178 / 205
日常編
成長しない自分に
しおりを挟む
「ユぅカぁあぁぁっっ!!」
ガゼの咆哮は、周囲数百メートルにまで届いたという。それは当然、ユウカ自身にも届いた。裸にワンピースを纏っただけ、髪も濡れたままのユウカがハッと振り返り、アパートの前にいたガゼに気付いた。
「ガゼちゃん!」
声を上げながら駆け寄ると、ガゼが裸だということに気付く。
「ガゼちゃん! ダメだよそんな格好で!!」
慌ててガゼの体を隠すように抱き上げ、ユウカはアパートに駆け込んだ。
実はこの時、周囲の住人達にもガゼの咆哮を耳にした者はおり、何事かと窓を開けて外を見たりもしていたのだった。当然、ガゼが素っ裸なことにも気付いたが、意外なほどにそれに対して邪な気持ちを抱いた者はいなかった。皆、微笑ましい光景を見たというような目で見ていたのだ。中には眼福眼福と悦んだ者もいない訳ではなかったが、それはむしろ少数派だったし、そういう人間もさほど邪な気持ちにはならなかった。
ここで暮らして長いのが殆どだったからだろう。ここには雑多な価値観がある。その中で長く暮らしていると、この程度のことでは動じなくなるのだ。服を着るという習慣がない種族もいるので、そういう意味でも慣れてしまうのである。
とは言え、ユウカやガゼはそういう種族ではないし、まだ数十年という、<新入り>と言っても差し支えない程度の存在だから焦ってしまったというのもあった。
裸のガゼを抱いたままユウカは自分の部屋に戻り、でもそのままガゼを下ろさずに抱き締めた。
「もう…! 心配させないでよ……!」
呟くように言われて、ガゼも、
「ごめんなさい……」
と消え入りそうな声で謝った。
「ガゼちゃんにキスされたりしたのはびっくりしたしイヤだったけど、だからってこういうのはもっとイヤだよ……
だから、ガゼちゃん……もし…もしガゼちゃんがどうしてもって言うのなら、私……」
ユウカがそこまで言った時、ガゼはぶんぶんと激しく頭を横に振った。
「違う…! 違うよ!! ユウカは何も悪くない! 悪いのは私なんだよ! 私がバカだから……!!」
それ以上は言葉にならず、ガゼは、
「うぁああぁぁん…!」
と泣き出してしまった。以前にもこんなことがあってその時にも泣いてしまったことがあったのにまた同じようなことをしてしまって、成長しない自分に腹が立って情けなくて、ガゼは泣いてしまったのだった。
その後、しばらく泣いてようやく落ち着いてから二人でシャワーに入り直して、その日はそのまま抱き合うようにして一緒に寝たのであった。
ガゼの咆哮は、周囲数百メートルにまで届いたという。それは当然、ユウカ自身にも届いた。裸にワンピースを纏っただけ、髪も濡れたままのユウカがハッと振り返り、アパートの前にいたガゼに気付いた。
「ガゼちゃん!」
声を上げながら駆け寄ると、ガゼが裸だということに気付く。
「ガゼちゃん! ダメだよそんな格好で!!」
慌ててガゼの体を隠すように抱き上げ、ユウカはアパートに駆け込んだ。
実はこの時、周囲の住人達にもガゼの咆哮を耳にした者はおり、何事かと窓を開けて外を見たりもしていたのだった。当然、ガゼが素っ裸なことにも気付いたが、意外なほどにそれに対して邪な気持ちを抱いた者はいなかった。皆、微笑ましい光景を見たというような目で見ていたのだ。中には眼福眼福と悦んだ者もいない訳ではなかったが、それはむしろ少数派だったし、そういう人間もさほど邪な気持ちにはならなかった。
ここで暮らして長いのが殆どだったからだろう。ここには雑多な価値観がある。その中で長く暮らしていると、この程度のことでは動じなくなるのだ。服を着るという習慣がない種族もいるので、そういう意味でも慣れてしまうのである。
とは言え、ユウカやガゼはそういう種族ではないし、まだ数十年という、<新入り>と言っても差し支えない程度の存在だから焦ってしまったというのもあった。
