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日常編
せっかくの機会
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「おいおい、いいのかよ。ユウカはガゼちゃんと一緒に住んでるんだろう?」
常連客の一人がラフタスに耳打ちする。それに対して彼女は、
「いいのいいの。あの二人はまだ結婚どころか付き合ってもないし。それにせっかくの同族だよ? 機会ぐらいは与えてやってもいいだろ」
ラフタスも、別に意地悪でそんなことをした訳ではない。二人がどうするのかは二人が決めることだが、同族と知り合えることがなかなかないここではこんな機会は滅多にないのだ。どういう結論に達するのだとしても、それを乗り越えられるようでなければどうせ長続きはしない。
ラフタス自身、数百年に及ぶネルアーキとの結婚生活の中では何度も衝突もあったしすれ違いもあった。それを乗り越えて『やっぱりこの人じゃなきゃ』と思えばこそこうして一緒にいられるのである。
それに、なかなか進展しないユウカとガゼの関係を展開させるきっかけになるかもしれない。もしこれで駄目になるならそもそもその程度の関係だったということでもある。
「私はイベントを起こしてやっただけだよ。それをどう回収していくかは、あの子らが決めることさ」
そう呟くラフタスの前で、ヒロキがユウカに話し掛ける。
「…元気がないね。でもまあ、人生にはいろいろあるから」
ヒロキはそれ以上尋ねなかった。それからは、自分が手伝っている喫茶店のどのコーヒーがおすすめだとか、こっちに来てから旅行した時のエピソードとか、本当に他愛ないことをただ語ってみせた。
それが彼の気遣いだというのはユウカにも分かってしまった。話したくないことは話さなくていい。でも嫌じゃないなら一緒に時間を過ごそうという。
『本当に優しい人だな……』
柔らかくて穏やかで、それでいて懐の深さを感じさせる彼の笑顔に、ユウカは自分がすごく慰められるのを感じていた。彼とこうして一緒にいられることに満たされるものを感じていた。
それは、ガゼと一緒にいる時のものとはまた違う心地好さだった。
『ガゼちゃんと一緒にいるのはすごく楽しい。それは本当。でも…ヒロキさんと一緒にいると、なんだか……』
ヒロキのそれは、包まれる感じなのだ。ふわりと包み込まれてまどろんでいるかのような心地好さなのだ。
厳密にはヒロキの方が若干年下である。しかし、ここでは数年の上下などまるで意味がない。ガゼが年下であるユウカに甘えているように、ユウカがヒロキに甘えてもなにもおかしくない。
だけど、その心地好さに包まれてると、なぜか涙が溢れてきてしまった。
「ガゼちゃん……」
ガゼの名を呟きながら、ユウカは、両手で顔を覆っていたのだった。
常連客の一人がラフタスに耳打ちする。それに対して彼女は、
「いいのいいの。あの二人はまだ結婚どころか付き合ってもないし。それにせっかくの同族だよ? 機会ぐらいは与えてやってもいいだろ」
ラフタスも、別に意地悪でそんなことをした訳ではない。二人がどうするのかは二人が決めることだが、同族と知り合えることがなかなかないここではこんな機会は滅多にないのだ。どういう結論に達するのだとしても、それを乗り越えられるようでなければどうせ長続きはしない。
ラフタス自身、数百年に及ぶネルアーキとの結婚生活の中では何度も衝突もあったしすれ違いもあった。それを乗り越えて『やっぱりこの人じゃなきゃ』と思えばこそこうして一緒にいられるのである。
それに、なかなか進展しないユウカとガゼの関係を展開させるきっかけになるかもしれない。もしこれで駄目になるならそもそもその程度の関係だったということでもある。
「私はイベントを起こしてやっただけだよ。それをどう回収していくかは、あの子らが決めることさ」
そう呟くラフタスの前で、ヒロキがユウカに話し掛ける。
「…元気がないね。でもまあ、人生にはいろいろあるから」
ヒロキはそれ以上尋ねなかった。それからは、自分が手伝っている喫茶店のどのコーヒーがおすすめだとか、こっちに来てから旅行した時のエピソードとか、本当に他愛ないことをただ語ってみせた。
それが彼の気遣いだというのはユウカにも分かってしまった。話したくないことは話さなくていい。でも嫌じゃないなら一緒に時間を過ごそうという。
『本当に優しい人だな……』
柔らかくて穏やかで、それでいて懐の深さを感じさせる彼の笑顔に、ユウカは自分がすごく慰められるのを感じていた。彼とこうして一緒にいられることに満たされるものを感じていた。
それは、ガゼと一緒にいる時のものとはまた違う心地好さだった。
『ガゼちゃんと一緒にいるのはすごく楽しい。それは本当。でも…ヒロキさんと一緒にいると、なんだか……』
ヒロキのそれは、包まれる感じなのだ。ふわりと包み込まれてまどろんでいるかのような心地好さなのだ。
厳密にはヒロキの方が若干年下である。しかし、ここでは数年の上下などまるで意味がない。ガゼが年下であるユウカに甘えているように、ユウカがヒロキに甘えてもなにもおかしくない。
だけど、その心地好さに包まれてると、なぜか涙が溢れてきてしまった。
「ガゼちゃん……」
ガゼの名を呟きながら、ユウカは、両手で顔を覆っていたのだった。
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