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日常編

それぞれの意見

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『こんな時、どうすればいいんだろう……』

ヒロキに恋をしてしまったことでガゼに対する気持ちにも気付いてしまったユウカは、それにどう対処すればいいのか頭を悩ませていた。

そんな彼女に、皆はそれぞれ声を掛けてくれた。

「私は同じ種族の人と出会えて子供まで持てたから、正直、ユウカにも同じ幸せを感じてほしいと思う。ガゼちゃんももちろんいい子だし幸せになってほしいけど、<伴侶>っていう点で考えると厳しいかな」

とは、マニの弁。子供を持ってその関係に悩みながらも、やはりそのことも含めて幸せだと感じていればこその意見だった。

「私はどちらかと言ったらガゼちゃん派かな~。だって付き合い長いんでしょう? お互い、どういう人間かってこともよく分かってる訳だしさ。それにここじゃ同族に出会えることの方が例外なんでしょ? 同族ってだけで選ばれるのってなんかフェアじゃない気がする」

とは、レンの弁。まだここにきてそれほど期間が経ってないが故に、逆に同族に出会えることの貴重さを実感できていないからこその意見かもしれない。

「いやいや、ユウカは僕と付き合ってこそ幸せになれると思うよ。僕が幸せにしてあげる」

とは、キリオの弁。これはまあ、聞き流しておいてもいいかもしれない。

「私は、ユウカとガゼちゃんが好き……二人に幸せになってほしい……」

とは、ヌラッカの弁。その言葉通り、ユウカとガゼのことを好きだからこその彼女の素直な気持ちだった。

「私にはあまりそういうことはよく分からないので……ユウカが悔いのない選択ができればそれでいいのではないでしょうか」

とは、タミネルの弁。恋愛云々に疎い彼女らしい意見だろう。

「ガゼは友達だろ? 友達と恋人って違うじゃん。ズキューンときた方を選べばいいんだよ」

とは、リルの弁。軽いノリで応えているように見えても、直感に従えばいいという真面目な意見でもある。

「…あ~、正直、私はユウカともガゼとも友達だからさ。『どっちがいい』っていうのは言いにくいかな……私自身、恋愛がうまくいった経験がないし、何ともねえ……」

とは、メジェレナの弁。これも彼女の素直な意見だっただろう。片思いは実らず、しかしここでは百年単位でパートナーが変わることは普通のことなので、片思いの彼とその彼女の関係もいつかはという意味で、実は次のチャンスを待っている状態でもある。

こういう時に一番頼りになりそうなシェルミについては、ずっと出払っている状態なので意見を聞くことはできなかった。

意見が聞けた部分だけでもそれぞれなので、

『やっぱり最終的には自分で決めるしかないのかなあ……』

と思うユウカであった。

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