裸のガゼを抱いたままユウカは自分の部屋に戻り、でもそのままガゼを下ろさずに抱き締めた。
「もう…! 心配させないでよ……!」
呟くように言われて、ガゼも、
「ごめんなさい……」
と消え入りそうな声で謝った。
「ガゼちゃんにキスされたりしたのはびっくりしたしイヤだったけど、だからってこういうのはもっとイヤだよ……
だから、ガゼちゃん……もし…もしガゼちゃんがどうしてもって言うのなら、私……」
ユウカがそこまで言った時、ガゼはぶんぶんと激しく頭を横に振った。
「違う…! 違うよ!! ユウカは何も悪くない! 悪いのは私なんだよ! 私がバカだから……!!」
それ以上は言葉にならず、ガゼは、
「うぁああぁぁん…!」
と泣き出してしまった。以前にもこんなことがあってその時にも泣いてしまったことがあったのにまた同じようなことをしてしまって、成長しない自分に腹が立って情けなくて、ガゼは泣いてしまったのだった。
その後、しばらく泣いてようやく落ち着いてから二人でシャワーに入り直して、その日はそのまま抱き合うようにして一緒に寝たのであった。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
娘を返せ〜誘拐された娘を取り返すため、父は異世界に渡る
ほりとくち
ファンタジー
突然現れた魔法陣が、あの日娘を連れ去った。
異世界に誘拐されてしまったらしい娘を取り戻すため、父は自ら異世界へ渡ることを決意する。
一体誰が、何の目的で娘を連れ去ったのか。
娘とともに再び日本へ戻ることはできるのか。
そもそも父は、異世界へ足を運ぶことができるのか。
異世界召喚の秘密を知る謎多き少年。
娘を失ったショックで、精神が幼児化してしまった妻。
そして父にまったく懐かず、娘と母にだけ甘えるペットの黒猫。
3人と1匹の冒険が、今始まる。
※小説家になろうでも投稿しています
※フォロー・感想・いいね等頂けると歓喜します!
よろしくお願いします!
疎遠だった叔父の遺産が500億円分のビットコインだった件。使い道がないので、隣の部屋の塩対応な美少女に赤スパ投げまくってる件
月下花音
恋愛
貧乏大学生の成瀬翔は、疎遠だった叔父から500億円相当のビットコインが入ったUSBメモリを相続する。使い道に困った彼が目をつけたのは、ボロアパートの薄い壁の向こうから聞こえる「声」だった。隣人は、大学で「氷の令嬢」と呼ばれる塩対応な美少女・如月玲奈。しかしその正体は、同接15人の極貧底辺VTuber「ルナ・ナイトメア」だったのだ!
『今月ももやし生活だよぉ……ひもじい……』
壁越しに聞こえる悲痛な叫び。翔は決意する。この500億で、彼女を最強の配信者に育て上げようと。謎の大富豪アカウント『Apollo(アポロ)』として、5万円の赤スパを投げ、高級機材を即配し、彼女の生活を神の視点で「最適化」していく。しかし彼はまだ知らなかった。「金で買えるのは生活水準だけで、孤独は埋められない」ということに。500億を持った「見えない神様」が、神の座を捨てて、地上の女の子の手を握るまでの救済ラブコメディ。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ペットになった
ノーウェザー
ファンタジー
ペットになってしまった『クロ』。
言葉も常識も通用しない世界。
それでも、特に不便は感じない。
あの場所に戻るくらいなら、別にどんな場所でも良かったから。
「クロ」
笑いながらオレの名前を呼ぶこの人がいる限り、オレは・・・ーーーー・・・。
※視点コロコロ
※更新ノロノロ
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる