに慣れてきた目が、その声の主を捉える。
「クォ=ヨ=ムイさん…!」
思わず声が出てしまう。するとユウカの首筋を掴んでつまみ上げていた手が突然離された。しかし足腰に力が入らずその場に座り込んでしまう。
「知り合いか…?」
ユウカを連れてきた黒尽くめの人物がそう言い、クォ=ヨ=ムイが黙って頷いた。
「そうか…」
やや低めではあるが、どちらかと言えば女性のそれのようにも聞こえる声でその黒尽くめの人物は応えて、空いたソファーへとスッと腰掛けた。
「ついてきちゃったの…?」
床に座り込んだユウカに向かってクォ=ヨ=ムイは静かに問い掛ける。
「は、はい。ごめんなさい…」
かなり目が慣れて、そう謝りながらユウカは改めて周りを見渡していた。
そこは、いわゆるバーと思われた。テーブルとソファーが並び、酒が入っていると思われるグラスが置かれている。ホステスと呼ばれる女性の姿は見えないので、やはりクラブやキャバレーのような接客主体の業態ではなく、客がそれぞれゆっくりと酒を味わうことが目的のバーと言った方がいいのだろう。
午前中からこんなところで酒を飲んでるというのはどうかとも思えるが、しかし思ったりよりも普通な感じで、ユウカは急激に自分が落ち着いてくるのを感じていた。それこそ、邪教集団のアジトのようなところで秘密の儀式でもしているのかと想像していたからだ。
だがその時、ガチャンとグラスの割れる音がして、ユウカはビクッと再び体を竦めた。しかも、
「っだとコラぁ!!」
「やるか!? おお!!?」
と怒声が店内に響き渡り、ますます体が強張り血の気が引いていくのを感じた。
『なになになになに…っ!?』
一体、何事が起こったというのか?
見れば奥の方のテーブルを挟んで、男が二人、睨み合っていた。
一人は、ヘルメットを被っているかのような頭からドレッドヘアを思わせる髪らしきものを垂らし、横に広がった口から大きな牙が覗くがっちりした巨漢で、もう一人は背は高くないが相手の男と引けを取らないくらいに頑健そうな肉体を持った色黒で短髪の男だった。二人とも、もう見るからに頭に血が上っている状態なのが分かる。
だが、それに対して他の客達はまるで緊張感がなかったのだった。
しかもその薄暗い中にギラリと光るなにかがいくつも見えた。目だ。何者かがこちらを見ているのだ。
『ひいいいいい……っっっ!!』
ユウカは、声にならない悲鳴を心の中で上げながら、ちびりそうなくらいに怯えきっていた。
だがその時、
「ユウカ…?」
「―――――!」
聞き覚えのある声が耳に届いたことで、ユウカはハッとなった。薄暗さに慣れてきた目が、その声の主を捉える。
「クォ=ヨ=ムイさん…!」
思わず声が出てしまう。するとユウカの首筋を掴んでつまみ上げていた手が突然離された。しかし足腰に力が入らずその場に座り込んでしまう。
「知り合いか…?」
ユウカを連れてきた黒尽くめの人物がそう言い、クォ=ヨ=ムイが黙って頷いた。
「そうか…」
やや低めではあるが、どちらかと言えば女性のそれのようにも聞こえる声でその黒尽くめの人物は応えて、空いたソファーへとスッと腰掛けた。
「ついてきちゃったの…?」
床に座り込んだユウカに向かってクォ=ヨ=ムイは静かに問い掛ける。
「は、はい。ごめんなさい…」
かなり目が慣れて、そう謝りながらユウカは改めて周りを見渡していた。
そこは、いわゆるバーと思われた。テーブルとソファーが並び、酒が入っていると思われるグラスが置かれている。ホステスと呼ばれる女性の姿は見えないので、やはりクラブやキャバレーのような接客主体の業態ではなく、客がそれぞれゆっくりと酒を味わうことが目的のバーと言った方がいいのだろう。
午前中からこんなところで酒を飲んでるというのはどうかとも思えるが、しかし思ったりよりも普通な感じで、ユウカは急激に自分が落ち着いてくるのを感じていた。それこそ、邪教集団のアジトのようなところで秘密の儀式でもしているのかと想像していたからだ。
だがその時、ガチャンとグラスの割れる音がして、ユウカはビクッと再び体を竦めた。しかも、
「っだとコラぁ!!」
「やるか!? おお!!?」
と怒声が店内に響き渡り、ますます体が強張り血の気が引いていくのを感じた。
『なになになになに…っ!?』
一体、何事が起こったというのか?
見れば奥の方のテーブルを挟んで、男が二人、睨み合っていた。
一人は、ヘルメットを被っているかのような頭からドレッドヘアを思わせる髪らしきものを垂らし、横に広がった口から大きな牙が覗くがっちりした巨漢で、もう一人は背は高くないが相手の男と引けを取らないくらいに頑健そうな肉体を持った色黒で短髪の男だった。二人とも、もう見るからに頭に血が上っている状態なのが分かる。
だが、それに対して他の客達はまるで緊張感がなかったのだった。
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