第一〇七六四八八星辰荘へようこそ ~あるJC2の異種間交流~(セリフマシマシバージョン)

京衛武百十

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日常編

どんまい

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午後の休憩時間。今度はリルが声を掛けてきてくれた。

「何があったか知らないけどさ。どんまい」

「リルさん……」

リルらしい、あっさりとした、しかしどこか思いやりに溢れたその言葉に、ユウカは励まされるのを感じたのだった。だからリルにも素直に事情を打ち明けた。

「ふ~ん。でも、それが今のユウカに何の関係があんの?」

そう訊かれると、ユウカは、

「え…と。関係、ないですかね…?」

と応えるしかできなかった。するとリルは屈託なく笑い、言った。

「この人が誰でも、ユウカはユウカじゃん」

「あ……」

なるほど言われてみればこの記事の中の石脇佑香なる人物が本来のユウカだったとしても、ここで生きているユウカにはここでの人生があり経験があり記憶があり思い出がある。それこそこの人物には何の関係もない、ユウカ自身の人生だ。

仕事が終わり、ガゼと一緒にアパートに帰ったユウカは、ガゼにもそれを打ち明けた。朝は時間がなくて言い出せなかったからだ。

するとガゼも、ユウカを真っ直ぐに見詰めて言う。

「そんなの関係ないよ。私が好きになったのは、今、私の目の前にいるユウカだよ。こんなオバサンなんて知らない。ユウカはユウカだよ!」

拳を握りしめ瞳を潤ませながら、ガゼはそう訴えた。

ガゼの言うとおりである。彼女にしてみればユウカだから好きになったのであって、地球にいるユウカのオリジナルだかなんだかについては何の関係もないし興味もなかった。だから何も変わらない。

「ガゼちゃん……」

タミネルもリルもガゼも、ちゃんとユウカのことを見てくれていた。地球にユウカのオリジナルが生きていたとしても、そんなものは別世界のユウカのようなものであって、ガゼ達の知るユウカではないのだから、気にするまでもなかったのだ。

「ありがとう……」

こみ上げてくるものを抑えきれずにユウカは両手で顔を覆っていた。

『私、こんなにもみんなに受け入れてもらえてるんだ……認めてもらえてるんだ……』

それを改めて感じて、たまらなくなってしまったのだった。



なお、地球にいる石脇佑香は、まぎれもなくユウカ本人である。実はユウカの死は間違いのようなものであり、後にオリジナルも生き返ることになった為に、データとして書庫に送られたユウカとそれぞれ同時に存在することになってしまったのである。

それ自体はもう済んだ話でありユウカには何の関係も責任もないことなのでこれ以上は踏み込む必要もない。ただ、ユウカのような事例もごくたまにあるというだけのことでしかない。

そして、ユウカにとってはもうここでの生活こそが現実であり、今の自分こそが自分であるということを改めて確認するきっかけにはなったのであった。

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